『ジョニーぶらり旅』沖縄編③完
やっと、シャワーを浴びれると思い、ホテルの部屋に入った。なかなか綺麗なホテルで、居心地が良い。
しかし時折、先ほどのフロントでの会話が頭に浮かぶ。
「あそこ出ますよ。何人自決していると思ってるんですか」
おかげでシャワー浴びるときも、後ろの気配が気になってしかたがない。
シャワーを終えて、約30時間ぶりにベッドで眠ることができる。窓からは沖縄の綺麗な空が見える。心地よく眠りに落ちていった。
気が付くと、すっかり夜になっていた。6時過ぎだったろうか。
このままではどこも観光せずにおわってしまう。急いで準備をして、国際通りへと出発した。
モノレールでつくと、なにやら集会が開かれていた。県長選挙のための活動らしい。
国際通りではナンパする者、食べる者、歌う者、多種多様な人種がいた。あまり外国人は見なかった気がする。
好物のタコスを見つけ、食べる。そしてその隣の手相占いで、占い無料体験した。なにせ、美人なお姉さんだったので、占ってもらうことにした。
勿論占いなんて信じない。無料体験が終わると、しっかり高額なパワーストーンをセールスされたので、ガン無視して出てきた。
国際通りといえば、こういった雑貨屋だろう。インクレディブルハルクの等身大フィギュアや、ウルトラマンなど、信じられないほどたくさんの物が飾られていた。
奥へ進むと、弾き語りをしているお兄さんに遭遇し、長渕剛をリクエストした。
「そっちのジャンルかい、渋いね」と突っ込まれたが、洋楽しか聞かないので、歌える曲が長渕剛くらいしか知らなかっただけである。面目ない。
すると、歯がすくない酔ったおじさんが私の隣にきて、からみはじめた。
「あんたどこからきたんだよ」「ソーキそば食ったか?」
「この歌ってる兄ちゃん、いつもいんだぜ」「今日は俺が静かなもんで、こいつびびってやんぞ」
悪いおじさんではないが、すこし挙動不審だった。
三日目。夜のフライトまで時間があるため、早めにチェックアウトし、海軍司令部豪の中を見学。
私のほかに誰も見学者がいなく、洞窟のなかを一人でさまよった。とても冷たい空気が流れており、恐ろしかった。資料室では、私と同年代の兵士が特攻攻撃によりバラバラになった写真が展示されており、とても心が痛んだ。死ぬ事が決められた軍事作戦は、国家が命令できる範疇を越えているのではないかと感じた。
次に向かったのは、アメリカンヴィレッジ。
そこに向うまでで感じたのは、米軍基地の多さ。とても多いし、とても広い。
私は神奈川県出身なので、米軍基地がある環境は慣れているが、それにしても沖縄は桁違いだった。
アメリカンヴィレッジから見える海は、神奈川ではみることのできない透き通ったものだった。
ハンバーガーを食べ、ミリタリーの店を物色し、急ぎ足で那覇に戻った。
お土産を買える店が無かったので、また国際通りへ。
信じられない速度で買い物を済ませ、沖縄の空に別れを告げて、空港へ。
飛行機に乗ると、夜景が見えた。隣りの席で、スパムを食べ始める女子たち。あまり匂いが好きではないので、きつかった。
成田空港に着くと、父親から「もう帰りの電車ないから、空港で泊まりな」とのこと。
寝袋、アイマスク、耳栓と、野宿のセットを揃えていた私は、雑魚寝している他の人と違い、ホテル並みの環境で再び眠る事ができた。
野宿を経験することで、危機管理能力が上がり、自身がつき、日ごろの生活がいかに幸せかということに気が付ける。
これがとても重要なのだ。
布団、電気、水、トイレ、これらはどれも、今の我々になくてはいけないが、人類の歴史上、ほとんど自力で生活を営んでいたことを踏まえると、体験してみて損はない。
なんとなく沖縄に行き、なんとなくぶらぶらしてみたが、沖縄はとても刺激的で、二泊三日じゃ満喫しきれない。いつか、もっと沖縄らしいところを観光しにいきたいと感じた。
そして、飛行機で一人旅という経験を積んだジョニーは、一人海外計画を秘密裏にスタートさせるのだった。
予告『ジョニーぶらり旅』グアム編
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