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第13回:登場人物と基本スキーム【日本型オペレーティングリース】

日本型オペレーティングリース(以下:リース事業)は、日本の税制を利用したオペレーティングリースです。

投資家はリース事業に出資する事で、出資金の70%−80%相当を出資初年度に損金計上が可能となり(損金参入率は商品ごとに異なります)、

リース事業の満了時に出資金が償還される事から、利益の繰り延べができます。

今回の記事では、その登場人物の役割と、スキームの説明をいたします。

※私について知りたい方は、下記の自己紹介をご覧ください。


1.登場人物

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※リース会社(SPC)の補足説明
リース事業の賃借人は匿名組合ですが、匿名組合は投資家の集合体であり、リース事業の意思決定ができません。その為、リース会社(SPC)が匿名組合より委託手数料を受け取り、匿名組合に代わりリース事業の契約締結・運営等の賃借人業務を代行しています。

リース会社SPCの役割について詳細が気になる方は、こちらの記事をご参照下さい。

2.基本スキーム

以下がリース事業における、基本スキーム図と資金の流れです。

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①匿名組合出資(リース会社の代行出資)
賃貸人である匿名組合は、リース物件購入代金のうち、投資家の出資額(物件代金の20%−30%相当)を営業者(リース会社(SPC))からの代行出資で調達します。

営業者が投資家に代わり代行出資をする理由は、リース事業を開始させ投資家に配分される損益や資金条件を確定させた後に投資家の募集を行う事が一般的である為です。

リース事業を開始させる為に必要な資金を、営業者が投資家に代わり一時的に負担し、リース開始後投資家にその持分を譲渡するのです。

②融資契約(金融機関からの資金借入)
賃借人はリース物件購入代金のうち、70%−80%相当を金融機関から借入で調達します。

③リース物件購入
賃借人がメーカーから航空機や船舶等のリース物件を購入します。その決済は、上記①と②で集めた資金で行います。

④オペレーティングリース契約/⑤リース料支払
メーカーから購入した物件を賃借人が賃貸人(航空会社/海運会社)へリースします。賃借人は対価としてリース料を賃貸人に支払います。

⑥元利金返済
⑤のリース料を原資として、金融機関からの借入金を返済します。

⑦地位譲渡契約(投資家へ匿名組合員の地位譲渡)
投資家は、①で営業者が代行出資した匿名組合員の地位を譲り受ける為、営業者に出資金を支払います。営業者は対価として匿名組合員の地位を投資家に譲渡します。こうして、投資家は匿名組合員となります。

⑧リース物件売却/売却代金受領
リース期間満了後、リース物件を中古市場で売却し、その売却代金を受領します。

⑨出資金償還
⑧の物件売却代金を原資として、投資家へ出資金を償還します。

3.まとめ

登場人物とスキーム理解は、そんなに難しくはないですね。

もっと深く知りたい内容があれば、コメントを頂ければ嬉しいです。

<関連記事>
(1)日本型オペレーティングリースの損益計上(会計・税務)の仕組み

(2)航空会社や海運会社がJOLを利用するメリット

(3)リース会社がJOLを組成するメリット

(4)金融機関がJOL事業に融資するメリット

(5)リース会社SPCの役割

(6)リース会社(SPC)が倒産した場合のリース事業について

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