見出し画像

読書記録 『いのちの車窓から』

星野源さんの『いのちの車窓から』を読んだ。雑誌『ダ・ヴィンチ』での連載をまとめたエッセイ集だ。

星野さんの周りの人々の様子、普段の生活、ふとした時にする妄想、ゲームの話などが綴られていて、テレビ画面で見るキラキラした星野さんの少し内側を覗くことができる。

同じく『ダ・ヴィンチ』の連載をまとめたオードリー若林さんの『社会人大学人見知り学部卒業見込』みたいに自意識ドロドロといった感じはない。むしろ爽やか。人が好きで、音楽が好きで、夜更かしが好きな俳優であり、シンガーソングライターであり、文筆家である星野さんの生活が割と淡白な文章で語られている。

少し内側が覗けると書いたけど、正直テレビで見る星野さんのイメージとあまり変わらない。やっぱり好青年感は内側から自然と滲み出るものなんだなぁと思った。読んでいてこんな人になりたいと思わせるくらい爽やかだった。星野さんがそうしているように、自分の好きな人や好きなものについて思い返してみたくなる、ほっこりと優しい気持ちになれるエッセイだった。

一文だけ引用させてほしい。

「現実は一つだけれど、どの窓から世界を見るのかで命の行き先は変わっていくだろう。」

この言葉がこの本の中で一番好きだった。結局自分の意識を通してしか世界を見ることはできなくて、同じ現実でもどう受け止めるかで行き先はどこにでも変わるものだな、と。だったら自分が幸せを感じる窓から覗けばいいじゃないと思うのだけど、そうは問屋が卸さないのが人生というもの。前を見続けるのは本当に難しいけど、「現実を現実的に乗り越えていくために」そういう工夫をして生きていこうと思った。


この記事が参加している募集

読書感想文

最後まで読んでいただけて嬉しいです。 ここまでお付き合いいただきありがとうございます。 もしよろしければ、あなたの物語も私に読ませてください。