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特急リバティで会津若松へ日帰り弾丸旅行した話
2022 年春、大学院に進学した私は研究そっちのけで就活にフルコミットしており、夏インターンに向けた選考対策でわちゃわちゃしていた。そんな中、学部卒で就職し無事に社会人という名の懲役 40 年の刑に処せられた同期から弾丸旅行のお誘いが。
就活で忙殺されているとはいえ、GW は院の講義もなく研究室も休み、長期インターンも休みで選考の面接もない(やっている企業もあったが……)。そんなわけで丸1日くらいは空けられるだろうということで、旅行に同行することにした。旅の目的地は福島県の会津若松で、往路は東武・野岩・会津鉄道で復路は新幹線という、来た道のりを帰りたくない原理主義者の私にとっては大変ありがたい旅程となった。ただし弾丸旅行のため朝の5時半頃には家を出ることに……。
特急リバティと会津直通
東武の特急列車と言えば日光・鬼怒川温泉までを結ぶ観光特急のスペーシアだろう。一方で群馬県の赤城や太田などを結ぶ地域輸送型の特急がりょうもうだ。近年新たに登場したリバティはビジネス・観光の両面を併せ持つ特急で両特急の運用を補完しているほか、野田線への直通も行われている。
で、鉄オタ的にアツい運用となっているのが「リバティ会津」で、鬼怒川温泉からさらに北へ進み、野岩鉄道・会津鉄道まで直通する長距離特急だ。浅草からの走行距離は 190 km にもおよび、私鉄としては近鉄のしまかぜ(京都~賢島 195 km)に次ぐ2位、関東ではぶっちぎりの1位となっている。というか近鉄がバケモノ過ぎる。
今回はそんな特急リバティ会津に乗ってひたすら私鉄で会津若松へ行く。
さっそくスタート
で、東武と言えば北千住や浅草から乗車するのが基本になるが、私は東京西側民ゆえに都心を突き抜けて行くのはやや時間がかかる。貴重な睡眠時間を確保するため、今回は武蔵野線で新越谷までワープしてから春日部で乗車することにした。……まあ朝バッチリ目覚めてしまったので、結局家を出る時間は北千住まで行くルートと大して変わらなかったのだが。
まずは新越谷で乗車券を発券。100 km を超える区間ということで学割が効くほか、野岩・会津鉄道への直通切符となると途中下車も可能だ。
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春日部をぶらぶら
想定よりも早い便に乗ってしまったため、乗り換えの春日部でさっそく途中下車してみることに。有人改札で通してもらう形だ。
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春日部と言えばクレヨンしんちゃんの聖地だ。伊勢崎線と野田線が交わるジャンクションでもあるが、都心からはそれなりに距離があるため駅周辺は「まさに郊外」といった景色。
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一応駅チカの聖地巡礼を済ませておく。サトーココノカドー。
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その後はテキトーに駅撮りしつつリバティの到着を待つ。東武のはずが東急車ばかり来るという……。
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ちなみにリバティは満席とのことだった。GW パワー恐るべし。
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そんなこんなでようやくリバティ到着。改めて見るとけっこうゴツい見た目しているな。
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リバティで GO
さっそく乗車し、北千住から乗っていた友人と合流。ちなみに前3両が会津まで行くリバティ会津、後3両が日光へ行くリバティけごんとなっている。
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春日部を出発すると特急らしい快適なスピードで駅をすっ飛ばしていき、1時間くらいで分岐駅の下今市に到着。ここでけごんを切り離し、山間部へ突入していく。ちなみに鬼怒川温泉から先は乗車券のみで乗車可能で、各駅で降りる客もちょこちょこいるため車内はそれなりにわちゃわちゃする。
鬼怒川温泉の廃墟群を横目に見ながら(写真撮りそこねた)鬼怒川を上っていくと、東武の最果てである新藤原に到着。ここからは野岩鉄道だ。
野岩鉄道は山奥の第三セクターということもあり線路状況はあまりよろしくなく、スピードはだいぶ控えめになる。先程まで軽快に走っていた近代的な特急列車が、地方鉄道らしくガッタンガッタン上下に揺れるのはなかなか面白い体験だった。
長いトンネルをいくつか抜けて栃木から福島に入ると会津鉄道にバトンタッチ。ここからはあっという間に終点の会津田島に到着だ。会津若松行きの列車に乗り継ぐ。
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車内はこんな感じ。特急からの接続を考慮した観光列車となっており、設備はけっこう豪華だ。
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1時間ほどで会津鉄道の起点である西若松に到着。春日部からは3時間半の道のりだった。東京から私鉄・三セクのみで来れる場所としては最果てだろう。
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ちなみに市の中心駅は2駅先の会津若松駅となっており、会津鉄道も全て JR に乗り入れて会津若松まで行く。乗り入れ先の只見線よりも本数が多いという逆転現象がおきているのは面白い。
会津若松観光
そんなわけでここからはひたすら観光。まずは鶴ヶ城へ。歩いて 30 分という微妙な距離だったので贅沢にタクシーへ課金。複数人旅行だとタクシーけっこう強いな。
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さっそく天守閣に登る。GW でそれなりに混雑していたが、景色は遠くまで展望できて良い感じ。
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鶴ヶ城の特徴が国内唯一の赤瓦天守閣だ。積雪への対策として鉄分を多く含む上薬を塗っているため赤くなっているらしい。遠くから見ると黒瓦と見分けがつきづらいが、上から見るとわかりやすい。
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下から見るとこんな感じ。
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鶴ヶ城観光を終えて昼食を済ませてからは別行動開始。市内の観光スポットを巡るには周遊バスを利用するのが便利だ。
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まず向かったのが飯盛山。白虎隊自刃の地として有名だ。
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課金が必要なスロープコンベアは華麗にスルーし、ぐるっと回りながら登っていく。
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戸ノ口堰洞穴。山の向こう側にある猪苗代湖から湖水を引くために作られた用水路だ。
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猪苗代湖畔の戸ノ口で敗れた白虎隊が鶴ヶ城へ帰城するために使用したのがこの水路。
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自刃の地。合掌。
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周辺には鶴ヶ城を眺める隊士の像がいくつか置かれている。
