地域創生Coデザイン研究所 の木村篤信 です。
前回記事 では、公式noteアカウント開設のきっかけとなった、横浜でのイベントや「全国リビングラボネットワーク会議」について紹介しました。
ここからは、これまで取り組んできた活動に触れることで、日本リビングラボネットワークのメンバーがどのような課題感を持ってこれらのイベントを企画、参画しているのかをお伝えしたいと思います。 日本リビングラボネットワーク(JNoLL)の活動は、ヨーロッパのリビングラボネットワーク(ENoLL) や韓国のリビングラボネットワーク(KNoLL) の活動を参照しながら、日本のリビングラボ実践者•研究者の課題感に基づいて企画、運営されています。
まず今回は、リビングラボについて実践者がつながるコミュニティ(会議、対話会、視察、見学ツアーなど)について紹介します。
共創について学び対話するコミュニティ・イベントの必要性 日本のリビングラボ実践者•研究者において、なによりも大きな課題は、共創の仕組みやリビングラボについて、お互いにつながり、対話する機会が少ないことでした。学会やコミュニティがなく、自分の取り組むプロジェクトの問題を相談する場や、最新の事例を共有する場がありませんでした。
そのような状況を受けて、全国リビングラボネットワーク会議や、日本リビングラボネットワークの活動が始まっています。
全国リビングラボネットワーク会議の内容 こちらは年1回ペースで開催されている会議です。国内外の先進事例の共有やその時代の課題感を踏まえたパネルディスカッション、そして、参加者間の交流を意図したポスターやショートトークなども行われてきました。
例えば、第1回では、前述したENoLLより実践者を招いて基調講演が行われ、第2回では国内のリビングラボ実践者によるパネルディスカッションが、第3回は奈良リビングラボに関わる市民団体・自治体職員・企業担当者が対話的な基調講演、第4回は「未来社会の実験場“People’s Living Lab”」 をコンセプトに掲げる2025 年大阪・関西万博による基調講演が行われるなど、日本の共創の実践知を高めるためにさまざまな企画が試行されてきました。(第1回から第4回の企画概要は、この記事の一番下に掲載しましたのでご覧ください)
そして、東京大学を中心とするリビングラボ推進だけでなく、各地のリビングラボの実践者が主体的につながり対話や企画を行なっていく場が必要という課題感から、第4回からは大牟田リビングラボによる企画、運営が行われ、今年第5回は横浜のリビングラボ関係者による企画、運営が予定されています。
日本リビングラボネットワークの対話会・視察会 年1回の会議に加えて、日常的にリビングラボの実践者が主体的につながり対話や企画を行なっていく場として、日本リビングラボネットワークが立ち上がり、対話会が定期的に開催されてきています。
ここは、実践者が集い、互いのビジョンや目の前の困りごとをフラットに共有する機会となっています。各地のリビングラボ実践者が、自身の実践事例を共有しつつ、自分の実践の悩みを問いとして投げかけ参加者とともに対話する会や、地域の巻き込みや持続可能なリソース確保などリビングラボにおける共通的な課題や問いをテーマとして対話する会が開催されてきました。
■これまで対話のきっかけとして紹介された実践 丹後リビングラボ 佐渡島自然共生ラボ 市民参加型地域循環の実証 ”キャップノソノゴ” ママココプロジェクト 共に創るアートワークショップ Hi Miura みんなの使いやすさラボ ・・・
また、対話会だけでなく、リビングラボを視察・見学したり、各地のリビングラボ主催のイベントに参加するツアー企画などもやっています。
これらの活動は、リビングラボが普及していくこれからの日本において、実践者が互いにエンパワーメントされ、必要な知識を獲得し、自信をもって課題を乗り越えていくために必要な仕組みだと考えています。
次回は、日本リビングラボネットワークの部会活動2である、実践ノウハウの体系化についてご紹介します。
(参考)これまでの全国リビングラボネットワーク会議の企画概要
