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オタクがTOEFLを自宅受験したら少しトラブった話

海外の大学や大学院に留学・進学する際、語学力の証明としてTOEFLのスコアを要求されることが多い(特に北米の大学)。そんな権威のあるTOEFLだが、某ウイルスの影響により1年ほど前から自宅受験が可能になっている

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今回はいまさらながらTOEFLの自宅受験に挑戦したところ、少しトラブったお話。

準備編

まずは自宅受験の環境構築から。内容としては調べれば普通にまとめられている情報しかないため、知っている方は読み飛ばしてもらっても構わない。

公式サイトの記述の通り、受験者以外に人のいない静かな部屋で、Webカメラ等によって監視されながらテストを受けることになる。もちろんスピーキング用のマイクや音声を聞くためのスピーカーも必須だ。ヘッドホンがNGな点には注意したい。

私の場合は普段使っているデスクトップPCが条件を満たしていたため、そのまま使用した。ノートPCの方が手軽だが、残念ながらまともなスペックのノートPCはなかった。

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Webカメラは以前Amazonで購入した安物を利用。マイク機能も付いているが音質が随分悪かったため、普通にピン接続のマイクを別途使用した。

ただし、普通のマイクでは距離によって音量が随分変わってしまうため、Web会議で使われるような集音タイプのマイクの方が適切かと思われる。

次にノートテイキング用のホワイトボード類。TOEFL自宅受験では紙にメモることができないため、ホワイトボードを用意する必要がある。
大きさについては指定がないため、今回は大は小を兼ねる理論でA3のものをAmazonで購入。

イレーサーも必須。ペンに付いている小さいイレーサーでは消しきるまでに次の問題が始まってしまう。

そしてペンも重要。会議などでホワイトボードを使うのとは違い、メモ用なのでなるべく細いものの方がありがたい。

ちょっと値が張るが↑の4本で900円するものを購入。というか0.5mmのホワイトボード用ペンって探しても全然なかった。

普通の2mmのペンでメモしてみるとこんな感じだが……

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0.5mmだとこんな感じ。

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少ない面積に情報を詰め込めるため、消す際のスピードも向上。

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太いペンだと消すのに若干時間がかかる上、消しカスも残りやすいため高いペンを買う価値はあるだろう。

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ただしこのペン、高い割には少し不満もあったりする。まず、かすれやすい点。うまく書くには少し筆圧の調整が必要かもしれない。さらに持ち手の短さ&細さも気になる。
また、クリップがない点も残念ポイント。丸いので一度転がりだすと延々と等速直線運動していく

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他に困った点としては、左利きという身体的制約により文字が消えてしまうことが多かった点が挙げられる。ただでさえ左手だと素早く書くのが難しいのに、頑張って書いたメモが自らの手によって消え去っていくのは絶望しか無い
この現象は今までの人生において「左利きで困ったランキング」堂々の1位にランクインした。ちなみに2位はレストランや給食におけるスープバーのおたま。あれ左手だとどう頑張っても使えないんだよね。

で結局、なるべくメモを縦に書いていくことでどうにか解決した。

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あとは試験の予約方法だが、これは公式サイトの手順通りに進めれば特に問題ないと思われる。会場で実施されていた時は良い会場の争奪戦が起こっていたが、自宅受験であれば全く問題なし。
ただし料金は相変わらずのボッタクリ(245ドル)。今回は年明け頃のビットコイン騒ぎで稼いだあぶく銭を利用した。イーロン・マスクには足を向けて寝られない。

……といったところで準備編はここまで。

勉強編

一応使用した教材などについてまとめておく。勉強の期間としては年明けからの3ヶ月になるが、平均して1日1~2時間程度しか勉強していなかった。大学の授業や数学の勉強、卒論関連のリサーチなどなどに時間を割かれていたというのもあるが、老衰によって受験生のような長時間の勉強は体力的に厳しくなってしまっているのも大きい。

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TOEFLは2019年の夏から新形式に移行し、若干問題形式に変更があるものの基本的には旧形式の教材で問題ない。ちなみに私は試験3日前くらいに新形式の存在を知った

まずは単語帳から。ド定番すぎるTOEFLテスト英単語3800

そもそもTOEFL用の単語帳に選択肢があまりないのでこれで十分だろう。目標点が90点だったためRank 3(目標点100)まで一通りやった。Rank 4(目標点105~)は一切見てない。

大学受験時に使用していた単語帳も残っていたため、こちらも一応1周しておいた。やっぱり単語が羅列されているよりもイラストやら語源の説明が充実している方がいいなあ……。

問題演習についてはZ会のTOEFLエッセンスシリーズを使用。推奨されている攻略法は微妙なことも多かったが、解説はとても充実していた

あとは公式の問題集(英語版)も。テストに関する情報はいろいろと記載されているもののネットで調べれば出てくるものだし、解説がかなり微妙だったのであまりおすすめしない。私の英語力が低すぎて英語による解説が理解できなかったというわけではないはず……。

