就活でよく使われる「成長」について考えてみる

就活をしている中で、「成長できる環境」というワードをよく見る。

ただ、「成長」とは何のことを指すのだろう。
ベンチャー企業の方が若いうちからたくさんの仕事を任せてもらえるから、大企業よりも成長できるなんて謳い文句を聞いたことがある。
その成長とは、「たくさんの仕事をこなせるようになること」「1つだけではなく、様々な業務を担当すること」なのかもしれない。

一方で、大企業でも企業ごとの色はあるものの仕事のやり方は学べると思うし、ベンチャーにはない大きな仕事を近くで見ることが出来るかもしれない。整った研修環境があることで心の余裕が生まれ、その他の勉強にも精を出すことが出来るかもしれない。大人数だからこそ周りを見ることで、考え方の幅が広がるかもしれない。きっとこれも「成長」だ。

結局、どこに行っても自分の姿勢次第で成長というものはできる気がするのだ。

ひとつの軸で「成長」を語ってしまうのは、あまりにも安直なことだと思うのである。

私は今日エージェントに、「使えるスキルをつけたいなら、2~3年店舗研修が必須の大手は違うのではないか(ニュアンス)」という旨のアドバイスを受けた。

この時は「なるほどな〜」と思ったものだが、その後よく考えてみた。

店舗研修を通してしか学べないスキルというものはきっとあるはずである。同じ店舗勤務と言えどもアルバイトとは立場が違う。教えられる内容は今後の正社員としての仕事に必要なものであるはずだし、少なくともコミュニケーションは学べるであろう。

研修を早々に切り上げてすぐに現場に立ち、実務をやりながら学んでいくことが必ずしも正しいかどうかは分からないのである。
もちろん、逆も然りである。店舗研修に意味があるのかなんて分からない。

ただ、その「意味」はきっと、働く人間の仕事への姿勢で見いだせるものなのではないだろうか。何かを学び取ろうとすれば自ずと背筋は伸びると思うし、自分なりの工夫を始めると思う。
どんな環境であれ、そうやってPDCAサイクルを回していくことが「成長」なのではないかと私は思う。

ベンチャーと大企業に行った人たちの持ちうる「スキル」は間違いなく違うと思うし、大企業の人はベンチャーの人ほど沢山のことはできないかもしれない。
しかし、その差が「成長」の差なのかどうかなんて誰にも測れないのである。学力は偏差値として図ることができるが、仕事が出来る能力を測る数値はどこにもない。

どちらに価値があるとか正しいとか間違っているとか、そういう問題ではないと思う。

結局、大半の人間は自分のいる場所こそが正義だと思って生きるのであろう。

多くの人は知らず知らずのうちに「世間の考え方」に飲み込まれて、価値を見出し始めるのかもしれない。世の中で生きる上で相対評価は必要であるから、仕方がないとは思う。特に、給料が高い人や成果を残している人の考え方こそが正しいとされるのは必然であろう。

ただ、私は常に疑って考えながら生きていたい。他人が言う「成長」とは、果たして何のことを指しているのか?それは私にとっての真の「成長」なのか?

こう考えると、「成長できる環境か」というものを安易に就活の軸に入れるのは少し危険であると思うのである。

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