見出し画像

ありのままを受け止めるママナースへ

看護コーチは、看護とコーチングを実践する中で、患者・その家族・チームメンバー・他職種のスタッフ・地域の人々・その他関わる全ての人々がその人らしく輝いて生きるための支援をしています。
看護コーチトレーニングを卒業し、その後「認定看護コーチ」となった看護師の皆さんの日々の輝きを紹介することで、やっぱり看護っていいな、看護コーチングっていいなと思う瞬間をインタビューを通してたくさん見つけていきたいと思います。

とあるドラマに憧れて看護師を目指した高田理絵さん(以下:理絵さん)は、ふわふわしたとてもやさしい笑顔が印象的です。実はもともと鬼看護師出身ということでしたが、今は3児の母であり、やさしい看護コーチです。そんな理絵さんが鬼ナースからスタッフにも利用者さんにも優しいナースになった秘訣とは?

画像1

高田理絵さん
大学病院で4年間勤務後
いくつかの病院へ転職の後
現在三人の子どもを育てながら訪問看護師
認定看護コーチ


【きっかけは某医療ドラマ】

(奈津美)理絵さんが看護師になろうと思ったきっかけは何だったのですか?

(理絵さん)看護師になろうと思ったのが中学校2~3年生ごろだったと思うんですけど、私将来何やろっかなーみたいなときに、ちょうど救命救急24時が放送されてて、それをみて、あーなんか看護師さんってなんかかっこいい~って思ったのがきっかけで。高校生の時はそこに突っ走る感じでした。学校も看護体験をするような学校だったから、近くの病院で看護体験をすることもあって、そのまま看護師に突き進んだ感じ(笑)

(奈津美)そうだったんですねー!救命救急24時をみて、っていうのが私もまったく同じで、親近感がわきます!そうやって突き進んだ看護師になってみていかがでしたか?

(理絵さん)最初4年間は大学病院の血液内科と呼吸器内科のがんの人とか混合の病棟にいて。私看護学校にいるころから、がんの看護やりたいなって思ってたのと、気持ちも落ち込んでいるような人の支えになりたいなと思っていたので、それが叶ってすごく充実した4年間だったんです。最初の2年間がすごく楽しくて。でも、3年目4年目くらいから後輩の指導が入ってきたら、もう本当に仕事がつらくて(笑)

(奈津美)えー!どういうことですか???

(理絵さん)超怖い先輩だったと思うんです(笑)たぶんくそまじめだから、しっかりやらない後輩とかにすごいイライラして(笑)

(奈津美)でもそういう、看護に熱いゆえに厳しくなる先輩っていますよね。内に秘めている優しさを周りになかなか気づかれなかったりして…(笑)

(理絵さん)ただ今思えばたぶん、本当にすごい調子乗ってたと思います(笑) プリセプターをやった子が、勉強がすごくできて賢い子だったんだけど、リーダーの先輩とかからみるとちょっと仕事ができないことがあって…。当時は私も「この子できてない」と思ってたけど、今思えばそんなことはなくて、頑張っていたんですよね。リーダーの先輩とか、上の先輩にも挟まれてしんどいなーと思いながら一年間育てたんです。でも、プリセプティが2年目にチームが変わったことがきっかけで途中でやめることになってしまって。自分が一生懸命育てたのに、うまくいかなかった、間違ったかなーって思ってちょっとしんどい時期もあったんです。「先輩怖いです」って言われてることもあって、ちょっと看護も楽しくなくなってきちゃって、それで4年で辞めちゃったんです。ちょうど結婚してくれそうな人もいて、逃げちゃった感じかも。

(奈津美)教育ってする側もされる側も大変な時がありますよね~


【鬼ナースからの変貌?】

(理絵さん)その後も、ちょこちょこ小さい病院で働いたり、子供が生まれてからもすぐに再就職したりもしていたんです。でもその頃にはね、大学病院でのトラウマのせいで、全然人に文句とか言えなくなっちゃって(笑)

(奈津美)今度は逆になっちゃったんですね(笑)

(理絵さん)嫌われたくないと思って、言いたいこと言えなくなっちゃって(笑)まあでも、嫌われるようなことはしないから楽しく仕事してたんだけど(笑)

(奈津美)超怖い先輩だったっていうところから、何にも言えなくなっちゃったっていうところのふり幅がすごいなと思うんですけど、もしかしてこのふり幅があったから、コミュニケーションとか、コーチングを学び始めたのですか?

(理絵さん)いや、その時はあんまり自分が間違ってるって思わなかったんですよ。ただ、もめるのやだし、嫌われたくないし、うまくやってこーみたいな気持ちで。大学病院の時は言いたいこと言いすぎて嫌な先輩になっちゃったから、今回は別に私がやらないでいてもいいやって(笑)ほかにそういう役やってくれる人いるからいいやって(笑)だからわたしそのとき、人の小さいミスとか失敗とか見ても勝手にフォローしてたりとか、言わないで適当に流すみたいな、ちょっと自分としてはいまいちな時代を過ごしてたんです(笑)
コーチングを最初に知ったのは子育ての講座で、ヨガの先生に教えてもらったんです。それでコーチングの本とか読み漁って、実際にちょっとしたセミナーとかにも出てみたりして学んでいったら、仕事にも活かせるんじゃないかな、もっと勉強したいなーって思ったときに看護コーチ協会を知って、あ!これだ!って思いました(笑)

画像2

(奈津美)そうなんですね~。子育てから入る方って多いみたいですね~受けてみてどうでしたか?

