見出し画像

#13感情をどうコントロールするか②

Noteのページにお越しいただき、有難うございます。

先週、感情コントロールについて、先ずは「ありのままの自分の感情を大切にしましょう」という内容を書きました。言葉で書くと簡単ですが、実際に自分のありのままの感情を大切にするというのは難しいですよね。そこまでできている方は、その時点で感情コントロールが上手なのかもしれません。今日はその続きで「感情をどう表出するか」という部分を考えてみたいと思います。

先ずはある程度根拠が示されている内容について整理してみます。

私たちが感情を表出する際には「言語」を用いることが多くありますが、言語を用いる発話は大きく2つに分けることができます。

発話には社会的発話と私的発話の2つがある。

岩男,1995

言語はその機能面から外言と内言の2種類に分けられる

Vygotsky,1934

この2人の研究者が定義しているように、発話には、言葉には出さない自分の頭の中での「思考」とコミュニケーションの手段として「言語表出」するものに分けられるようです。またVygotskyは、思考と言語はもともと独立していて、2歳前後でようやく結び始めるといっています。つまり、自分の思考を考えていく中で言語が必要になり話し始めて、この言語と思考は年齢とともに徐々に深まっていくということです。これらはさまざまな研究明らかになりつつあります。

身近なところでは「自己開示」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。自分自身に関する情報を言語化して他者へ伝えることです。これは、対人関係の発展に寄与するだけでなく、精神的健康とも結びついていると言われています。しかし、自分を開示することは、感情的回復に繋がるような根拠はまだ示されておらず、感情コントロールとの関係は不明です。

これとは反対に「自己隠喩」という言葉もあります。

自己隠喩とは「否定的もしくは嫌悪的と感じられる個人的な情報を他者から積極的に隠喩する傾向」と定義されています。

河野,2001

つまり、自分のネガティブな部分を話さないということです。これは、会話における発話抑制について検討した畑中らの研究によると「相手志向」「自分志向」「関係距離確保」「規範・状況」「スキル不足」の5側面で分析されています。女性では関係距離確保(相手との関与を避けるために発言を控える)やスキル不足(言いたいのにうまく言葉にすることができない)が会話不満感を媒介して精神的不健康に結びついていたと報告されています。

理論や定義はこのように論理づけられてきていますが、どうすれば私たちは自分の感情をコントロールしやすくなるのでしょうか。
ここからは憶測の域を越えませんが「自分の感情を出せる相手がいる」「自分をありのままに受け止めてくれる環境がある」ということが非常に重要なように思います。
理論上、自分の感情をありのままに感じる必要性が大切といわれており、その感情は言語化することにより思考が深まる事もわかっています。つまり、私たちの態度・価値・関心を成長させていくためにもその時感じた感情を「話せる」という環境は非常に重要になります。逆に、その感情を表出できない環境にいると、自分自身の思考が深まりきらず、本来の自分でない誤った認識になってしまう可能性も考えられます。人の感情は発生学的に嫌悪な感情が先に分化していることから考えても自己完結してしまうと感情はネガティブに認知されやすくなるように思います。「自分が感じたその時の感情を素直に共感できる誰かが自分の周りにいる」ことが感情コントコールには重要になるのではないでしょうか。

みなさんの周りで感情コントールが上手な方はどんな方でしょうか?少し思考を巡らせてみてください。一致する何かがあるかもしれません。

今週も良い1週間になりますように。

藤井 隆太

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?