見出し画像

JSAI2024で研究発表してきました

JSAI2024: 2024年度 人工知能学会全国大会(第38回)に参加してきました。1週間の授業をほとんど全部休講にして。埋め合わせで大変な思いをしそうだ。https://www.ai-gakkai.or.jp/jsai2024/

基調講演@JSAI2024

1. 自分の発表について

[1F5-GS-10-04] レビュー文書・ユーザープロフィール・店舗情報を考慮したマルチモーダル深層学習による飲食店の評価予測手法の提案

そもそもJSAIでの発表は6年ぶりだったし、しかもこの学会では初めての単独発表でもあったので結構緊張したのだけれど、結果としてかなりたのしかった。もしかすると研究関連では1年で一番楽しいイベントだったかもしれない。
セッション内では僕だけが大学人で、ほとんど自分の趣味みたいなことをべらべら話して終わったような気がする。それでも面白がってくれた何人かの方々からコメントもたくさんいただけたことだし、気にしすぎないことにしようと思う。

実は先週も違う学会(JACS: 日本消費者行動研究学会)でLLMをマーケティング分析に応用する研究について発表していたのだけれど、とりあえず言えることは、2週連続で学会発表するのは(いくら国内学会とて)さすがに大変。
特にJSAIの予稿を投稿したのは去年の12月、つまりモデルを書いたタイミングから数えると半年以上経っているわけで、発表では予稿に加えて追加的な分析を色々と入れようと考えていたので、結果的に結構な作業量になってしまった。

その辺の内容も含めて、今回の発表は以下のpreprintをベースにしていました。
Junichiro Niimi (2024) "An Efficient Multimodal Learning Framework to Comprehend Consumer Preferences Using BERT and Cross-Attention", arXiv (CS.CE). arXiv:2405.07435. (https://arxiv.org/abs/2405.07435)

発表では(この情報量である以上仕方がない部分もあるのだけれど)かなり早口で話してしまったので、見返したいという方がいれば是非ともいった感じ。特に、モデル比較というよりは、最適化手法(Adam, Nadam, Adamax)やレビューのトークン数の多寡による精度の比較の部分は先行研究であまり網羅的にはやられていない部分だったりします。

2. 他の方の発表とかコメントとか

4日間通しで参加したので、他人のセッションにも行きまくった。しかも予稿を眺めていたら僕の論文の引用が3件ぐらいあって、これは何より嬉しかった。やはりアカデミアの人間として、後進の人々が僕の論文から自身の研究を積み重ねていくのをみられるのは、研究をやってきて良かった/今後も頑張ろうと思えるモチベーションになる。
特に僕の院生時代の論文を持ってきて「この論文では消費者の行動の多様性がスカラーで表現されてるから改良の余地がある」っていうところを出発点とした発表は出てきたモデルも面白かった。ひとつ言い訳をさせてもらうなら、僕は既存の解析に組み込めるようあくまでもシンプルな指標開発を一つの目標に据えていて、多様性変数に関しても多様性の高さを回帰分析に投入してその影響を見たかったから単純明快にHHIのスカラーで表現していたわけなんですよね。ただ、今はすっかりディープラーニング芸人になってしまったので、TransformerやCNNに入れる前提で各インスタンスに対して2次元の特徴マップに拡張してもいいかもなとも思った。なんか考えてみようかな。

あとは(生意気ながら)いろいろなセッションでコメントもさせてもらった。
これはJSAIの一番の良さともいえるのだけれど、自分と同じ手法を全く異なる研究課題に応用している様を見られることが利点としてかなり大きい。思わずいろいろと質問してしまった。その多くは純粋な知識欲だったので、しょうもない質問ばかりだったけどどうか許してほしい。レフェリーやる時にも僕はエディターから教育的なコメントを求められることが多いので、そういう意味では普段の査読と同じようなことをやっていたのかもしれない。
特に拡散モデルを金融系のData Synthesisに応用する発表は研究としての応用可能性がかなり高くて個人的には一番興味深い内容だった。

3. 参加者交流会

数年ぶりに参加者交流会にも出て、知らない方ともいろいろな切り口で議論できた。先にも言ったとおり、異なる分野/データ/手法の人たちがごちゃごちゃに混ざってるのがこの学会の良さなので、話してみると僕が抱いたこともない悩み(多くの場合にその分野特有の統計学的な課題)を持っていたりする。そういうところにアドバイスしあえるのはとてもいいなと改めて感じた。色々とデータ提供や連携のお話もできたし、いいきっかけにしていきたい。

そのあと

いろいろな方とお話しさせてもらって、いい感じにお酒も飲んで、最高の気分でホテルに戻ったらIEEEから一発Rejectの連絡が来ててゲロ吐いた。全部吐いた。
…ま、まあ、今回の論文はそもそも通るわけもない内容だし、Deskで刎ねられて次行くつもりで出したような案件なので、査読に回っただけでもヨシとすべきだわな。

そんな感じでたぶん来年も発表します。
新しい分野での共同プロジェクトがいくつか立ち上がった関係ですでにネタが3つぐらいあるので、色々やっていきたい。いいセッションがあればisAIでもいいなあ。
あとこれはJSAIでやるつもりはないけど、KAN: Kolmogorov-Arnold Networks (https://arxiv.org/abs/2404.19756)が気になってるので、手元のオープンデータで軽くモデル比較でもしてみようかなと思ってるくらいかな。

最後に、僕も学会運営の経験はいくつかありますが(それこそ今週末は日本マーケティング・サイエンス学会@名城大学の運営ホストなわけだし)、この規模の運営は本当に大変だと思いますので、感謝の意を表しておきたい。
運営に携わったみなさま、ありがとうございました。

参加者交流会にて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?