恋人よりも可愛い自分
一緒に映画を見に行ったり、
公園のベンチで中身のない話を沢山したり、
水族館に行ったり、
お互いの誕生日や記念日を全力で祝ったり
中学の頃、僕はそんな時間を過ごして自分達の幸せを毎日更新して、周囲から羨ましがられて…
というようなベタな恋愛に憧れていた。
苦しい時間だって大切な人と一緒にいれたら最強になれる!
そうと決まればさっさと作っちまおう!
中学一年の僕はすぐにエンジン全開だ。
初め僕が異性に求めていたのは、
1.可愛いこと(美人系)、2.よく気がきくこと、
3.話してて楽しいこと
以上だった。
これは醜い考え方なのだが、僕は恋人を作る時、その人間といて自分の格が落ちないかを考えてしまう。
「〇〇の彼女優しそうやなー!」と表面上褒めるが、裏では「あいつの彼女あんまし可愛くないなw〇〇にはアレくらいがお似合いやろw」なんて話をするのは、学生の恋愛ではよくあることだ。
僕は自分の彼女がそんな評価を受けていたら、耐えられない。
自分で言うのはなんだが、僕は小中高で、かっこいいと言われなかった時期がない。
文化祭のミスターコンにも推薦で選出されている。
同性からも異性からも見た目のことでいじられたことは一度もない。だからこそ自分が「彼女の容姿のことで間接的にいじられる」ことがプライド的に許せないのだろう。自尊心の怪物だ…
結局初めての彼女は、美人系の可愛い子になった。容姿が最優先事項だったので、性格などは妥協した。
周囲からは「これはお似合いや、納得」などと言う言葉をもらえて、自分の心も満たされていた。
今思えばこの初めての恋愛の時から、僕は相手のことではなく、自分の見られ方、周囲から羨ましがられるのか、
そんなことしか考えていなかった。相手のことよりも自分のことの方が大事で、可愛くて仕方なかったのだ。