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師匠の苦しみ|俳句修行日記

「苦しみの中から俳句は生まれる」と、師匠のたまう。苦しみの世界に、ボクは身を投じたということなのか?
 すると師匠、「俳句とは本来の世界に目を開かせるもんじゃ」と。

 師匠の描く世界の前提には、「苦しみ」がある。苦しみは、生きていく中で生じるものなのではない。ボクたちは、苦しみの中に生まれ落ちたのだ。そして、「それは変化をいざなうものじゃ」と、師匠は言うのだ。
 つまり苦しみは、留まることを欲する者に「不快」を与え、踏み出す者に「喜怒哀楽」を展開させる…

「歌を知らない者は、喜怒哀楽に溺れるもんじゃ。俳人はそこに面白みを見て、怒りを笑いに、悲しみを涙に置きかえる。また、楽しみは笑いとなり、喜びは涙となって、胸の鼓動と共鳴するもんぞ。」(修行はも少しつづく)