第 1 回リビングラボネットワーク会議 「持続可能なリビングラボの発展に向けて~共創の仕組みを考える」 ■日時 :平成30 年4 月6 日(金) 13 時~17 時 ■場所 :JST 別館ホール ■プログラム第1部 講演・報告 ・招待講演「世界に拡がるリビングラボの動向」Anna Kivilehto : EU Research Advisor, KTH Royal Institute of Technology in Stockholm, Linnaeus University in Växjö Sweden ・招待報告「スウェーデンにおけるリビングラボの活動実態と展望」Mathilda Tham : Professor, Department of Design, Linnaeus University, Sweden ・報告 「ビンテージソサエティ構築に向けて」浅野大介氏(経済産業省) ・課題提起「日本におけるリビングラボの動向と課題」秋山弘子氏(東京大学)第2部 パネルディスカッション ・「持続可能なリビングラボの発展」について、企業も交えて議論
「高齢社会課題解決に向けた共創拠点の構築」実装活動終了報告書 第2回全国リビングラボ・ネットワーク会議 ■日時:2019年3月15日(金)14:00-17:00 ■場所:KOTOWA鎌倉 鶴ケ丘会館 ■テーマ:「日本版リビングラボの確立へ向けて~リビングラボの質を高めるには~」 ■プログラム第1部 招待講演 面白法人カヤック CEO柳澤 大輔 氏 第2部 世界のリビングラボ事例紹介 NPO法人ミラツク 森 雅貴 氏 鎌倉リビングラボ報告 高齢社会共創センター 秋山弘子 特任教授「鎌倉リビングラボから見えてきたリビングラボの構成要件と課題提起」 パネルディスカッション 「日本版リビングラボの確立へ向けて~リビングラボの質を高めるには~」 モデレーター:秋山 弘子 特任教授 パネリスト: WISEリビングラボ 東急電鉄 泉 亜紀子 氏 大牟田リビングラボ NTTエボリューション研究所 木村 篤信 主任研究員 こまつしまリビングラボ 徳島大学 吉田 敦也 教授
第2回リビングラボネットワーク会議開催概要 第3回全国リビングラボネットワーク会議 ■日時:2021年3月24日(水) 15:00~最大17:30 ■開催方法:オンライン開催 ■プログラム1.基調講演 第一部 「リビングラボの可能性を広げるためにできること」 NTTサービスエボリューション研究所 主任研究員 木村篤信氏 第二部 「可能性を広げる奈良リビングラボでの実践」 奈良市 産業政策課 課長補佐 柏木徹也氏 一般社団法人TOMOSU 理事 原口悠氏2.事例紹介 ・東大和ライフスタイルラボ ・小城市リビングラボプロジェクト ・日野リビングラボ ・つくば・みんなの使いやすさラボ(みんラボ) ・塩尻市の共創事業の展開-シビック・イノベーション拠点スナバ ・日立製作所の市民・地域協創活動3.パネルディスカッション 「日本の文化・社会システムでリビングラボが機能するために」 【モデレーター】 秋山弘子(東京大学名誉教授/未来社会共創センター長寿社会事業部門長) 【パネリスト】 木村篤信氏(NTTサービスエボリューション研究所 主任研究員) 沖田京子氏(株式会社日立製作所 研究開発グループ 基礎研究センタ 日立京大ラボ兼日立北大ラボ 担当部長) 山田崇氏(長野県 塩尻市役所 地方創生推進課 地方創生推進係長(シティプロモーション担当))
第3回全国リビングラボネットワーク会議案内メール 第4回全国リビングラボネットワーク会議 ■テーマ:社会変革を実現するリビングラボ ■日時:2022年3月14日(月) 15:00~17:30 ■開催方法:オンライン開催 ■プログラム▼第一部 基調講演 公益社団法人 2025年日本国際博覧会協会、一般社団法人 Studio Policy Design 羽端大氏 「未来の社会デザインに向けた日本の共創アプローチ」▼第二部 対話セッション ・テーマ1「事業やサービスを通じて社会変革を実現するために」 Jessie Jeongju Seo氏(Eisai Korea Inc.)ショートトーク 水野恵理子氏(株式会社エヌ・ティ・ティ・データ)ショートトーク 対話セッション モデレータ 木村篤信氏(株式会社 地域創生Coデザイン研究所) ・テーマ2「社会変革を実現する地域と企業の協働のあり方」 原口悠氏(一般社団法人 大牟田未来共創センター)ショートトーク 今林知柔氏(Co Studio株式会社)ショートトーク 松浦克太氏(株式会社 地域創生Coデザイン研究所)ショートトーク 対話セッション モデレータ 原口悠氏(一般社団法人 大牟田未来共創センター) ■共催 一般社団法人 大牟田未来共創センター(ポニポニ) 株式会社 地域創生Coデザイン研究所 一般社団法人 未来社会共創センター 東京大学 高齢社会総合研究機構 ■後援 西日本電信電話株式会社 公益財団法人 九州経済調査協会
「第4回全国リビングラボネットワーク会議:社会変革を実現するリビングラボ」開催のご案内