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現実から出発せよ


はじめに

高校時代(今も、かもしれない)物理の、作用反作用の法則というものがなかなか理解できなかった。現実は大事だが、それを成り立たせているものも大事だ。
論旨ではないが、SNS(インターネット時代)でアンチと呼ばれる人たちや誹謗中傷を行うことについて、私はいつもこの(こころの、とでもいうべき)作用反作用の法則を考える。すなわち、誰かを傷つけるとき、同じだけ自分に傷をつけているだろう、それがどれほど気軽で無責任なものであったとしても、と考えている。

米国務長官のロシアウクライナ戦争に関するCNNテレビのインタビュー記事

[ワシントン 23日 ロイター] - ブリンケン米国務長官は23日、CNNテレビのインタビューで、ウクライナが「当初(ロシアに)占領された地域の約50%を既に取り戻した」と語った。

https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-usa-idJPKBN2Z30FU

ではじまる記事(23日は現地2023年7月23日)では、「反転攻勢は激しい戦いの段階にある」「今後のF16戦闘機の訓練および戦場への投入」とある(注:筆者編集、原文(和)は記事参照)。

これに対応するロシア側の記事としては、


大統領は「高精度弾薬や通信機器、ドローンなど多くが不足していることが分かった。ロシアには近代的な対戦車兵器や近代的な戦車が必要だ」と語った。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-14/RW7PX8T0AFB401

というbloombergの記事(注:大統領はロシア大統領のこと)と

ロシアの守備、衛星画像で明らかに ウクライナによる反撃を前に

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-65679688

ではじまるBBCの記事がある。

日本人としては、朝鮮併合(クリミア併合)、満州事変(当時の中国大陸の支配層である満州族の故郷であり漢民族先祖伝来の地ではない)(地続きの東部4州独立併合)、泥沼の日中戦争と重ねてみてしまうが、私でも考えるようなことはとっくに誰もが考えるようなことであるので省略する。

これらの記事を素直に読むと、ロシアは守勢に立っている、となる。しかしそれがロシアの戦略に沿った戦術の一環である場合はどう見るか。

戦略は戦術の上位にある

ところで戦略と戦術について、私は前者を大局的な目的、後者をそれを実現するための手段と理解している。そしてその上下関係がはっきりしているため、戦術における成功は戦略における失敗を取り返すことができない。繰り返すとその場合の戦術の最高到達点は誤った戦略の実現である。

今回のロシアウクライナ戦争において双方の戦略と戦術を整理すると以下のようになる(だろう)。

ウクライナ 
戦略:ロシア実効支配地域の全域奪還 
戦術:反転攻勢および欧米を中心とした国際世論への宣伝、新鋭武器調達

ロシア 
戦略:NATO東進阻止および実効支配地域確保 
戦術:守勢に立って相手の息切れを待つ、欧米以外の諸国とのつながりを強化する(国際世論への宣伝)、当然不足と認識している武器の調達
上に書いたロシア側の戦略は今回の戦争に関するもので、その戦術は戦争以外の戦略にも関係しているであろう。

現実

正しい戦略を立てた側が勝利(戦略の達成と長期的維持)する。ここで正しいとは、(残念ながら)正義人道の意味ではなく、現実から出発しているか否かである。現実とはそれほど大切なものであり、虚構の侵入を防がなければならない。傍から見て不可能を可能にしたと見えるのは、あくまでも現実から出発した場合であり、絵空事に終わるのは虚構から出発した場合である。

戦争の話から急にアニメの話になって恐縮ではあるが、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』において、碇ゲンドウの「虚構と現実が同一の情報として…や冬月副指令の「希望という病に侵され…
といったセリフがある。碇ゲンドウは「希望という病に侵され」ながらも虚構と現実を峻別し(峻別していなければ虚構を現実と認識する、あるいは狂う)「虚構と現実を同一の情報として」を現実にするべく行動した。その先にあったものが勝利であるかは、映画をご覧いただくとしましょう。

おわりに

戦争を題材として現実の重要性について述べた。戦争も作用反作用の法則からは逃れられず、①相手がなくては成立せず、②かけた力の分だけ相手に伝わる。精神力と戦うのは精神力である。

文責筆者

参考および引用


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