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突如JRのタダ券を貰ったのでチャリを持って北へ向かった話

旅行の際、現地までの移動手段や宿泊先はどれくらい前に決めるだろうか。

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私は計画通りに動けない人種のため細かい旅程はほとんど決めないが、大まかな旅程はかなり早めに決め、全速力で飛行機や宿の予約を取るタイプである。海外旅行だと3ヶ月前、国内だと2ヶ月前くらいに決められると満席になることも少なく、値段的にもかなりお得だ。

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しかしながら、珍しく宿も取らずに出発してしまったのが今回のお話。

JRのタダ券を貰う

2018年の夏、秋の文化祭に向けた準備やサークルの方針について話し合うためOBの方とミーティングをした。
どちらかというと真面目な話よりも雑談でわちゃわちゃしてしまったが3時間ほどで終了。そして解散する際に、OBから「もう使わないから」とJRのタダ券をいただいた。

……がしかし、この券をもらったのは有効期日3日前の夜。2日間しか残されていないが、どうにか活用したいところだ。

どうにかスケジュールをこじ開ける

夏季休暇中の大学生とはいえ、そんな簡単にフラッと旅に出るのはなかなか難しいだろう。この時は奇跡的に翌日、翌々日どちらもバイトは入っていなかったが、教習所の予定がガッツリ入っていた。翌日は午前午後ともに学科教習、翌々日は午後に技能の高速教習といった感じだ。

……が、ここで諦めるわけにはいかない。学科教習の時間割と30分ほどにらめっこしたところ、翌日の午後の教習は来週に持ち越しが可能であることが判明。さらに高速教習は一度予約をキャンセル、再度空いてるコマにねじ込むという荒業を実行し、どうにかスケジュールを空けることに成功した。

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翌日午前の学科教習については、先延ばしにする場合卒業が遅れてしまうためさすがにここは妥協。……といっても、急いで免許を取る意味は全く無かったのだが。

さっそくスタート

午前の学科教習を終え、お昼ごはんを食べた後に自宅を出る。どうでもいい自慢だが教習所がチャリで10分かからない場所にあるため、教習のスケジュールはかなり柔軟に組めた。

ちなみにスケジュールを空けることに全力を費やしていたため、この時点では具体的な旅程はほとんど決められず「とりあえず北へ向かおう」というなんともアバウトな考えで出発した。

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まずは国境を越え埼玉県へ。所沢から入り、一気に北上して川越へ。西武新宿線はかなり迂回ルートを通るが、道路だと一直線のため1時間かからずに到着する。

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ちなみに所沢も川越もそこそこ渋滞するため、車でも所要時間はあまり変わらなかったりする。
車の場合はいかに近道・裏ルートを知っているかが重要になるが、チャリは何も考えずに主要道路をすっ飛ばすだけなので楽といえば楽。

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川越観光……などしている暇はなく、すぐに国道254に合流しさらに北上。1時間ほどで東松山に到着。
私の地元である東村山市がなぜか埼玉県と認識されるのはこの東松山市のせいだと思っている。まあ、東村山も東京都とは言い難いが

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東松山からは254から分岐して407号で北上。またしても1時間ほどで熊谷に到着。

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個人的な感覚では川越が埼玉のど真ん中にあるのだが、実際には所沢~川越、川越~東松山、東松山~熊谷でだいたい同じ距離となっている。さらに熊谷から埼玉を抜けるにも同じぐらいの距離が必要になる。埼玉県、意外とデカいのだ。

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(マピオンより引用)

後はチャリを電車に乗せて移動してもよかったのだが、「まだ体力残ってそう」という理由によりさらに走る。利根川を越えると群馬県に突入

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……が、このあたりから急に辛くなってきた。というのも景色が全く変わらないため、精神的に疲労してきたのである。
北関東は完全にぺったんこな平野が広がっているため、体力的にはかなり走りやすいものの景色はかなり退屈だ。

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そんなこんなでどうにか伊勢崎に到着。すでに暗くなってしまったが、軽く周辺散策。

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「日常」の聖地となっているらしいが、あまりピンとこなかった。

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そして肝心の宿だが、当然のごとく予約していないためその場で探してみる。すると隣の太田市にシャワー付きの快活クラブがあることを発見。「満喫は宿とは言えないのでは」というツッコミは聞かないことにする。

さっそく太田市へ向かう……が、これがなかなか辛かった。というのも「隣の市」を東京の感覚で捉えていたのが間違いで、いつまで走っても到着せず絶望した。都市部と地方では行政区域の大きさも全然異なってくるわけだが、どうしても東京のスケールで考えてしまう。

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また、地方だと道が自転車用に整備されておらず街灯も少ないため、車が真横をビュンビュン走り抜けるにもかかわらず路面状況がよくわからないという状態が続いた。

満喫で一泊

そんなこんなで太田市に到着。快活クラブを使うのは初めてだったため、チェックインする前に会員登録しようとすると……

店員さん「未成年者の宿泊はできません」

え?まじでΣ(゚Д゚;

18才以上なら大丈夫だと思っていたのだが、いきなりピンチ。「う~ん……駅の方へ行ってビジネスホテルに泊まるしかないか」と考えていたところ、店員さんの勘違いだったことが判明した。危なかった。