(理絵さん)最初はなんか自分が責められてる気がしちゃって。セッションも最初はよくわかんないからうまくいかないし(笑) 自分の考えとかも上手に伝えられないし、自分の感情にも気づくことができなくて、感情を伝える場面でよく「それは感情じゃなくて、考えていることね」って言われてました(笑)

(奈津美)確かに。看護師さんの中にコーチングを知ってる人も増えていますけど、実際なんか本を読んでもよくわからなくて、実践できないとか、いざやってみるとさっぱりできないとかありますよね。私もそうでした(笑)

【ジャッジしない】

(理絵さん)あと、人の話を聴きながら、ジャッジしたくなっちゃうことが多かったんです。人の話を聴いてると、それ違うよとか、え?!とか思ったりして。コーチングを学んでから、ありのままに聴くとか、その人のそのままを受け止めるっていう考え方が、目からうろこだったなあ。

(奈津美)たしかに~相手をニュートラルにうけとめるってことですね。

(理絵さん)看護師さんてアセスメントが好きだから、この人はこういう人だからとか、この人はこうだからとか、スタッフに対しても、患者さんに対してもあるアセスメントして構えてしまうことが多い気がしてて。

(奈津美)確かに、そういうのめちゃめちゃありますよね!あるあるだし、過去の自分もそうだったかもって思いますし(笑)

(理絵さん)多いよねー!!この人こう言ってるけど、本当はこう考えてるんじゃないかなあとか、この人強がってるなとか、自分の中で決めつけてしまわずに、聴けるようになったのが今までと全然違うコミュニケーションかなって。

画像3


【コミュニケーションが楽になった】

(理絵さん)実は前は質問とかも苦手で、質問をして相手にいやな思いをさせるんじゃないかなとか、間違ったことをきいちゃうんじゃないかとか結構もやもやしちゃったり、本当に聞きたいことがきけないことがあったんです。でも、それを克服して思い切って質問をすることができるようになってから「高田さんと話したからすごく気が楽になった」とか言ってもらえる回数が増えたかな。あとは前は殺伐とした雰囲気がすごく苦手で、、余計な口出しして失敗するみたいなのもあったけど、今はその人をフラットに、その人のありのままを見るっていうのができるようになったと思います。

(奈津美)理絵さんのコミュニケーションがどんどん変わっていったんですね!。

(理絵さん)そう、ビビらなくなりましたね(笑) スタッフと接する時にコミュニケーションが楽になったというか。相手の意見を聞きつつ、自分の意見も言える。で、自分の意見を言って、相手の意見と違ってもOKって思えるようになりました。相手も自分も、ありのままを受け止めていけるようになったかな

(奈津美)ありのままを受け止めるっていうのが理恵さんのキーワードですね。

(理絵さん)うまくいかないことも たまにはあるけどね(笑)

(奈津美)コミュニケーションは生ものですもんね!(笑)

【応援ママナース】

(理絵さん)コーチングっていうよりは、子育てをしながらずっと看護師をやってきてるので、そういうお母さん看護師を応援する存在でありたいなと思ってて。
だんだんと働きやすくなってるのかもしれないけど、まだまだね、働くお母さんの世界って狭いし、いろんなことに縛られてるし、看護師もお母さんも頑張ってる人を応援していきたいし、つないでいきたいなあって。

(奈津美)ママナースの強い味方ですね!理絵さんにとって看護コーチとは?

(理絵さん)温かいお母さんって感じ!お母さん的存在でありたいなって。

(奈津美)わー!ほっこりしますね♡ 例えばどういうことですか?

(理絵さん)お母さんって子供のありのままを愛するじゃないですか。いいところも悪いところも、すべてOKみたいな。

画像4

(理絵さん)まあそうできない時もあるけど(笑) でもね、失敗しても、いたずらしても、転んでも、喧嘩しても、この子たちかわいいなーって思うのがお母さんだから、スタッフとの関りでも、利用者さんとの関りでも、うまくいかないできないとか失敗しちゃったっていうときに、よしよし大丈夫、まずは聴こうっていう存在でありたいですね。私と話をして、また明日から頑張ろうって思ってもらえるようなのが私らしい看護コーチかな。


【インタビューを終えて】

実際に三児の母でありながら、看護師としても温かいお母さんのような看護コーチの理絵さん。もともと鬼ナースだったというのが信じられないくらいですが、鬼ナースだった過去があるから、理絵さんからにじみ出る優しさは奥深いのかもしれません。どんな経験もその人を支える人生の一部なのだと改めて考えさせられました。
お母さんのように相手をまるごとありのまま受け止めることは、子育てと同じようにうまくいかないこともあるかもしれませんが、看護コーチはきっと、本当の母のようにあきらめずに関わり続けるのだと思います。

次回もお楽しみに★


日本看護コーチ協会HP

インタビュアー:奈津美
救命病棟24時にあこがれて看護師になるも、その責任の重さからメンタルを崩し、1年で看護師を挫折。その後「自分のような新人看護師をつくりたくない」と病棟看護師へ再チャレンジ。もがいているうちに日本看護コーチ協会と出会い、認定看護コーチを取得。看護コーチングを通して、看護の楽しさや やりがいに気づき、たくさんの看護師の笑顔と幸せのため、現在は看護コーチ協会スタッフを務めながら、たくさんのナースの幸せを願ってコーチとしても活動している。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?