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ヒアルロン酸とヒアルロン酸ナトリウムの効果が違うなんて涙〜スキンケア失敗談〜

騙されないで!この商品は100%ヒアルロン酸って宣伝してるけれど、ヒアルロン酸ナトリウムよ!ヒアルロン酸じゃないから効果がないのよ!」というレビューが目に留まったのは、今使っているヒアルロン酸製品について調べていたときのこと。

恥ずかしながら、筆者はスキンケア製品に含まれるヒアルロン酸とヒアルロン酸ナトリウムの違いについて考えたことがなかったのです。「オタクとしては知っておかねば!」という義務感に駆られて勉強していたら、トンチンカンなスキンケアをしていたことに気づいてショック!理系色の強い内容かもしれまんが、筆者の失敗談があなたのお役に立ちますように。

結論を単純に説明すると、

(1)ヒアルロン酸とヒアルロン酸ナトリウムの主な違い

ヒアルロン酸は肌の内部に浸透せず、肌表面に留まる。肌表面で水を抱え込んでゲル状の膜を作ることで、肌から水分が蒸発するのを防ぐしっとりとしたテクスチャになる

ヒアルロン酸ナトリウムは、ヒアルロン酸に比べると肌内部に浸透しやすく、どちらかと言うと「肌内部の」水分量を増やす役割。筆者
がヒアルロン酸ナトリウムを肌に塗っているが、肌表面は別にしっとりもしないし、特に変化はない。

(2)共通点

働く場所は違えど(肌の上か中か)どちらにもそれぞれの保湿効果がある(バリア的に保湿するか、肌内部で水分を保水するか)

ただ、物事はこんなに単純じゃないし、それぞれに合った色んな使い方がありますよね。そのあたりを本文でゆっくりシェアしていきます!

ヒアルロン酸とはなんぞや?

簡単に言うと、ヒアルロン酸とは、体の中にもともとあるヌルヌル成分非常に多くの水を抱え込んでゲル状になります。例えば、関節液にヌルっとした性質を与えることで関節を滑らかにする役割をしたり、皮膚で柔軟性のもとになったりしてる、とのこと。魚の目玉を食べるのが好きな方はおられますか?下の記載によると、目玉にも多量に含まれているとのことですので、目玉のぬるっとした質感のもとにもなっているようですね。

理系の方は、直接下の記載を読んでください笑。

ヒアルロン酸
糖タンパク質やムコ多糖を構成する糖の一つであるN-アセチルグルコサミングルクロン酸とが交互に鎖状に結合した分子量20万から40万という高分子化合物で、コンドロイチン硫酸などとともに典型的なムコ多糖の一つ。動物の硝子体(しょうしたい)、関節液、臍帯(さいたい)(へその緒)、皮膚などに存在し、皮膚や臍帯ではコンドロイチン硫酸の量と同じくらい含まれている。非常に多量の水と結合してゲル状を呈し、関節の潤滑作用や皮膚の柔軟性などに関与し、また、その高度な粘り気によって細菌の侵入や毒物の浸透を防ぐことにも役だっている

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

ヒアルロン酸ナトリウムとは?

ヒアルロン酸由来のナトリウム塩。要するに、天然に存在する超でかいヒアルロン酸という鎖状に連なった長〜い物質をぶちぶちと切って、水を抱え込む性質はそのままで、小さくなった物質

チョッキンして小さくなったものがヒアルロン酸Na
画像引用元:https://www.photolibrary.jp/img785/215723_6476630.html


そうすることでどんなメリットがあるんでしょう?

(1)安定化する。ヒアルロン酸に比べると酸化しづらくなるので、スキンケア商品に配合しやすくなる。

(2)物質の大きさが肌バリアを通過する程度に小さくなるので、肌内部に浸透して、肌内部の水分量を上げることができる。肌内部の水分量が上がると、ハリの改善につながります。

この「肌内部への浸透が上がる」という点については、嘘ではないけれど、ちょっと語弊があるかな〜と思います。

ヒアルロン酸ナトリウムは、みんなが言うほどは皮膚に浸透しないかも。

余談ですが、肌の大事な働きは、バリア機能。つまり、外から害のある成分が中に入ってこないように守る機能です。では、その皮膚バリアをかい潜って肌内部にまで浸透するのはどんなものなのでしょう?

皮膚科界には「分子量500ルール」というようなものがあるようです(正確には"500 Dalton Rule")。すなわち、正常な皮膚は、分子量が500以下の小さい小さい物質は肌バリアを素通りして内部まで浸透できる、という一般的なルール。

【分子量について復習】分子量というのは、「水H2Oが18で、酸素O2が32で、水素H2が2」などと言うように、昔化学で習ったアレです。例えると、それぞれの物質の体重に当たるようなもの。体重10kgの子供と60kgの大人を比べると、子供の方が小さいから、細い隙間も通り抜けられますよね。そんなイメージです。

理系の方は、下のグラフを見てください。縦軸が「化学物質や薬が何%皮膚を透過するかの予測値」。横軸は分子量。NS(正常皮膚)の線を見てもらうと、分子量が0から300くらいまでは100%通過しているけれど、右に行くほど通過率が落ちていって、分子量600になると「全く通過しない(0%)」となっています。「600」を頭に入れておいてください。

J. D. Bos, M. M. Meinardi, The 500 Dalton rule for the skin penetration of chemical compounds and drugs. Exp. Dermatol. 9, 165–169 (2000).

