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アメリカ実質横断一人旅③ ‐孤独なラスベガス

文無し男はお呼びじゃない

一体、ここら辺を何往復しただろうか。とにかく足がもげそうだった。

朝、慌ててアッチ系ホテルを飛び出し、パジャマ同然の格好でカジノ場に繰り出した。
特に遊ぶ金も持ち合わせていなかったため、場内を何往復もしてカジノ気分を味わった。

さて、今日は何をしよう、、

今晩はラスベガスで事前に取ってあった、シルクソニックのライブがあった。
この町から出るわけにはいかない。
しかし金もないので、特にやることもないのである。
仕方ないのでカジノ場の2階にあるピザハットで時間を潰すことにした。

1200円。感覚的には1.5人前くらいあったが、高い。
だがしかし、ここはアメリカである。
1200円くらいでグチグチ言っていたら飢え死にしてしまう。
前日ほとんど何も口にしていなかったせいか、気づいたら食べきっていた。
うん。食べた。そして暇だ。

適当に周辺のおすすめスポットを探していると、近場にいい感じの公園を見つけた。
Red Rock Canyon National Parkか、、
暇だし、時間もまだあるし、とりあえず行ってみるか、、
そんな気分で向かうことにした。

荒野のち、荒野、のち孤独。

マップ上で見ると目と鼻の先にありそうな感じであるが、やっぱりアメリカである。
中心地から約40分ほどかかった。

そして着いた。バカでかい。
この公園を軽く1周するのにほぼノンストップでも約40分かかった。
そしてここでも、周りは夫婦、カップルが大半であった。
俺の居場所はどこにあるんだ、、、

一応、コースとして一周出来る道が用意されているが、スケールが大きすぎるが故に光景がほとんど変化しない。
途中、何度も強烈な睡魔が襲い掛かり、コースアウトしそうになった。
今思うと、あれは疲労ではなくて時差ボケだったのかもしれない。
コースの最後のほうで、大きめの駐車場を見つけた。
この状態で街中に戻れる気がしなかったので、ここで一休みする事にした。

思わぬところに幸せは眠っている

、、、気づいたら15時。1時間半も寝てしまった。
座席に座ったまま寝ていたため、体の節々が痛い。車を出で大きく背伸びをした。

すると、奥のほうで車から手を振ってくるおじさんを見つけた。
私は起きたてで半分寝ぼけていたので、躊躇なく挨拶できた。

「Welcome to America!」 最高にイカしたオッサンだった。

それから30分ほど、ぶっ通しで話した。
自分自身のこと、勉強のこと、人生のこと、、、
自分の拙い英語でも、彼は理解してくれ、褒めてくれた。
日本人に対してと変わらないくらい、心が通じ合えた気がした。
とても幸せな時間だった。
たとえどこに住んでいる人でも、心を通じ合う事は可能なんだと実感した瞬間であった。


旅のメインディッシュへ

最高潮に満たされた心を持って、公園を後にした。
もうホテルに行って寝てしまってもいいくらいに、幸せだった。
だが今晩は旅のメインディッシュが待っている。Silk Sonicだ。
チケットは約30000円。ハッキリ言って高すぎる。
最安値でこれだ。こんなショーを彼らは2日おきに、10日以上程講演していた。
もう金は有り余っているだろうに、、こんな貧民にまでむしり取らないでくれ、、

しかしそんなことをボヤいていたら彼らは一生姿を現してくれない。
半泣きになりながらチケットを買った(正直あまり躊躇せずに買った気がする)。

会場に到着。人だかりを見る限り、満員御礼だろう。
場内は撮影禁止との事で、人力で開けられないようなポーチに携帯を入れられた。
かなり厳重だなと思った。
情報を漏洩されることを恐れているのか、それとも純粋にライブを楽しんでほしいという、彼らの気持ちなのか。真相はわからないが、とりあえず従うことにした。