そんなわけで、満喫にも関わらずマンガには目もくれずにシャワーを浴びてすぐに就寝。そもそも横になれるのかという不安があったが、完全にフラットになる部屋を選んで対角線上に寝転がることで解決。ただし身長の高い人はきついかもしれない。

早朝に出発

そんなわけですぐに翌日。7時間くらい寝ればどうにか体は動くため、日が昇る前に出発した。といってもサイクリングはもうお腹いっぱいのため、この日は鉄道での移動をメインにする。さっそくJRの足利駅へ。

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駅で輪行していると、地元民と思われるおじさんに話しかけられた。しかも折りたたみ自転車を輪行してサイクリングに行くということで、まさかの同業者。「こんなところで輪行している人は初めて見たよ!」とのことだったが、たしかに足利市の中心部の方へわざわざ観光に行く人はあまりいない気がする。(いきなりの足利市ディスり)

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両毛線に乗って東へ向かう。

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栃木駅の手前にある岩舟駅で途中下車。

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岩舟駅は「秒速5センチメートル」の聖地となっている。

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雪が積もっていれば完璧だったが季節は完全に真夏。

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駅構内を軽く散策し、後続列車に乗車。小山駅で東北本線に乗り換え、さらに1駅先の小金井駅で黒磯行きに接続。

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私の中で小金井と言えば東京の小金井市になるが、駅の歴史は栃木の小金井駅の方が長い。湘南新宿ライン・上野東京ラインの終着駅にもなっているため、名前だけは聞いたことのある人もいるのではないか。

ひたすら乗り継いで郡山へ

終点の黒磯で新白河行きに乗り継ぐ。電化区間にも関わらずディーゼル車が走っているのはなかなか面白い光景だが、現在はもう見れなくなってしまったらしい。

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さらに新白河で郡山行きに乗り継ぎ。

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そんなこんなで乗り継ぎも含め3時間ほどで郡山に到着

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これ以上先へ進むと帰れなくなってしまうため、郡山で輪行解除し周辺散策することに。東北地方に足を踏み入れたのはこれが初めてとなった。

郡山散策

「郡山に観光するところなんてあったっけ?」と思うかもしれないが、実は「未確認で進行形」の聖地となっており、今回は聖地巡礼に勤しむことに。

……が、チャリに乗りながらだとわざわざカメラを構えるのが面倒でほとんど写真は撮らなかった。まともに写真を撮ったのは酒蓋公園という良い感じの池がある公園のみ。

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謎の噴水が。

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近くには絶妙に日本庭園チックな池も。

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ちなみに聖地スポットは駅から普通に歩ける距離のため、徒歩での巡礼もおすすめできる

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地方都市あるあるだが、駅からしばらく離れるといきなり田園風景になるのが面白い。

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そんなこんなであっという間に散策を終え、駅に戻ってチャリを解体。輪行する人が珍しいのか、解体中に話しかけてきた人が何人かいた。
話に夢中になって列車に乗り遅れそうになるが、どうにかダッシュで新白河行きに乗車。

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全力で帰宅

しばらくは来た道をそのまま戻るだけ。新白河で乗り継ぎ、黒磯へ。

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寂れ具合が良い感じ。

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宇都宮行きに接続するが、この列車は見送る。

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しばらく駅構内を散策。東北本線でも常磐線の列車が走っているのか。

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駅の外は工事中だった。

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さらにもう一本宇都宮行き。こちらも見送る。

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しばらく待つと、よく見慣れた車両が10両編成でホームに滑り込んできた。黒磯始発の通勤快速上野行きである。(写真を撮りそこねた)

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黒磯から東京方面に直通する便は少ないながらも設定されており、中には熱海まで4時間半程かけて行く列車も存在する。ただし、昨今のダイヤ改正により長距離の直通列車は減少傾向にあるため注意が必要だ。今回乗車した通勤快速もすでに廃止されてしまっている。

追記:2022年3月のダイヤ改正で上野東京ラインは宇都宮で系統分離することになり、黒磯発着は完全に廃止となった。

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グリーン券を購入しさっそくグリーン車へ。チャリを持っているため、今回は平屋部を利用。チャリは席の後ろに無理やり押し込む……が、少し通路にはみ出てしまった。やはりクロスバイクだと体積的にきついところがある。

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グリーン車は1階か2階かで意見がわかれるところだが、平屋部も広々としておりかなり快適。荷物の多いときなどはこちらの方が幸せになれるかもしれない。

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いざ東京へ

定刻に黒磯を出発。のんびりと車窓を眺めるが、2日間の疲れがどっとでてしまい、宇都宮に着く前に完全に意識を失った


。。


。。。


そのまま寝過ごして上野へ……というオチはなく、埼玉県内でどうにか復活。熱海に連行されるよりはマシだが、通勤ラッシュの上野にチャリを持った状態で放り投げられるのは地獄。

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そんなわけで大宮に到着。むさしの号に対面乗り換えできるという神乗り継ぎにより、あっという間に帰宅できた。

おわりに

そんなこんなで、何も考えずにチャリで走ったり乗り鉄した話だった。振り返ってみると、いきあたりばったりにしては効率的な旅程だったと思う。
しかしながら、裏を返せばゆっくり観光できない弾丸旅行になってしまったため、そのあたりは反省。

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今回訪れた伊勢崎や郡山については消化不良感もあるため、機会があればまた行ってみたい。

……といったところで今回はここまで。


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