後は中国TPOを利用してPC画面での問題演習も行った。中国TPOの使い方は調べれば出てくると思う。

当日

ようやく本編開始。各セクションの感想とトラブルについて時系列順に見ていきたい。

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(ごちゃごちゃしたオタク部屋で受験するわけにはいかないため、急遽テスト用のデスク環境を整備した)

受験登録を完了するとETS Online Testというソフトをインストールすることになるが、実はこれは罠。Exam IDもpasswordも受験者は知ることができないため、ここからは試験を始められない

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正解はETSから送られてきたメールのURLからProctorUというサイトにアクセスする方法。予約した時間になるとこのページからスタートできる。

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で、さっそく困ったのがWebカメラの映像が認識してくれない問題。仮想のカメラとして映像を出力するOBSやFaceRigについては一度アンインストールしておいたのだが、システム的には残っていたらしくChromeはFacerig Cameraの灰色の映像を延々と映し出していた。

解決策はかなりシンプルで、スタートボタンの右クリック→デバイスマネージャーからImaging devicesを無効にしておけば大丈夫。普段からバ美肉しているオタクはバーチャルカメラの設定に注意だ(ちなみにアンインストールする必要はたぶんなかった)。

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で、試験監督と繋がった後にパスポートや部屋の確認をする。……が、ここでも困った事態に。なんとWebカメラの画質が悪すぎてパスポートのIDが確認できないというのだ。カメラに近づけてもぼやけまくり。まあ、近くのものにピントをあわせてくれるほど高性能なカメラではないからな……。

ただし試験監督もそういったトラブルには慣れており、スマホで一度撮影した上で拡大して見せるよう指示された。スマホ持ち込んでいいんかい。

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で、どうにか解決。その後部屋全体とPCモニターをカメラで写し、不正がないことを確認。スマホは手の届かない場所に置くよう指示された。さらに耳や腕なども見せる。カンニングができないよう厳格にチェックされるわけだ。このあたりはノートPCやiMacを使う場合でもWebカメラを別途取り付けたほうが確認しやすいと感じた。

さらに試験監督が画面共有&遠隔操作し、システム側の不正がないことを確認。この時点でデスクトップ画面が相手に共有されるため、恥ずかしくないものにしておくべきだ

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で、立ち上がっているソフトをひとつひとつ確認し、ソフトによっては試験監督の判断で落とされる。テストに関係ないソフトは事前に閉じておこう。

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あとは接続されているモニターがひとつだけであることを確認。Windowsの言語が日本語だったとしても操作に困ることはないと思うが、英語に設定しておいたほうが親切だ

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そんでもってようやく試験開始。ETS Online Testを立ち上げ、Exam IDとpasswordを入力してくれる。

あとは会場で試験を受ける際と同様の手順で進んでいく。「I live in Tokyo. I live in Tokyo. I live in Tokyo…...」

試験開始

他の受験者がいないということで随分快適な環境で試験開始。まずはReadingから。

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旧形式では1パッセージ14問20分が3つという構成だったが、新形式では1パッセージ10問で18分となっている。

3パッセージで試験時間は54分となっているため、1つ目は残り36分目安に、2つ目は残り18分目安に解けば良い。……のだが、「あれ?18*2っていくつだっけ?」となってしまい、しばらく1パッセージ目の目安終了時間が計算できずにいた。理系の大学院に進学予定なのだがもうだめかもしれない\(^o^)/

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ありがたいことに今回は3パッセージの難易度が易→中→難の順になっていたため、効率的に時間を配分して解くことができた。続けてListeningへ。

Listeningの新形式では講義問題がいくつか削られ、若干試験時間が短くなっている。会話問題が得意な身としてはありがたい話だ。
……が、今回はなんかやたら問題の難易度が高かった気がする。会話問題も「うわ!それ聞いてなかった!」という問題が出てしまい撃沈

そんなこんなでボコボコにされながら10分の休憩時間に突入。事前に9分にセットしていたタイマーをつけ、糖分と水分を補給。

休憩後

少し時間に余裕をもたせて部屋に戻る……が、試験開始時間になっても何の反応もなし。しばらく待っていると試験監督が遠隔操作し、ETS試験画面を一度非アクティブ化してProctorUのチャット画面を表示してくれた。ああそうか、監督とコミュニケーションするには一度画面を切り替えないといけないのか。

画面切り替えの際にはAlt+Tabではなく、1度Windowsキーでスタートメニューを出してから他のウィンドウをアクティブにするという原始的な方法が採用されていた。

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それにしても、スタートメニューのRecently addedにカスタムオーダーメイド3D2の体験版が表示されているのは心臓に悪かった。

