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湊かなえ『リバース』に隠された、登場人物たちの複雑な心理とは?

書籍名:リバース
著者:湊 かなえ

今日は、湊かなえさんの「リバース」についてご紹介したいと思います。湊さんといえば、「告白」や「少女」など、心理サスペンスの名手として知られていますよね。今回の「リバース」も、湊さんならではの緻密な心理描写と、予測不能な展開が魅力的な作品になっているんです。

あらすじ:4人の視点から描かれる、ある出来事の真相

「リバース」は、ある出来事を巡って、4人の登場人物の視点から物語が展開していきます。主人公の一人は、大学生の美咲。彼女は、親友の沙織から、ある出来事について相談を受けるのですが、その相談というのが沙織の恋人である健太が、何者かに襲われたというのです。健太は意識不明の重体となり、犯人は逃走中。一方、美咲の恋人である翔太も、その出来事に関わっているようで...。真相を追い求める美咲と、事件の全貌が少しずつ明らかになっていきます。

登場人物:それぞれの思惑が交錯する4人の視点

「リバース」には、美咲、沙織、健太、翔太の4人の視点が登場します。彼ら彼女らはそれぞれ、事件に関して異なる立場にいて被害者、加害者、恋人、親友とそれぞれの視点から描かれる心情や思惑が、巧みに絡み合っていきます。特に印象的なのは、加害者の視点で、加害者の心理を丁寧に描写することで、アナタは加害者にも感情移入せずにはいられなくなると思います。

心理描写:登場人物の心の機微を丁寧に描写

湊さんの作品の魅力の一つは、登場人物の心理描写の緻密さにあります。「リバース」でも、登場人物たちの複雑な感情の機微が、丁寧に描写されていて例えば、美咲は親友の恋人が被害に遭ったことに衝撃を受けつつも、自分の恋人の関与を疑わずにはいられない。そんな美咲の揺れ動く心情が、リアルに描かれています。

構成:4つの視点が織りなす、複雑な物語

「リバース」は、4つの視点から物語が展開していくという、独特の構成を取っています。一つの出来事を、異なる立場の人物たちがどう見ているのか?それぞれの視点が交差することで、真相が少しずつ明らかになっていきます。また、時系列も複雑に入り組んでいて、過去と現在が絶妙に交錯します。アナタは、パズルを解くような感覚で、真相に迫っていくことになるはずです。

テーマ:真実とは何か?を問いかける物語

「リバース」は、「真実とは何か?」というテーマを追求した作品だと言えます。登場人物たちは皆、自分なりの「真実」を抱えていて、その「真実」は、他者の視点からは全く違って見えることもあり、果たして客観的な「真実」など存在するのかどうかを考えさせられる本だと思います。「リバース」は、そんな問いをアナタに投げかけると思います。

文体:シンプルな文章で、読者を物語に引き込む

湊さんの文体は、非常にシンプルで読みやすいのが特徴で、余計な修飾を排し、必要最低限の言葉で、登場人物の心情や事件の経緯を描写していきますから、アナタは物語世界に没入しやすくなると思います。また、会話文が多いのも湊さんの文体の特徴で登場人物たちの生き生きとした会話を通して、臨場感ある物語の展開になっていると思います。

ミステリー性:予測不能な展開が読者を惹きつける

「リバース」は、ミステリー仕立ての作品でもあります。事件の全貌が明らかになるまで、アナタは予測不能な展開に翻弄され続けられることになるはずです!一体誰が、何の目的で、健太を襲ったのか?真相は最後の最後まで明かされませんのでミステリーファンなら、この手の展開は堪らないと思います。

感情移入:登場人物たちに感情移入せずにはいられない

「リバース」は、登場人物たちに感情移入させる力も持っていて特に、加害者の心理描写は秀逸です!加害者としての後ろめたさや、正当化しようとする心理が丁寧に描かれていて、アナタは加害者にも共感せずにはいられなくなります。

考察:「リバース」が問いかけるもの

「リバース」は、単なるミステリー作品ではありません!「真実とは何か?」という、重いテーマを持った作品で登場人物たちが抱える「真実」は、果たして本当の「真実」なのか?「真実」は、人によって異なるものなのか?「リバース」は、そんな問いをアナタに投げかけますから、じっくりと考察してみるのも面白いかもしれません。

読後感:重いテーマを、エンターテイメントとして描ききる

「リバース」は、重いテーマを扱っている作品ですが、決して難解ではありません。むしろ、エンターテイメント性の高い、読み応えのある作品に仕上がっています。湊さんの巧みな文章力と、緻密な構成力が、読者を物語世界に引き込んでいくので重いテーマを、エンターテイメントとして描きあげられているので、そこは湊かなえさんの力量なのだと思います。

まとめ

湊かなえさんの最新作「リバース」は、4人の登場人物の視点から、ある出来事の真相に迫る心理サスペンス作品です。それぞれの登場人物の心理が丁寧に描写され、複雑に絡み合っていきます。「真実とは何か?」という重いテーマを扱いつつも、エンターテイメント性の高い作品に仕上がっています。ミステリーファンなら、もちろん、湊かなえさんのファンなら、絶対に読んでおきたい一冊です。

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