トラブルの多いトラベラー、旅行帰りの電車が人身事故で止まる
なぜかトラブルに巻き込まれることの多い九州旅行記その5、ついに最終回である。前回は熊本から福岡へ向かい、西鉄や南博多線の乗り潰しと福岡の観光について扱った。
今回はその続きで、西鉄貝塚線を乗り潰して貝塚駅に到着したところからスタート。
前回すでに触れたが、貝塚駅は地下鉄箱崎線へ段差なく乗り継げる設計になっている。
それにしても、縦列してホームが並んでいるならいっそのこと線路をつなげて直通させれば良いのに……と思ってしまうが、編成数の違い(貝塚線は2両、箱崎線は6両)から実現は難しいようだ。分割併合で対応するとしても、作業時間を考慮すると現状の徒歩乗り換えと対して変わらないだろうしなあ……。
ちょこっと福岡観光
日も完全に沈む中宿へ戻り、預けていた荷物をピックアップ。さっそく空港へ向かう……前に、訪れていなかったスポットへ。
博多駅前2丁目交差点!!「え?どこに観光要素あるの?」と思うかもしれないが、ここは 2016 年に発生した博多駅前道路陥没事故の陥没現場だ。この事故で「落ちないコンビニ」として有名になったのが上のセブンイレブンで、受験生の聖地になっているとかなんとか。まあ私は受験生ではないのだが……。
現場周辺には事故の痕跡は1ミリも残されていなかったが、Wikipedia によると最近になって記念碑が建てられたらしい。「なんでいまさら?」と思ったが、事故の原因となった七隈線の博多延伸が完了したタイミングで設置したのだろう。
それにしても1週間も経たずにあの大穴が塞がれたというのは、日本の土木技術の高さに感服せざるを得ない。海外だと欧米の先進国でも道路がボッコボコだったりするからな……。
空港へ
そんなわけでようやく空港へ。博多駅から地下鉄で2駅という抜群のアクセス性はまじでありがたい。
福岡空港は都市規模の割にはコンパクトな作りとなっており、保安を抜けるとすぐ搭乗口にアクセスできる。まあ羽田がデカすぎるだけで地方空港だとこれが標準なのだろうが。
というわけで時速 900km で羽田までワープ。
羽田到着後は慣れた足取りでササッと京急に乗車し、品川駅で山手線に乗り換え。帰宅ラッシュは完全に終了している時間だったこともあり席も確保できたが、渋谷あたりでけっこうな乗車があり車内はやや混雑。原宿、代々木でいくらかの乗降があった後、列車は新宿へ向かっていく。
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。。
。。。
とここでいきなりの緊急停車!!
かなりの勢いだったこともあり、車内もざわつく。酔っ払いがホームから転落して非常ボタンが押されたのだろうか?それにしては急だったしもしや……などと考えていると、車掌さんのアナウンス。
「新宿駅の対向列車にて人身事故が発生しました。当列車はこの場で運転を取りやめます。」
なんてこったい\(^o^)/
アナウンスの瞬間、車内の随所からもため息が聞こえてきた。まあどう嘆こうが仕方ないわけだが、人身事故の発生駅に入場する直前というのは一番不幸なケースを引いてしまったな……。というのも、普通は事故発生後に列車が進めるところまで進んだ上で運転見合わせとなるため、その場で車内に放置されることはないわけだ。
また、事故の該当列車に乗っていた場合もホームには到達しているため、少々時間を要するものの脱出は可能だろう。実際、私がかつて事故の該当列車に乗車していた時はホームにかかっているドアから脱出できた。(通勤通学などで普段は電車を使わない民なのだが、なぜか人身事故に巻き込まれる経験持ち)
一方で今回のケースだと、入場先の駅で事故が発生したためこれ以上進むことができず、その場で放置される事態となってしまう。「いやいや、進めないなら戻ればいいじゃん」というツッコミが来そうだが、列車は閉塞の関係からすぐにバックさせるのが難しいのだ。
そんなわけで放置プレイが始まったが、15 分ほど経ったあたりで再度アナウンスが入り、代々木駅へバックで戻ることが決定したとのこと。方向を変えるために運転士さんと車掌さんが 11 両分移動し、ゆっくりゆっくりと外回り線を逆走していく。
代々木駅に到着後もホームドアとの連携の関係からだいぶ時間を使い、ようやくドアが開いたのは事故発生から 30 分以上経過した 11 時 58 分。さて、私はここから西武新宿線にダッシュで乗り換えなければならない。
終電 RTA
西武新宿線はコロナ前は終電の遅い路線として一部の界隈で注目を集めていたが、コロナ禍での繰り上げによって現在は他路線と大して変わらなくなっており、新所沢までは 0:14 発の準急が終電だ。新所沢より奥地と拝島線には人権など存在しない。
で、代々木駅から西武新宿駅までの所要時間は Google マップの案内によると 18 分。ただしこの案内は PePe 入口までのルートとなっており、実際にホームへたどり着くまでは追加で2分程度見込む必要があるだろう。
つまり、約 20 分の道のりで 16 分後に出発する終電に間に合わせなければならない。ここから導き出される行動はただ1つ。
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ε≡≡≡≡≡≡┏(:'o')┛うおおおおおおおおおおおお!!!!ダッシュダッシュダッシュ!!!!
