見出し画像

~「神のお告げ」があるならば~

 2022年1月から2月にかけて、石井は無意識ながら決して小さくはない変化量で、人格が変わってしまった。
わかる範囲でいうと、
・二輪車自体への興味関心の減退→今は車に興味があります→VT750Sは売却致しました
・長文を綴る事への熱意の喪失→NOTEの存在をも忘れていました
・仕事観の変化、ものづくりへのプライドの喪失→毎週TOTO買ってます

 石井はバイクが好きだった。車の良さももちろん理解している。大型に乗ろうか検討している時に同僚等から「維持費高いよ」や「何かを犠牲にしないとー」と、ありきたりなセリフを言われたこともある。でもそいつらは、車を主有している。もう訳が分からない。そんなネガティブワードを躱し、石井はVT750Sという不人気車に1年乗り続けた。
 急ブレーキでスリップした後もめげずに乗った。夏にVツインエンジンから立ち上る灼熱にも耐えた。指が壊死するかと思うほどキンキンに冷えながら宇都宮にも行った。

 しかし1月のいつからだろうか、あんなに愛でていたVTが急に嫌いになってしまったのだ。
 なぜだろう。もちろんなんでもそうだが、バイクにだってネガティブなポイントはある。「夏熱い」「冬寒い」「荷物乗らない」。それらは乗っている時から感じてはいたし、目を瞑っていた。なぜならそれがバイクなのだから。ただひょっとすると、協力会社の方が乗っているロードスターと燃費が変わらなかったのが、いささかショックだったのかもしれない。それでもバイクに乗り続ける気ではいたのだが、なにか自分の意思の範囲外で嫌いになってしまった。そんな気がする。

 そこでふと思った。これは「神のお告げか?」と。
 石井は別にキリスト教でも何でもないし、神に感謝することも無ければ、存在も確認していない。だがいわゆる「神」に相当する何かが存在するような気もしなくもない、あやふやな言い方だがそう思っている。
 日常で稀だが耳にする、己の行動や言動を「神」のせいにする時に使う「神のお告げ」という言葉。もしそれを堂々と言っている輩が居たら、それは嘘か幻聴と解釈して良いだろう。
 ただ、もしも「神のお告げ」が存在するのだとしたら、石井のケースのように「無意識の範囲内」に語り掛けているのかもしれない。すなわち耳にすることもできない。しかし行動や言動、趣味嗜好に急激な変化が起こる。石井がこの期間で体感した決して小さくはない変化はまるでそれだった。

 去年の年末、あれだけ楽しみにしていた3月のモーターサイクルショーは、完全にスルーした。興味が湧かなかったのである。人間が変わったわけではないので、何を楽しみにしていたかは覚えている。コロナで流れたのもあり、大型二輪免許を取得してから初のモーターサイクルショーだ。インディアンやトライアンフという、乗っているだけでカッコイイバイクを生でじっくりと見るのが本当に楽しみだったのだ。だが今や何とも思わない。結局石井はADHDだ。マルチタスクが苦手な故、路駐や急な左折、無理な割り込みなど、イレギュラーな場面でマニュアル車を操作するのは難しいのだ。すぐにパニックになってしまい、停車するしかない。そもそも向いていないのである。

 他の変化と言えばこの「NOTE」だ。意味もなく長文を綴るのが好きで始めたこのNOTEだが、長文自体に興味が失せてしまったのだ。と言いつつなかなかな長文を今綴っているところなのだが。そのせいでこのNOTE自体の存在を忘れてしまっていたのだ。先日突然思い出した。それ故、言い訳がましく書かせて頂いているところだ。

 あと大きな変化と言えば、仕事に対する姿勢だ。そもそも今の会社に忠誠を誓ったことはないが、「ものづくり」という仕事に誇りを持っていた。逆にパソコンと向き合っているだけで稼ぐような高収入な奴らに嫌悪感を抱いていた。
 だが、正直以前からも気にはしていたが、一向に赤羽の1Kの我が家から抜け出せないのだ。つまり、引っ越す資金が用意できないのである。貯金しようとしていないせいもあるだろうが、石井は別に外食もしなければ遊びに行くこともほとんどなく、贅沢もしない為、無駄な出費というのは他人より少ないと思っている。それでもお金がたまらないのであれば、車を買うどころか、マイホームを建てることなど夢のまた夢なのである。
 結局「ものづくり」という、歴史的に言うと下僕がやる仕事では夢はつかめないのか、と悲観するようになった。結果、毎週TOTOを買ってJリーガー達に夢を託す日々を送るようになった。結局は「下僕」のような発想である。

 この文章で伝わるだろうか。石井が言いたいことを簡潔にわかりやすく言うと、
「何だか知らないけどバイクもNOTEも急に飽きちゃったし仕事も稼げないから1発当てたい」というところか。
 そんな石井が心配である。

ばぁい✋

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?