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台北の隠れた歴史 齊東街の時間を超える物語

台北の喧騒から少し離れたところに、歴史の風情が息づく隠れた桃源郷があります。それが齊東街です。賑やかな忠孝東路と金山南路の交差点を折れると、ひっそりとした小道が目の前に広がります。その歴史は、遠く清の康熙年間に遡り、東西の水路として艋舺から松山錫口の繁栄を見守ってきました。

この路地はかつて、台北城の米や炭の大動脈でした。現代都市の計画の中で、時の流れを切り取るように存在し、歴史の変遷を静かに物語っています。齊東街の最も貴重な宝物は、時代の変化を見守ってきた日本式の住宅群です。それらは昔の栄華を背負いつつ、台北の土地の変遷を記録しています。

これらの日本式住宅は、かつて日本総督府の役人が住んでいた場所であり、後に台湾銀行の従業員の住まいとなりました。時代の荒波を越えて、変遷を見届けてきました。そしてある日、取り壊される運命に立たされましたが、住民たちの熱意と努力により、この貴重な記憶が保存されました。

齊東街は単なる通りではなく、生きた歴史書のようなものです。各々の建物、瓦一枚一枚に、物語の香りが漂っています。清代の大家族から台銀のベテラン、光復後の新たな移民から現代の住民に至るまで、各時代の人々がここに自らの足跡を刻んできました。

そして今、齊東街は歴史の記憶を保ちながら、新しい活気を迎えています。「東東好生活」というお店は、白い壁と大きな窓で新鮮なヨーロピアンスタイルを演出しています。週末の朝、ここで洗練された朝食を楽しむと、窓の外を行き交う人々を見ながら、時間が一瞬にして止まったかのような感覚になります。シンプルで美味しいメニューは、程よい量で、リラックスした心地良い時間を過ごせるでしょう。

食後は、木陰の散策を楽しみ、年月を経た日本式の住宅を訪れ、時間を超えた雰囲気を感じてみてください。忙しい都会の中で心のオアシスを見つけることができる場所です。齊東街は、豊かな歴史と文化が息づく小さな角、じっくりと味わう価値のある台北の記憶です。

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