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オーストラリア農業の先進性から学ぶ! 第45回 ケーススタディで豪州市場の可能性を探る② 〜マーケティング編その5 SWOT分析で〜

日本のいちご生産者にとって、海外市場の開拓は新たな収益源となる可能性を秘めています。しかし、その道のりは険しく、成功には戦略的なアプローチが必要です。今回は、テストマーケティングの地として相応しいオーストラリア市場への展開を目指す冬いちご生産者のケースを例に、前回に引き続きマーケティング戦略立案における環境分析のステップの一つ「SWOT分析」を深掘りしていきます。おさらいとして今回は、冬いちごのみを日本市場に卸していた生産者が、夏いちご栽培も試み、「冬いちご=主に豪州市場」と「夏いちご=日本市場」での展開を両立するビジネスモデルを取り上げます。まず、冬いちごを分析していきましょう。

SWOT分析で考察する際、内部環境(品質、価格、サービス、ブランドなど自社内で解決可能)は「強み・弱み」、外部環境(景気、市場トレンド、競合他社の動向など自社内で解決不可能)は「機会・脅威」の要素に分類します。また、「強み・機会」はプラスの要素、「弱み・脅威」はマイナスの要素に分けられます。

日本で栽培する「冬いちご」をオーストラリア市場で展開する際に「強み」としては、いちご自体の形状、ラグジュアリーなパッケージデザイン、高糖度の高級いちごとして、差別化が容易であることが挙げられます。一方「弱み」としては、保存期間が短く、夏場のコールドチェーンの管理が難しく、表皮が柔かい日本いちご品種は長期輸送に適していないことが懸念点として挙げられます。これらの解決に繋がる「機会」は、親日国であり日本ブランドの優位性が高い豪州市場は州政府による投資サポート・連携する機会が豊富にあり、現地企業とも協業で事業運営しながら、課題を解決することができると考えられます。一方で「脅威」については、日本品種盗用リスクや高品質な韓国産いちごの市場拡大リスク、新規市場参入した外国産いちごに対する、現地いちご生産者によるクレームなどが考えられます。

まとめ(日本の農業者の皆様へ)

オーストラリアを始めとする海外市場での成功を目指す日本のいちご生産者にとって、SWOT分析は有力なツールです。強みを活かし、機会を最大限に利用することで、競争力のある戦略を立てることができます。
次回は、日本で栽培する「夏いちご」を日本市場で展開する際のSWOT分析と、「冬/夏いちご」の分析結果をどう生かすかを取り上げます。

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