さて、ヒアルロン酸ナトリウムの分子量は幾つでしょう? 
答え「799」(ChemBKより

え?全く通過しないの?というと、実際には浸透の割合には振れ幅があるでしょうから、ある程度は皮膚バリアを通過するのかな?とは予想します。皮膚バリアの低下したアトピー性皮膚炎(ADの線)だと、上のグラフででも、900になるまではある程度浸透することが予測されています。

と言うことで、ここまでをまとめます。
ヒアルロン酸ナトリウムがいくら小さい物質といっても、肌を通過するか通過しないかギリギリのラインで、正確にはヒアルロン酸に比べると肌内部に浸透しやすい。

ヒアルロン酸ナトリウムの進化

そういう経緯で、さらに浸透を良くするために、ヒアルロン酸を小さく小さくする試みがあるようです。

例として、筆者の敬愛する肌ラボの極潤の組成を見てみます。

肌ラボ極潤
ロート製薬HP

ヒアルロン酸ナトリウムに加えて、「ナノ化ヒアルロン酸」が配合されています。ロート製薬によると、ナノ化ヒアルロン酸は約10分の1のサイズで、肌への浸透が良いとのこと。ナノ化ヒアルロン酸の正確な分子量はわからなかったのですが、仮にヒアルロン酸ナトリウムの10分の1だとすると「79.9」。こんなに小さいと十分に浸透しそうですね!

【補足】製品公式HPの図によると、「ヒアルロン酸(ここではヒアルロン酸ナトリウムのこと)」は、肌表面にとどまって潤いを閉じ込める成分として図説されていますね汗。つまり、肌ラボさんとしては「ヒアルロン酸ナトリウムは、ほとんど肌に浸透しない!」と言う立場のようです。セールストークかもしれませんが^^;  

ヒアルロン酸(ここでは「ヒアルロン酸ナトリウム」のこと)は肌「表面」の潤い成分として描かれている。(ロート製薬HPより

筆者の失敗談

実は、ヒアルロン酸ナトリウムが主成分のスキンケア製品を「しっとり」させるために使ってたんです!

Timeless Skin Care「100%ヒアルロン酸」240 mLボトル

この100%ヒアルロン酸を240mLの大ボトルで買って、お風呂上がりや洗顔後の濡れた状態の時に塗っていました。肌表面にジェルっぽい膜を作って、濡れた肌から水がどんどん失われるのを防ぐために。

しかし、塗っても塗ってもサラッとします。

組成を見てみると

水、ヒアルロン酸ナトリウム、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸

水とヒアルロン酸ナトリウムと防腐剤(ベンジルアルコール・デヒドロ酢酸)

みなさんお分かりの通り、筆者は、本来はヒアルロン酸を使うべきだったのですね。

しかし、ヒアルロン酸ナトリウムの良い使用方法があることに気が付きました。

アメリカのSNSでは頭皮やヘアケアにヒアルロン酸を使うのが流行っている

最近、クリーン系スキンケアブランドのOrdinaryやInkey Listが立て続けに、頭皮やヘアケアの製品ラインを販売して、SNS上では「ヘアケアにヒアルロン酸は良いのか!?」と言う話題が溢れています。

皮膚科的結論から言うと「良い」とのこと。

ヒアルロン酸は、毛穴を詰まらせません。髪をしっとりさせる目的で使う製品もあれば、頭皮用の製品もあります。

ヒアルロン酸ナトリウムは頭皮ケアに使ってます
お風呂上がりに頭皮が乾き切っていない段階で、頭皮美容液をつける要領で、先ほどのヒアルロン酸ナトリウムを付けます。
全くベタベタしないし、頭皮ケアにおすすめです。

余談ですが、白髪の原因は主に「遺伝要因と紫外線ダメージ」とのことなので(皮膚科医談)、筆者はフリーラジカル対策としてビタミンC美容液も頭皮に塗っています。

ビタミンC誘導体は一般的に油性(油に溶ける)なので頭皮や髪に塗るのは毛穴を塞ぐ恐れがあるので、個人的にはおすすめしません。

お財布と肌に優しい保湿

と言うことで、大ボトルで「ヒアルロン酸ナトリウム」と「ヒアルロン酸」をそれぞれ買って、肌にはお風呂上がりに、「ヒアルロン酸とヒアルロン酸ナトリウム」を手で混ぜたものを塗り広げてます。頭皮には「ヒアルロン酸ナトリウム」を付けています。

これに関連して、肌ラボ 極潤ヒアルロン液 大容量ポンプ 400mlが良いかもです。お安くて(1380円)、肌表面をしっとりさせながらも肌内部の保水もするように(肌の表面と内部の両方の保湿)配合されているようです。

残念ながら筆者は実際には試していないのですが、もし使われた方おられたら感想教えてください^^

と言うことで、もし良かったらみなさんも試してみてください。また、ヒアルロン酸製品を買うときは、成分を見て「ヒアルロン酸」なのか「ヒアルロン酸ナトリウム」なのか良く確認してくださいね!商品ボトルには、どっちも”ヒアルロン酸”と表記されることがほとんどですから。

みなさんのお役に立てば嬉しいです。良かったら好きのハートマークを押していただけると励みになります。良い1日をお過ごしください!

読み飛ばし可能(免責事項)

正しい事実を書くように努力していますが、意図せず間違えていることもあると思います。気づかれた方はコメントしていただけると助かります。
また、あくまで筆者の個人的な体験談ですので、あなたに当てはまらない可能性もあります。ご了承くださいm(_ _)m


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