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残業&飲み地獄で得たもの、失ったもの

社会人の人も学生の人も、誰もが辛かった時期というのはあると思う。
もしかしたら、今まさに辛い時期だという人もいるかもしれない。
(かくいう自分も昨年から苦しい状況が続いていて、
サッカーで言えばひたすらシュートを浴びせられているゴールキーパーの気分だ。
失点したら責められるが、止めてもさほど褒められない感じ)
そんな自分だが、実は入社1〜2年目の頃もかなりしんどかった。

【新人時代】
会社に希望と期待を持って入社したものの、配属されたチームはかなり独特だった。
仕事を教えてくれる人はほとんどおらず、引き継ぎも無く仕事が唐突に降ってくる。
高卒ルーキーがいきなり一軍戦に投入された感じ
だ。
仕事がわからないので、当然ミスもたくさん出る。
お客さんや同僚から怒られる日々。
しかし終わらない仕事。
仕事を少しでも減らすため残業していると、先輩から誘われる断れない飲み会。
自分はアルコールは苦手だが、当時は週5で飲みに連れていかれていた。

肉体的にも精神的にもフラフラで、誰かに気をつかう余裕なんてなく、
ひたすらウジウジしていた。
『何かの案件で怒られるんじゃないか』
『忘れていた仕事があるんじゃないか』
『大きいミスをした…。でもどう対処しよう…』
『あの人に怒られたらどうしよう』
という後ろ向きマインド全開だったのだ。

何かにチャレンジして失敗した、というカッコいい話ではなかった。
業務量の多さと自身の処理能力の低さからミスをして、それが更に別のミスを生む、という次元の低い話だ。
自分の成長に繋がらないようなプロジェクトや失敗をして、気持ちも塞ぎ込んでいく。
それでも周りは待ってくれない。
『あの案件はどうなってる』
『お前が勝手に判断するな』
『いつになったら出来るんだ』
『お前のせいで取引先との関係が壊れた』


お医者さんのお世話にこそならなかったが、
平日は終電かタクシー、休みの日も出勤して、毎日が辛かった。
かと言って辞める勇気もなく、社会人人生に希望が持てない日々だった。


【転機】
そんなある日、自分の会社で大きな組織改編が行われることが決まり、
自身のプロジェクトも全てアウトソーシングすることとなった。
今のプロジェクトを超短期間で引き継ぎ、次のプロジェクトも併行して進めないといけない期間がしばらく続いた。
この時が忙しさのピークだった気がする。
現行プロジェクトでの穴や漏れも引き継ぎのタイミングで多数見つかり、色々な方面から怒られた。
しかし引き継ぎの期限は決まっていたので、なんとか耐えることが出来た。
終わりが見えているというのは、多少なりとも自分の心を楽にしてくれた。
こうしてぐちゃぐちゃなりに新人の期間を終えた。

【苦しかった新人時代に得たもの】
苦行に近い新人時代だったが、自分なりに得たものがある。

①厳しい場面に陥っても、『新人の頃ほどはしんどくない』と思える経験
②苦しい時は、信頼できる誰かに相談すべきという実感
③“人は自分のことしか考えていない“という確信


ネガティブな内容に見えるかもしれないが、1つずつ見ていこう。

①厳しい場面に陥っても、『新人の頃ほどはしんどくない』と思える経験
苦しい場面に陥った時、『新人の時に比べたらマシ』という発想を持てるようになった。
誰も助けてくれない、チームは仲が悪く、自分も先輩に恫喝される。
社外のことに目を向けないといけないのに、社内ごとに気を取られてしまう。
そんな状況でもなんとかやってきたのだから、その時に比べればマシだと思えるようになった。

②苦しい時は、信頼できる誰かに相談すべきという実感
ひたすらしんどかったように見える新人時代だが、自分のことを気にかけてくれる人がいた。
隣のチームにいた、独特なキャラクターのおじさんだ。
よく飲みに連れまわされてウンザリしたこともあったが、自分がしんどい時には誰よりも早く気づいて
「お前無理してるな?」
「程々でいいんだよ」
と言って色々と助けてくれた。
また、営業スキル的な話もたくさんしてくれた。
変人ではあったが、自分を助けてくれた恩人だった。
この人に何かを相談すれば、何かしらの光が見えたし、相談することで自分の気持ちもかなり楽になった。
誰かに助けを求めることが苦手な自分だが、このような存在が1人でもいればまだ頑張れた。