ライブは最高だった。
ちょうど自分の中でも最高にブームが来ていただけに、アルバム全てを演奏、さらに個々の持ち曲を1曲ずつ披露してくれた事はかなり満足だった。

隣に中東系の綺麗な感じの女性がいて、とにかく喋りたいなと思い文言を考えていると
横から巨漢の男が女性の隣に座り、俺の女だと言わんばかりに女性の肩に手を回し、成す術もなく敗北した。
やっぱりアメリカは巨漢命なのか、、と悟った。

3日目にして車中泊 in ラスベガス

さて、ホテルに帰ろう。
到着し、チェックインをしようとすると、受付にお前は泊まれないと言われる。
なんと女性専用の部屋を予約してしまっていたのだ。
電話で受け付け業者に連絡するも、変更はできないから予約を取り直せとのこと。
それはさすがに悔しすぎる。といっても4000円なのだが。

どうしよう。会場近くの駐車場で寝るか。しかしいつ閉まるかもわからない。
全力で安全に一夜を明かせる場所を調べた。
すると、EVパークという、24時間営業のガソリンスタンドと併設された大型駐車場があるらしい。
とりあえずそこに行ってみよう。

市街地から20分ほどで到着した。
そこではトラックの運ちゃんや、なんだかよくわからない感じ(自分含め)の普通車の人達が車中泊をしていた。
中には車の窓から足を突き出して寝ている人もいたので、取りあえず、安全なのだろうと判断した。

何度か就寝を試みるも、駐車場の街灯がかなりまぶしく、あまり寝付けない。
もちろんフロントガラスに取り付けるサンシェードも持っていなかったので、アジア人が就寝している事がモロバレで、襲われないか少し怖かった(少し自意識過剰かもしれないが、雰囲気は何が起こってもおかしくない感じだった)。

ふとモバイルバッテリーをチェックすると、残りゲージが1しか残っていなかった。
前日は疲れ果ててしまっていたため、そこまでの頭が回らなかった。
なんとか何処かで充電ができないかと思い、コンビニの店員に話しかけた。
「裏にあるマッサージ器のコンセントを抜いたらいい」
そんなことをしていいのだろうか。
一体どの程度のラフさで臨むべきなのか、未だあまり掴めずにいたが、甘えさせてもらった。

俺はゲイじゃない

とりあえず、車の中では寝れないのでマッサージ器で休みながら充電をしていた。
すると、併設されているスロット屋の店員が隣に座ってきた。

シャドウバースの様なカードゲームをやっていた。
特段興味もなかったが、暇だったので大好きだという体で話した。
眠いながらも少し話していると突然
「男に興味はあるか?」

一瞬何かの聞き間違いかと思った。
しかし、中学生くらいの英語だったので、さすがの私でも理解できた。
もしかしたらセンシティブな話かもしれないので、ありったけ脳みそを回して
「友達としてなら好きだよ^^」
と丁重にお断りした。すまん。さすがに無理だ。

そんなこんなもあって少し充電も回復したので、車に戻った。
時刻は朝5時を回っていた。結局一睡もできなかった。
しかし、この日の晩にはメキシコの国境沿いの町でのライブが控えていた。
もう支払いは済んでいたので行かないという選択はなかった。
このままぼーっとしていても、体力は奪われていく一方だ。
よし、もう動こう。

極限ドライブの幕開け

ラスベガスの朝焼け。睡魔も相まって幻想的だった。

朝6時前。こんな状態でスタートするとは想像もしていなかったが、とにかく次に行くしかない。

ラスベガスを出る前にウォルマートに立ち寄った。アメリカに来て初めてのスーパーだった。
スーパーの値段もべらぼうに高いのかと思ったが、ヨーグルトは100円くらいで、あっけにとられた。
バナナ10本と、ヨーグルト、クロワッサンを購入した。
あとは道中のスーパーに寄れば良いだろう。

そうして恐怖の13時間極限ドライブが幕を開けるのである、、、

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