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オーストラリア農業の先進性から学ぶ! 第21回 豪州での有機栽培(その3:有機農法が取り入れられている「都市型農業」の事例)

はじめに

今回は、オーストラリアの「都市型農業」について、CERESでの取り組みを事例に、ご紹介します。この記事では、有機農法を取り入れた都市型農業の具体例を挙げ、農業ビジネスの発展に役立つ情報を提供します。

都市型農業とは?

「都市型農業」とは、大都市の市街地区画内またはその近郊で農業を行い、食糧を生産・流通させることです。この概念は、1991年のソ連崩壊後のキューバで、米国の経済封鎖により食糧不足に直面した際に始まりました。農薬や化学肥料が入手困難だったため、必然的に有機栽培で農業が行われるようになりました。この取り組みは、食糧自給率を向上させるとともに、環境にも優しい農業として注目を集め、世界各国で取り入れられています。オーストラリアでもこの政策が参考にされ、多くの都市で都市型農業が展開されています。

メルボルンのCERESの事例

メルボルン近郊にあるCERESは、約4.5ヘクタールの土地を有する環境保全を目的とした特定非営利法人です。有機農業を含む環境分野の教育と研究を推進しており、オーストラリアで最も環境教育に力を入れている団体として国際的に認知されています。毎年約40万人がCERESを訪れ、農業教育や環境保全に関するプロジェクトに参加しています。

CERESの活動内容

CERESでは、都市型農業を実証する有機農場や地産地消を実現する有機農産物マーケットが併設されています。また、個人やコミュニティ、産業分野、政府機関と連携し、研究成果を社会に還元するための視察ツアーなども定期的に開催しています。これにより、地域全体が持続可能な農業の実践と教育の場として機能しています。また、敷地内には、都市型農業を実証する有機農場、地産地消を実証する有機農産物マーケットも併設されています。

CERESホームページ: https://ceres.org.au/ 

「都市型農業」×「グリーンテクノロジー」プロジェクト

CERESでは、都市型農業における循環型農業システムを実現するため、節水や廃棄物処理技術を用いたプロジェクトが進行中です。例えば、コンポストトイレは水を使用せず、微生物と酵素の力で排泄物を分解し、有機肥料として再利用する仕組みです。これにより、都市部でも持続可能な農業が実現されています。

新たなカルチャーを創出する都市型農業

オーストラリアでは、ヴィーガンやベジタリアンのライフスタイルが20~30代の若年層を中心に広がっています。CERESの「都市型農業」は、有機農業を通じて動植物の愛護を提唱しており、このトレンドにマッチした取り組みを展開しています。多くの若者がボランティアとして参加し、新たなブームの火付け役となっています。

ヴィーガンフードの市場価値

オーストラリアのヴィーガンフードの市場価値は急増しています。市場価値は、2016年の153百万豪ドルから2019年には215百万豪ドルに達しました。

まとめ ~日本での応用~

オーストラリアの都市型農業は、環境保全と食糧自給率向上を両立させる持続可能な農業モデルとして注目されています。農業者にとって、有機農法を取り入れた都市型農業は、新たなビジネスチャンスとなるかもしれません。
特に、以下のポイントに注目すると良いでしょう。

  1. 都市部での小規模農業:都市部やその近郊で小規模な農業プロジェクトを始めることで、地元消費者との直接的な繋がりを持つことができます。

  2. 有機農法の導入:健康志向の消費者に向けて、有機農法を採用することで付加価値を提供できます。

  3. グリーンテクノロジーの活用:持続可能な農業を実現するために、最新の技術を取り入れましょう。例えば、精密農業技術や自動灌漑システム、ドローンを使った農作業の効率化が考えられます。

都市型農業は、環境保全と経済活動を両立させる有望なビジネスモデルです。オーストラリアの事例を参考に、他の視点での都市型農業についても模索してみてはいかがでしょうか。

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