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外国人起業家を誘致するスタートアップ特区の隣接市場

 日本でも「外国人創業人材受け入れ促進事業」として、外国人が日本で起業することを促進するためのスタートアップビザを発行しはじめている。

本来は、外国人が日本で会社を設立するのに、「経営・管理」の在留資格が必要になるが、その条件として、事務所の開設(賃貸契約)に加えて、常勤社員2名以上の雇用、または500万円以上の投資資金を入国前に準備する必要がある。しかしこれは、日本にビジネスパートナーがいない外国人にはハードルが高いため、経営・管理ビザを取得するまでの準備期間として、国家戦略特区に指定された自治体に限定して、6ヶ月間の在留資格(スタートアップビザ)が与えられるようになっている。現在は、東京都、福岡市、新潟市、今治市、仙台市、広島県、愛知県の自治体でスタートアップビザが発行されている。

日本での創業を考える外国人起業家の視点としては、英語圏とは異なる独自の商圏が形成されているため、イノベーションが遅れている業界はたくさんあり、北米や欧州でライバルと競争するよりも、ビジネスチャンスは大きいという見方がされている。特にアジアの起業家にとって、日本は魅力的な市場と映っている。

スタートアップビザを活用した具体的な日本進出例として、ゴルフェイス株式会社(福岡市)は、台湾でゴルフのプレー予約、コースの分析、スコア管理などを集約して行えるモバイルアプリを開発している Golface社の日本法人である。日本には近年、台湾からの旅行者が増えていることから、日本国内のゴルフ場に対して台湾ゴルフユーザーの送客を狙っている。

ゴルフェイス社の事業に対しては、私鉄大手の西日本鉄道が業務提携をしている。この提携により、西鉄では子会社の旅行会社を通して、台湾の富裕層をターゲットに、日本のゴルフ場でのプレーと観光を楽しめるツアー商品を販売する計画だ。

 日本で起業する外国人が増えることで、地域の経済にも「雇用の増加」「オフィスや住宅物件の需要増」「地域商店の売上げ増加」「海外とのビジネスを広げられるチャンス」など、様々なメリットが考えられる。その一方で、外国人起業家は日本での土地勘や人脈が無いため、自治体や民間が支援していく体制を整備していくことも重要になる。

ビザの申請や会社登記については、英語や中国語に対応できる行政書士や司法書士が必要。また、不動産の物件探しは、来日前にネットから行えることが理想であるため、日本での起業に適したオフィス物件を多言語で紹介する不動産会社や情報サイトへのニーズも動き始めている。

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■この記事はJNEWS会員向けレポート「JNEWS LETTER」の冒頭部を抜粋したものです。JNEWS.comは起業家、経営者向けに新ビジネスの動向や仕組みを解説する情報サイトです。

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