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誰もいない春 -「光の春」から「音の春」へ(季節のうつろいに寄せて)-

次第に日も長くなり
日射しだけは春のようなうららかさを湛えるようになっている
この時季を表現する「光の春」ということばも

春の訪れは「光の春」からはじまり「音の春」へ
雪深い地方では、雪崩の音、雪解けの音、水かさを増したせせらぎの音、鳥のさえずりが春の訪れを告げる

最後に「気温の春」がやってくる
これがわれわれが言うところの「春」

つまり、春は三つの段階を経ながら姿をあらわすという

「光の春」の由来はロシアとも
寒さに閉ざされたロシアで、徐々に日が長くなり
空も明るくなっていく時季のことをこう呼ぶそう
ドイツでは5月が「花の春」
すべての花々がいっせいにほころぶ


最期まで春を知らなかったあの人
四季のない国での密やかな死
それから数えて3度目の春

いっしょに迎える願いのついえた、
かたわらに誰もいない春が
また すぐそこまで来ている

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