詩63/ 夜風
大きなスタジアムで
大きな戦いがあって
何万人もの人々が
興奮の坩堝にあって
戦いが終わって
その熱と余韻も覚めないままに
人々も選手も皆去ったあと
自分の足音だけが響く観客席を
一人黙々と掃除する
そして最後に
スタジアムと事務所の照明を落として
50ccの原付に乗って帰路につく
冷え切った空に
こうこうと光る月と星を仰ぎ
夜間点滅信号に変わった交差点を
左右に気をつけて通過し
すれ違う車もない深夜の道を
前照灯で真っすぐに照らし
静寂の中
風を切り家路をひた走る
俺は
そんな創作をする
創作者でありたい
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