怒涛の勢いで階段を駆け下り、
全速力で改札を通過!
深夜の新宿を走り抜ける……!!
小田急の踏切を渡る直前で警報機が鳴り始めてしまったが、遮断器が動き出す前になんとか通過。代々木駅から新宿方面は若干の登り坂になっているのだが、ここでスタートダッシュを決めておいたのが効いた。あと、代々木駅でドアが開くのが 10 秒くらい遅かった場合でも踏切でブロックされていただろう。まあ遮断器下りても階段で迂回すれば良いのだが、精神的にけっこう辛い。
新宿南口に救急車が集まっているのを横目に見つつ、西口から北へ抜けていく。終電の時間であってもそれなりに人が多いものの、ラッシュ時間帯に比べれば全然スカスカ。それにしても救急隊員はお疲れ様すぎる案件だ。
そんなこんなでなんとか西武新宿駅のホームに到着。信号待ちの時間が短かったこともあり、発車4分前には改札を抜けることができた。代々木駅のホームから 12 分で到着というのはなかなかの記録ではないだろうか。
なお、人様の迷惑になるような危険な走りはしていない……はずである。というか5日間の旅行分の荷物を背負っていたため、スピードを出したくても出せない状況だった。以前の旅行でも重い荷物を背負ってダッシュした経験があるが、その時は夏服で荷物が軽かったのに対し今回は冬なのでより厳しい条件だ。まあ気温的には寒いほうが走りやすいけど。
それにしても福岡空港でお土産に明太子とか買わなくて良かった……もし買っていたらバックパックの中でぐちゃぐちゃになっていただろう。
帰宅
というわけで無事に終電へ乗車し、どんぶらこと運ばれていく。ここでうっかり寝てしまうと完全にゲームオーバーだが、終電 RTA によりアドレナリン全開状態となっており眠気は1ミリも湧いてこなかった。乗車後 10 分くらいは汗が無限に出てくるし水分補給しても喉がガラガラという、高校の持久走以来味わってこなかったあの感覚を体験していた。
そんなこんなで最寄り駅に到着。意外なことにこんな時間でも下りていく人がちょこちょこいた。仕事帰りだろうか……お疲れ様です。
おわりに
というわけで、全5回に渡るトラブルだらけの九州旅行記もこれにて完結。振り返ってみると、自分ではどうしようもない事象に起因するものから完全に自分が悪いものまで様々なトラブルがあったが、その多くは工夫次第で回避または被害を軽減できるものだった。
自分以外に責任を完全に押し付けて思考停止すれば楽ではあるが、自身の行動を省みて次の改善へと繋げていければ建設的だろう。実際、今回の旅では注意力や想像力の不足を改めて認識する機会をいくつも得た。普段の生活ではあまり内省することがないためこういった経験は貴重だ。
また、トラブルを重ねることで一人旅の良さを改めて実感できた。「いやいや、トラブルを複数人で解決できるほうが良くない?悲しみも分散できるし」と思うかもしれないが、私は社会不適合者ゆえに複数人旅行でトラブルに合うとイライラが蓄積されてしまうという不具合がある。怒りの感情は行き場をなくすとわりとすぐに消えてしまうため、発散しようのない一人旅の方が感情的にならずに済むわけだ。今回の旅でも頭の中では「おいいいいいい!!」と憤慨したトラブルもあったが、2-3 分くらい経つとイライラは収まっていた。感情の賞味期限なんてその程度のものだ。
正直なところ極力トラブルには遭遇したくないものだが、振り返ってみるとなんやかんやで楽しいし良い思い出になっていたりする。きっとこれからもトラブルの多いトラベルを続けていくことになるのだろう。
……といったところで今回はここまで。
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