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けっこう望遠しないと撮れなかった……というか、謎に高いアンテナがもろ被りしてしまった。
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ちなみに、白虎隊は城下町の火災を城が落城したものと勘違いして自刃したという話がよく知られているが、実は誤りである。私も中学生くらいの時にこの説を学んだ気がするのだが、いつの間に脚色されたのだろうか。
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飯盛山にある有名観光スポットがさざえ堂だ。国の重要文化財にも指定されている。
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内部は二重らせん状のスロープ構造となっており、一本道を進むだけで最上階に到達し、そのまま折り返さずに一番下まで戻ってこれるという面白い構造だ。
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中には御札がびっしりと貼られている。さざえ堂は元々西国三十三観音を安置し、お手軽三十三観音参りスポットとして建てられたらしい。その時の参拝客が貼っていった御札が今も残っているというわけだ。
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スロープの傾斜が結構きついが、それ以上にミシミシとすごい音がして不安になる。壁に小さい穴も空いてるしいきなりバキッと床が抜けたりしないだろうか。
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二重らせん状ということで、天井部分は下りのスロープとなっているわけだ。だいぶ低いため頭を下げながら登っていく。
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で、一番上に到着。
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ここにも御札がびっしり!もちろん、新たに貼るのは厳禁だ。
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上り下りのスロープはこんな感じで接続されている。
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外から見るとこんな感じだ。面白い構造なのはもちろん、床が抜けそうなひやひや感も普段はなかなか味わえない体験だと思うのでおすすめだ。
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近くにはこんな碑が。なぜピサの斜塔と並べられているのだろう。
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お次は会津武家屋敷へ。
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歴史ある城下町だとだいたい武家屋敷が観光スポットになっているが、ここもその1つ。
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他所の武家屋敷に比べると入館料がちょっと高いが、その分コンテンツは充実している印象を受けた。
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ただし、全部じっくり見て回るとそれなりに時間がかかるため注意したい。
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この地においても一族が自刃するという悲劇が。しかしこうして資料を眺めていると薩摩長州を中心とする新政府と会津の溝はだいぶ深そうだが、現代においてはどのような関係なのだろうか。薩摩は西南戦争もあったし。
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精米所。けっこうな振動が響いておりなかなか面白かった。
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こういう建物見ていると創作意欲が湧いてくる。
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続いて向かったのが昭和なつかし館。建物の写真を撮り忘れてしまったが、内部は昭和レトロで所狭しと埋め尽くされておりとてもエモい。
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昭和の街並みや生活空間がきれいに再現されており、当時の文化に触れることができる。「懐かしい!」と感じる年代の方もいるのだろうが、私としては異世界の文化を体験するような楽しさがある。
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このごちゃごちゃ感がたまらない。
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そんなこんなで良い時間となったため、友人と合流して夕食を済ませてから帰路につく。
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帰りは新幹線でワープ
会津若松駅へ。時間があれば猪苗代湖で夕日でも拝もうかと思っていたが、だいぶ日が暮れてしまったので直行する。
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磐越西線の郡山行き。郡山~会津若松は1時間に1本走っており、快速列車はけっこう飛ばすものの特急などは走っていない。
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ふと横を見ると会津鉄道が通り抜けていった。
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会津若松から猪苗代湖まではだいぶ高低差があるらしく、山間部を通り抜けるわけでもないのに勾配を緩めるためにぐねぐねと曲がりながら上っていった。それなりに見通しの良い景色なのに傾斜がきついという光景はなかなか面白い。
そんなこんなで郡山に到着。新幹線ホームへ向かいしばらく待っていると、盛岡始発のやまびこが 10 両編成で滑り込んできた……が、3両しかない自由席はほぼ満席!う~むさすが GW パワー。一旦この便はスルー。
で、15 分ほど待つと今度は仙台始発のやまびこが 17 両編成でやってくる。盛岡始発が 10 両で仙台始発が 17 両という時点で意味がわからないのだが、なんとこの 17 両編成やまびこ、後ろに連結している E6系(12-17号車)は全て自由席という大盤振る舞い。そしてこのスカスカ具合!大勝利である。
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東京始発のはやぶさ・こまちの送り込みなのだろうか?とにかく、スカスカの車内で快適に帰ることができた。東海道新幹線と違い東北新幹線はあまり乗らないため列車番号なども全く把握していないのだが、この 17 両やまびこはかなり乗り得列車な気がする。
大宮駅で在来線に乗り継ぎ、武蔵浦和で友人に別れを告げて武蔵野線で帰宅した。余裕で日付変更前に帰れたため、健全な弾丸旅行となった。
おわりに
そんなこんなで会津若松へ日帰り弾丸旅行に行った話だった。やや交通の便は良くないものの、長い歴史によって培われた文化と建造物があり、観光地としてかなり楽しむことができたのでおすすめだ。鉄分補給したい場合は特急リバティにもぜひ乗車してみてほしい。
……といったところで今回はここまで。
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