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【仕事】要望の伝え方の難しさ

伝えようと要件や画面仕様を明確にしすぎたら、逆に意図が伝わらなかった話。

アプリを作ってもらったときのお話

業務の施策でデジタルツールのアプリを作っているのですが、自分が企画でプロダクトオーナー、開発を外部に業務委託しています。開発をお願いするときの最初には、詳細なユーザーインターフェース(UI)つまり画面の見た目までは決めず、何のためのツールで、どんな狙いがあって、何がしたいからどういう機能が欲しいか程度を要望と要件としてまとめて提示、工数概算をして進めていきます。

しかし始めようとした時期が悪く、なかなか開発してくれる委託先が決まりませんでした。多くの場合、四半期や半期といった単位で契約がされているので、私がやろうとした時期が中途半端で見つからず、また、使用技術(諸事情があり、手段を指定していた)を扱える会社も見つからない状況でした。

一応マネジャーとも相談して、クリティカルではない範囲で1ヶ月程度スケジュールは延期し、開発してくれるところを探索し続けていたのですが、さすがに私も延期した期間で遊んでいるわけにはいかないですし(勿論他の仕事も多々ありましたが)、最悪、自分で勉強してでもやるしかない状況も想定し、先んじてUIの仕様、つまり画面の詳細詳細や画面の遷移などの仕様書を作り始めていました。

※最後の手段は「自分でやる」という話は以前noteにも書いています。

ようやく見つかり、アジャイル開発で開始

正直自分でやるしかないかなくらいで覚悟はしていたのですが、運が良かったのと開発先の探索を依頼していた方が大変親身に根気よく探していただいたのもあり、開発委託できる先を見つけることができました。

実際の開発はアジャイル開発でスクラム、2週間のタイムボックスでやっていくことになったのですが、ある程度要望と要件は明確だったのと、最低限着地したいところ(今回ツール自体も検証だったので、MVPつまり価値が検証できる最小レベルのプロダクト)が合意できたので、プロダクトオーナーの私と開発メンバーとはデイリーな打ち合わせはせず、何か疑問があればチャットでやり取りするし、必要に応じて打ち合わせをする程度で、あとはスクラムイベント(プランニングとレビュー)をするかたちとしました。

その際、元々最後は自分でやるつもりだったのもあり、UIの画面仕様もある程度作っていたので、これをベースに作ることで要件が詳細に伝わり、格段に開発スピードを上げることができました。(が、これに落とし穴が…)

詳細に書きすぎて、そのまま仕上がってきた…

スプリントも3回進んだあたりでほとんどやりたいことの機能が盛り込まれ、UI画面の仕様やデザインも自分の思っている通りに仕上がり、リスケジュールした予定にも間に合う見込みが出てきました。

そしてマネジャーに状況を見せたく、スプリントの途中でしたが見せられるものを出せないかとお願いして、触れるプロトタイプを出してもらって触ってみたのですが、概ね機能としては問題ありません。

ただ、何故か違和感があります…そして気づいたのです。
そのアプリは、利用ユーザに対して複数のプロジェクトを登録してもらって、あるデータを管理するものだったのですが、そのプロジェクトには「プロジェクト名」をつけることができます。

その付けたプロジェクト名を画面のトップに出して、今現在操作をしているプロジェクトが何のプロジェクトか分かるように見せたかったのですが、なんとそこのプロジェクト名が自分が画面仕様でサンプルで入れていたプロジェクト名(仮にその名前を「業務改善デジタルツール」だとしましょう)に固定されて表示されるようになっていたのです…

つまり、利用者がどんなプロジェクト名を入れたとしても、トップに表示されるプロジェクト名は「業務改善デジタルツール」固定だったのです…

これはしまったな、と思いました。
確かに個々で入れたプロジェクト名が変動するという仕様まで伝えて無くて、UI画面の仕様を忠実に実装してきたのです。正直自分としては「そこは見たらわかるかな?」と思っていました。
しかし、サンプルで入れていた「業務改善デジタルツール」という文字列自体、そのアプリのタイトルっぽいので、おそらく開発の方が「あ、アプリの名称を常に出すのかな?」と勘違いされたのかもしれません。

これは開発の方が悪いと言うより、私がちゃんと伝えてなかったのが原因です。
そしてあまりに頑張って詳細にUI画面の仕様を自分で作ってしまったので、それを渡しておけば問題なく開発できると思い込み、開発の方との対話を疎かにしていた結果だと私は感じました。

アジャイルソフトウェア開発宣言でも対話を大事にするとあるのに…

プロセスやツールよりも個人と対話を

アジャイルソフトウェア開発宣言

これって、誕生日のケーキの上に絵が描ける注文をするとき、USBメモリーに描いて欲しい写真を入れてケーキ屋に渡して「描いて欲しいのはこれです」とUSBメモリーを渡したら、そのUSBメモリーがケーキの上に描かれて出てきた話に似ています(笑)。

一人で詳細に詰めすぎず、対話しよう

これがウォーターフォールでやっていたらかなり後段で見つかる問題ですし、ちゃんとアジャイルで対話を重視してすり合わせをしていたら起きなかったかもしれません。

時間短縮のために(というか自分で最後はやる覚悟があったために)詳細にUI画面仕様を書き込みすぎた結果、逆に意図や仕様の齟齬ができてしまったのです。

もちろん、ここは変動部ですよと書き込んでいれば良かったかもしれませんが、それでも本当に伝わっていたかはわかりませんよね。
一緒のチームとしてやっているのであれば、開発途中でも一緒にものを見ながら、対話しながらやっていけば、リスクは解消できたかもしれません。

とても良い学びがありました。(多分、節目のふりかえりで出す話題になりそうです…汗)

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