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第7回:リース会社が倒産した場合について説明します【日本型オペレーティングリース】

こんにちはJOLアドバイザーです。

「日本型オペレーティングリース事業(以下:リース事業)への出資後、営業者であるリース会社が倒産した場合はどうなるのか」という質問を受ける事が多いです。そこで今回はその質問に答える内容の記事を書きました。

※私について知りたい方は、下記の自己紹介をご覧ください。


1.匿名組合とリース会社の関係

リース会社と匿名組合の関係性は、匿名組合がリース事業の賃貸人であり、リース会社がその事業運営をサポートする営業者という役割です。

<図1> 匿名組合とリース会社について

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その為、仮にリース会社が倒産しても、リース事業の賃貸人は匿名組合である事から、リース事業は継続されます。

ただし、賃貸人である匿名組合は投資家の集合体であり、リース事業の運営機能を有していません。

その為、運営者であるリース会社が倒産した場合、匿名組合は新たな事業の運営者となる別のリース会社を探し、その運営を委託する必要があります。

※匿名組合とリース会社に関する参考記事です


2.日本リースの倒産事例

かつて日本リースという会社が存在しました。

同社はレバレッジドリース(日本型オペレーティングリースの前身商品で基本的な構造は同じ)のパイオニアであり、当時他のリース会社を圧倒する件数のレバレッジドリースを組成していました。

しかし、同社はバブル崩壊の影響を受け1998年に倒産しました。

その際に同社が組成したレバレッジドリースの匿名組合は営業者を失う事になりました。

しかし、他の複数の大手リース会社が匿名組合の営業者としての地位を受け継ぎました。

その結果、日本リースが組成したリース事業は、同社が倒産した後も継続され投資家の出資金の大半は当初のシナリオ通りに償還されました。


3.他のリース会社が営業者の地位を引き継いだ理由

他のリース会社が営業者の地位を引き継いだ理由は、主に以下2つです。

 ⑴ノウハウ継承
 ⑵大手企業との関係構築

 ⑴ノウハウ継承

1998年当時に、レバレッジドリース事業を組成できるリース会社は、今よりも限定されていました。

理由は、実質的に日本リースが開発したスキームであり、その組成ノウハウが他のリース会社にはなかった為です。

その様な状況の中で日本リースが倒産しました。そこで他の大手リース会社は日本リースが有するリース事業のノウハウを手に入れる為に、匿名組合の営業者としての地位を引き継いだのです。

※その際、日本リースで組成に携わっていた従業員も、リース事業契約と共に複数引き抜かれた様です。


 ⑵大手企業との関係構築

なお、他のリース会社が匿名組合の営業者としての地位を引き継いだのは、リース事業の組成ノウハウを得るだけではなく、その先にいるリース事業の賃借人とのリレーション構築も意図していました。

つまり、営業者としての地位を引き継いだリース会社が従来は接点を持てていなかった大手エアラインとの関係性を持つ為に引き継ぎたかったという側面もあるのです。

この事から、世界の大手航空会社や海運会社向けに組成されたリース事業は引き継がれる可能性が高いと言えます。

反対に、倒産状態だったり、評判の悪い賃借人の場合、トラブル回避の目的で他のリース会社は営業者になりたがらないケースが考えられます。


4.営業者が見つからない場合どうなるのか

仮に営業者が見つからない場合ははどうなるのでしょうか。

リース事業の契約毎にその取り決めは異なりますが、一般的には賃借人が物件の買取費用を支払いリース事業を清算する事が多いです。

ただし、その場合の買取費用は賃借人にとってかなり優遇されたものであり、場合によっては投資家の元本が毀損する可能性があります。


まとめ

(1)リース会社が倒産しても、リース事業が直ちに終了する事は無い
(2)別なリース会社を営業者として起用する事で事業は継続する
(3)その為には他のリース会社にとっても一定のメリットが必要
(4)営業者が見つからない場合リース事業は終了する
(5)その際の清算条件は契約によって異なるが元本毀損の可能性あり


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これから出資を検討している方は是非読んでみてください。どんな目線で商品選びをすれば良いのかについて記載しており、読んでいただく事で安全性の高い出資案件を選ぶ目線を持てる記事になっています。

※どんな案件に出資すれば良いのかについても言及しており、大切な資金を守る為の参考になるはずです。

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