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江戸の中の大正ロマン【肥後細川庭園】@目白台

目白坂にある【関口フランスパン】から早稲田方面へ抜けようと、神田川沿いを歩いていたら、【喫茶 椿】のおしながきが目に留まる。

こちら【肥後細川庭園(ひごほそかわていえん)】と言う池泉回遊式庭園で

江戸時代中期以来、旗本の邸宅で、末期には徳川将軍家の一門である御三卿の一つである清水家や一橋家の下屋敷となり、幕末には熊本54万石の細川侯の下屋敷に、1882年(明治15年)には細川家の本邸になったとのこと。

1961年(昭和36年)に都立公園として開園した後、文京区に移管されたようなのだが、なんとこちら、お茶室があるぐらいなので、入園料がいくらか取られるのかと思いきや、なんと無料で中に入ることができるのだ!

雨が降った後なので、池が少々濁ってはいたが、奥行きを感じる林の奥に高い建物がないので、一瞬ここが東京ということを忘れる空間が広がる。

江戸時代から品種改良を重ねてきたと言う門外不出の肥後六花のうち、春夏秋冬でそれぞれ一つずつみることができ、6月は肥後花菖蒲が庭園に彩を与える。

庭園はこじんまりとはしているものの、地形の変化があるので、ちょっとした散策を楽しむことができる。

また、池に流れ込む小川(湧水)のせせらぎも心地よい。

庭園内にはベンチもあり、自然の中で読者を楽しむ人の姿もある。

都内には浜離宮恩賜庭園、芝離宮恩賜庭園、清澄庭園、六義園、小石川後楽園などで江戸の大名庭園を楽しむことができるが、ここは知らなかったなぁ。

こじんまりとしていて、かつ都が運営していないだけに穴場なこともあり、観光客も少ないので、のーんびりと庭園を楽しむことができる。

庭園を一周した後は【松馨閣(しょうせいかく)】の中にある【喫茶 椿】で庭園を眺めながらの一服を楽しむ。

こちらの建物は大正時代に建てられたもので、細川家の学問所や住まいとして使用されていたようで、現在は喫茶室の他、集会室があり、2階は展望所となっている。

畳敷きの喫茶室は窓に向かって席が並ぶ。

飲み物は抹茶、冷抹茶、グリーンティの3種類あり、それぞれに、熊本藩の幕府献上菓子を再現した「加勢以多(かせいた)」というお菓子がつく。

抹茶:600円
冷抹茶:700円

注文した品は席まで運んでくれるのだが、初めて訪れた人には丁寧にお菓子の説明をしてくれる。

「加勢以多」という名前はポルトガル語のCaixa da Marmelad(マルメロという西洋かりんのジャムの箱)が由来とのことで、このお菓子が食べられるのは東海道五十三次を模した桃山式庭園「水前寺成趣園」の「古今伝授之間」とここだけ。

お菓子の香梅

かりんジャムを寒天で固めたものに、もち粉をまぶしたお菓子なので、鹿児島のかるかんのような独特な香りが広がる。甘さ控えめで上品なお菓子。

こちらの喫茶店は長居禁物で、滞在時間は15分以内の制限付きではあるけれど、水の流れる音をBGMに非日常時間を楽しむことができた。


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