③“人は自分のことしか考えていない“という確信
当たり前に聞こえるかもしれないが、人間誰しも自分が一番可愛い。
そんな当たり前のことを身をもって学ぶことが出来た。
関わる時に気をつけないといけないのは、
「何かあったら相談してね?」
と言ってくる人たち。

こういう人たちは善意で言葉をかけてくれているのだが、
本当に苦しい時に助けてくれる人は1〜2割程度だ。
藁にすがる力も出せない時、ほとんどの“善意の第三者”はこちらが溺れていることに気づかないか、
気づいていても見て見ぬふりをするかだ。
わざわざ飛び込んできてくれる酔狂な人は滅多にいない。
それを理解したうえで、
そのことを悲観するのではなく、
自分で泳ぐ力をつけること、たまにいる酔狂な人を大切にすること。
これが一番重要なんだ
と思う。

【苦しかった新人時代に失ったもの】
得たものがあれば、当然失ったものもある。
むしろ失ったものの方が多いかもしれない。
(今現在では取り戻したものもある)

①周囲への期待
②自己肯定感、積極性
③当時の恋人


①周囲への期待
今にして思えば、これは失ってよかったと思う。
困った時には誰かが助けてくれるんじゃないか。
誰かが見てくれているんじゃないか。
こういった期待は、全て妄想に近いものだと感じだ。
事実、自分を助けてくれたのは自分自身だった。
そして今も、周囲には良い意味で期待せずに仕事が出来ているので、
最近では誰かに対して失望するケースは減ってきた。
(それでもたまに、期待して失望してしまうこともあるが…)

②自己肯定感
入社時、自分は割と自信を抱いていた。
学生の頃、学生レベルとはいえ組織をまとめたり、大人たちと折衝したりして、
それなりに仕事の真似事をしてきて、自分の力を本格的に発揮出来ると思っていた。
しかし、入社してから、歳の離れた人、バックグラウンドの異なる人と何かを進めることの難しさを思い知らされた。
また、組織の一番下の立場である自分に対して、ただマウントを取りたいだけなのでは?という人もいて、
とにかくダメ出しをされ続けた。
その結果、積極的な提案をするより、ミスをしないことに気を取られ、段々と自信や自己肯定感も削られていった
今にして思えば情けない話だが、当時の自分にはそれが精一杯だった。

③当時の恋人
これはもう本当に情けない話だが、仕事に追われてどんどん心の余裕が無くなった自分は、
当時付き合っていた女の子にも冷たく当たるようになってしまっていた
仕事でのモヤモヤを、プライベートに持ち込んでいたのだ。
今にして思うと、なんて器の小さい男だったのか。
それでも向こうは気長に相手をしてくれていたが、いよいよ自分がもたなくなりお別れした。
この時の自分のことを思い出すと、恥ずかしいやらお相手に申し訳ないやらで死にたくなる。
もはや自分の力量不足に尽きるし、当時の自分を張り倒してやりたい。


【総括】
自分の新人時代の経験は、他人から見れば苦労でもなんでもないかもしれない。
「そんなことで音をあげたのかよ」という話かもしれない。
でも、自分のキャパや苦手なこと、得意なことやしんどい時の傾向が掴めたのは大きかったと思う。
それにより、『あ、今自分はしんどくなってるな』とか、『これ以上頑張ると壊れるな』というのが
なんとなくだが把握出来るようになった。

今は新人の頃とはまた違った種類の悩みにつきまとわれているが、
しんどい時は頼れる人に相談をする、最終的には自分自身が動いて解決をする、
というポイントは今も昔も変わっていない。


ただし、本当にしんどくて耐えられない人、あらぬことを考えている人は、心療内科に行かれることを強くお勧めする。
命あってのものだねである。

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