詩66/ 神とシイタケ

目の前に
神様が現れて
貴方の望みを一つだけ叶えましょう
と仰っしゃりました

さあ
どうしますか
どんなことだって叶えてあげます

あの人に会いますか

あの人を消しますか

才能を手に入れますか

金儲けをしますか

酒池肉林に溺れますか

世界中を旅しますか

病気を治しますか

大切な人の命を救いますか

戦争を止めますか

世界を平和にしますか

過去や未来に行きますか

俺は
神様に
こう伝えました

シイタケが苦手なんで
食えるようにしてください

あとは自分で
何とかやりますと

神様は
消化不良な顔をしてましたが
丁重に御礼をして
お見送りしました

無欲に感じますか
そうじゃないんですよ
俺だってそりゃあ
あんな夢こんな夢いっぱいありますよ

ただ
どんなに前向きな力でも
自分の進みと違う
ベクトルとトルクで
いきなり自分の人生に働くのが
手首の脈を強く握られるように
苦しく感じただけですよ

でも
シイタケはお陰様で
美味しく食えるようになりました
ありがとう神様
感謝いたします