見出し画像

#2「身体」と「物理環境」

noteのページに来てくださり、有難うございます。
慢性的な痛みに対する考え方を少しずつ整理していきます。
お気軽に読んでいただいて、慢性的な痛みを生じない身体づくりに役立て頂けると嬉しいです。
前回は「心」と「社会環境」について書きました。今回は、その対極と考えている「身体」と「物理環境」について書いてみます。

身体は「人間や動物が持つ物理的な構造と機能の総体」であり、骨格,筋肉,内臓,神経系,循環系,呼吸器系,消化器系,泌尿器系,生殖器系など様々な器官や系統が相互に作用して構成されています。

物理環境は「人間や動物が暮らす空間や地球上の物理的な環境」であり、大気,水,土壌,気候,地形,照明,音響,温度,湿度,振動,放射線などが含まれます。物理環境は私たちの健康や生活に影響をあたえます。特に身体との関係で重要な部分は、建物の設計,温度,湿度,照明などです。

これらを合わせると、私たちの物理的な構造と機能は地球上の空間環境に影響を受けるということになります。

少し痛みの例を加えながら話を続けてみます。
例えば、私たちの腰が痛んでいるとします。この時、腰に何らかの原因があるんじゃないか?と考えるのがごくごく一般的な考えです。でも身体は「腰」という骨格部分だけでできているわけではなく、なおかつ地球上の空間環境の影響を受けます。その視点をもつと「腰が痛い」という現象に対して「腰」が原因と考えると少し狭いような気がします。(スポーツ外傷などで「腰を直接打った」などの場合は急性痛のため別の視点が必要です)

誤解が生じないようにお伝えしておくと、痛みが生じたときには先ずは「病院受診」が第一選択です。名医のクリニックは待ち時間が長いことなどで受診が懸念されますが、私はまず病院の受診をお勧めします。整骨院や鍼灸院、コンディショニング施設ではありません。理由は簡単です。「レッドフラグ」を見逃さないためです。言葉を噛み砕くと、緊急を要するものかを判断するという事です。それには、医療に真剣に向き合っておられるクリニックに時間がかかっても足を運んでもらうことが大切だと考えています。

話を戻します。
19世紀頃から世界的に解剖学や生理学の研究が進み、急速に医学が進歩してきたと言われています。新薬が多く開発されたのも19世紀、抗生物質が発明されたのは20世紀です。それまでは身体を上記のように多くの器官で捉えることはなかったようです。逆説的に言い換えれば、まだ身体のわからないことが多く、大雑把にしか捉える事ができなかったのかもしれません。

物理環境で有名なものは、物体の運動に関する3つの法則をまとめたものであり、「ニュートンの運動の法則」として知られています。これは、アイザック・ニュートンが17世紀に提唱したものです。

これらを合わせて考えると、身体よりも物理環境の方が先に解明されてきたのかもしれません。その物理環境を抜きにして身体を語ると私たちが実感として感じることと、少しズレが生じやすくなるのかもしれないと考えることもできます。

文章の要約

地球上という物理環境を抜きにして語るとすると「宇宙」がキーワードになるかもしれません。私の娘は小学2年生になりますが、小学館から出されてる「宇宙」という図鑑に興味をもっています。その中で大西卓哉宇宙飛行士(JAXA)がさまざまな形で宇宙の紹介をしてくださっています。宇宙でしばらく生活してから地球上に戻ってきて最初に驚いたことは「うまく喋ることができなかった」だそうです。後々考えると、宇宙ステーションでの生活では筋肉が落ちないように日々様々なトレーニングを行ったようですが「舌」のトレーニングはなかったそうです。それで地球に戻った時に重力に抗して舌をうまく動かすことができなかったからうまく喋れなかったと分析されていました。

少し話が飛んでしまいましたが、我々の身体について語るならば、この物理環境の影響を少なからず考慮しておいた方が良さそうということは何となく感じ取っていただけるのではないかと思います。

私のこれまでの経験談としても慢性的に痛みを感じられた方のリハビリやコンディショニングをしていく中で部分(肩こりなら肩、腰痛なら腰)に注意を向けてもなかなか改善しない方が多くおられました。

「腰が痛い=腰に原因」というような単純な思考では慢性的な痛みを改善するのは難しくなります。私が教わった恩師の表現を借りると、日本地図を見て世界地図は書けないけど、世界地図から日本地図は書けるということです。

慢性痛は身体を部分ではなく全体として、さらに物理環境も含めてをみていく必要があります。

これはスポーツ障害でも同様です。各関節をみていくことは大切ですが、全体として身体がどうなっているのかを診ていくことも同じように大切です。

実際にどうみていくかはまた続きを書いていきたいと思います。
何かの参考になっていたら幸いです。今週も良い1週間になりますように。

藤井 隆太

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?