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なぜ、良い大学に行くと良い会社に就職できるのか

良い大学に行くと、良い会社に行ける。
良い会社に行くと、良い人生が築ける。

近頃までよく言われたはなし。

なぜ、良い大学に行くと良い会社に就職できるのか?
大学に入学する前からずっと疑問に思っていた。

大学4年間、論文413本と学術図書49冊を読んだだけの薄っぺらい結果ではあるが、私が納得した、人的資本(理)論とシグナリング理論、2つの理論について説明する。


【人的資本(理)論】大学こそ意味がある!

ゲーリー・S・ベッカーが説いた。訳し方によって人的資本論だったり、人的資本理論だったりするので、ここでは人的資本(理)論とする。

人的資本(理)論は以下で構成されている。

  1. 良い大学に行くと、ハイレベルな教育を受けられる

  2. ハイレベルな教育を受けた人は、生産性が高い

  3. 生産性が高い人に対して、企業は高い賃金を払う

人的資本(理)論を提唱したベッカーは、人的資本を「一般訓練」と「特殊的訓練」の2つに分類した。

「一般訓練」はどの企業にも共通する人的資本、「特殊的訓練」はある企業にしか活用できない人的資本、例えば鉄工所の専門的な機械操作などを指す。

学校とは、訓練を生産することに特化された一つの組織と定義でき、財の生産と結びついて訓練を提供する企業とは、明確に異なるものである。若干の学校、たとえば理髪業の学校などは、一つの技能に特化している、しかし他の学校、たとえば総合大学などは、幅広い、多様な技能の組み合わせを与える。

ゲーリー・S・ベッカー(1976)「人的資本 教育を中心とした理論的・経験的分析」
東洋経済新報社

人的資本(理)論、それは「企業に入る前に、高度な一般(もしくは特殊的)訓練を積んだ人」に対する報いの高賃金と整理ができる。

【シグナリング理論】大学は意味がない!

シグナリング理論は以下で構成されている。

  1. 良い大学を卒業した人は、生産性が高い

  2. 良い大学に入学するということは、良い高校を出ている

  3. 入試の合否で「どこの大学卒か」が決まっているので、大学でどういった勉強をしたかは意味がない

  4. 大学は〇〇卒という頭の良さを示したシグナルに過ぎず、高校卒業時点の偏差値のみ重視される

ベッカーの人的資本(理)論に対し、スペンスが1972年に提唱した理論。良い大学を卒業したんだったら、それくらい地頭が良いんでしょ、という考え。

シグナリング理論では、情報の不安定性が前提となる。企業は採用時に応募者の能力を正確に把握できないため、能力を代替するシグナルとして、また応募者を「ソーティング」する判断材料として、学歴を使う。

小野浩(2016)「スペンス『市場でのシグナリング活動』」日本労働研究雑誌669

この理論で面白い点は、大学は〇〇大学を卒業した、という頭の良さを示すシグナルだけで、大学で得た知識を企業は全く重視していないという考えだ(なぜなら、〇〇大学卒、という学籍を示すには高校卒業時の成績、入試の成績しか考慮されないため)。

つまり、どっちの理論が正しいの?

どちらの理論が正しいかは、文献によって見解が異なる。シグナリング理論を支持する文献もあれば、人的資本(理)論を支持する文献もある。
気になった時に、ぜひ皆さんもGoogle ShcolorやCiniiで検索してほしい。


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