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香川にいったのに、はなまるうどんをわざわざ食べる人

小学生の頃、父の仕事の関係でアメリカに5年間暮らしていた。そこで食べたマクドナルドは日本と同じ商品でも、少し違っていた。例えば経済指標の一つにも使われるビッグマックでさえ、国によって大きく違う。

日本のビッグマックを基準とすると、アメリカのビッグマックは少し大きく、脂肪分が多い。アメリカ人が大好きなようにできている。早い、旨い、でかい、デブる。

一方で、海外旅行で訪れたパリのビッグマックは、日本のそれと比べてパサパサとしていた。欧米人は唾液の分泌量が日本人よりも多いので、その違いを考慮しているのだろう。フランスパンなどパサパサのものが多いのも、その一因かもしれない。

料理は同じ料理であっても、国によってその味は異なり、当然地域によっても味は大きく異なる。福岡出身の私にとって、東京のしょうゆラーメンのスープはしょうゆを飲んでいるようなもので、とても食えたものではない。

チェーン店によっては、地域によって味を変えることだってある。うどんやそばのチェーン店の多くは地域によってだしを変えている。また同じ地域の、同じチェーン店にもかかわらず、店舗によって味が異なることだってある。

テクノ系のコンポーザー、リミキサー、DJとして活躍するBUBBLE-Bさんはラーメンチェーンの天下一品・総本店を訪れた時、体に電流が走った。「何かが違う!」スープの味が他の店舗と違うように感じたそうだ。

この体験がきっかけで、BUBBLE-Bさんは日本全国の本店や1号店をめぐる旅に出る。天下一品で感じた本店ミラクルが、他の本店や1号店でも起きている、そう思って。

『全国飲食チェーン本店巡礼ルーツをめぐる旅』では北は北海道(びっくりドンキー)、南は長崎(リンガーハット)まで49ものチェーン店の様子がリアルに描かれている。

チェーン店によってその店舗の「らしさ」は異なる。他の店舗と全く変わらない1号店もあれば、看板が昔の古いロゴが使われている1号店、店内に創業者が紹介されている新聞記事が掲げられている1号店など様々だ。

この旅を敢行する根性はすごい。1号店に行くために、高速道路に乗ったり、新幹線を使うこともある。はるばる香川県まで行って、地元の美味しい讃岐うどん屋さんが街中にひしめいているなか、はなまるうどんに入ることなんてできるだろうか(パリでビッグマック食べた私もどうかしている)。

この旅は書籍刊行以降も続いており、BUBBLE-Bさんの「本店の旅」というブログで、最新の本店・1号店情報を知ることができます。いつか雑誌「anan」で「1号店に行ってキレイになる」特集をするような時代が来ると信じて(きっと来ない)、旅は続く。

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