いや……このゲームはたしかにR-18だが、VRでバ美肉ができると聞いて体験版を入れてみただけで、決して邪な目的で入れたわけではないのだ!と頭の中で主張したが、そもそも試験監督は日本語読めないだろうから特に心配する必要はなかった。とはいえメンタル面でのダメージがあったのは辛い。

そんなこんなでSpeakingに突入。新形式ではIndependentとIntegratedがそれぞれ1問削られ、合計で4問を解くことになる。

う~ん……それにしてもSpeakingは苦手だ。喋った単語数が重視されると聞いていたため、テキトーバックパッカー特有の文法発音めちゃくちゃEngrishをマシンガントークしたが、点数にちゃんと繋がるかはわからない。

まさかのトラブル

そんなめちゃくちゃなrangageを喋っていたところ、3問目に突入する際にいきなり試験監督にテストを中断された(’ω’)ファッ!!となっていたところ、

「スクリーン以外のところを見ていたよね?」

ナヌ-!!思わず「見てないよ!」と反論してしまったが、たしかに問題の説明とかでは視線が明後日の方向を向いていたかもしれない。

そんなわけでもう一度机の上や部屋全体のチェック。休憩前の試験監督とは別の人が対応しているようで、モニターの裏など先程は何も言われなかった部分も厳密にチェックが入った

さらに窓のブラインドも閉めるよう言われ、掛かっていたカレンダーも外して見えない場所へ。大量のマトリョーシカについては何も言われなかった。

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正直、こいつらに見守られながら試験を受けるのは気が狂っているかも。試験監督も内心「なんでマトリョーシカ?」とツッコミを入れていたかもしれない

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しかもよく考えたら、部屋の後ろの方に謎の人形が飾ってあることに気づいた。気にしない気にしない。

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そして最後に引き出しもチェックされた。紙類がいろいろと入ったままだ……これも外して見えない所へ置かなければ。

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「右側の引き出しも見せて」との指示。ガラリ。

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┗('o'≡'o')┛ウワアアアアアアアアアアアアア!!

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あああああああああああ>(^o^)

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どうにか平常心を保ち、冷静に取り出してテキトーな場所へ移した。引き出しの中身には要注意だ
というかそもそも引き出しは前日の時点で取り外していたのだが、親が元に戻してしまったらしい。二重の意味でなんてこったい。

そんなこんなでようやく試験再開。ここまでくると逆に精神状態は安定していた。……といってもSpeakingがボロボロなのは変わりなく、ボコボコにされながらあっという間に終了。

そして最後にWritingだが、こちらは新形式でも全く変わらずIntegratedとIndependentの1問ずつ。

自宅受験では普段使っているキーボードがそのまま使える(JP配列でおk!)上に、他の受験者がSpeakingセクションでわちゃわちゃしているのを気にする必要もない。

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Speakingと同様に単語数が重視されるとのことだったため、これでもかと言うほどキーボードを叩きまくった。具体的にはIntegratedは300wordくらいで、Independentは500word(テンプレートは何も使わなかった)くらい。
ただし、スペルと文法事項のチェックをする時間がなかったためそのあたりで減点されているかもしれない。また、表現の幅を広げる目的で副詞や形容詞を少し凝ったのだが、文字数稼ぎのための冗長表現と捉えられ減点対象になる可能性もある。

いずれにしろ、不安事項はあるものの個人的には実力を発揮できた方だと思う。Speakingが死んだ分Writingで稼ぎたいところだ。

で、テスト終了。試験監督とホワイトボードの書き込みが消されていることを確認し、ETS試験ソフトとProctorUを終了する。

ちなみにReadingとListeningはこの時点で点数が確認できる。今回はそれぞれ27点、20点だった。う~ん……やはりListeningが難しかったなあ。とはいえスコアが悪すぎてもう1回受け直すという事態にはならなそうで一安心ではある。まあ、SpeakingとWritingのスコアが出ないとなんとも言えないが。

おわりに

そんなこんなでTOEFLの自宅受験をした話だった。調べればいろいろと情報が出てくるものの、全くトラブルなく終わらせるのは意外と難しいかもしれない。とはいえ試験監督もそういったトラブルには慣れているだろうから、予想外の事態にも落ち着いて対処するスキルが重要だ。

新形式によって試験時間が短縮された上に自宅受験のメリットはかなり大きいため、TOEFLを受験するなら今がチャンスかも知れない

……といったところで今回はここまで。

追記
2週間ほどで結果が判明した。

Reading:27
Listening:20
Speaking:16
Writing:22
合計:85 

Speakingが大爆死してるな……。もしまた受ける機会があれば重点的に対策しよう。とりあえず、目標点は90点だったものの院試的には80取れれば足は引っ張らないはずなのでこのスコアを提出する。

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