【エッセイ】映画は一緒に観なかったけど

コナンの映画を一緒に観るという親孝行をしようかな

— Jナカノ (@mahou_bcmm) May 27, 2024

なんでこんなことをつぶやいたか。母親は毎年「名探偵コナン」の新作を映画館に観に行っているのだが、このポストを投稿した段階では、観に行けていなかった。「観に行きたい」とは4月の公開当初から話していて、こちらとしては「いくらロングラン確定の人気シリーズとはいえ、そのうち上映が終わりますよ」と思っていた。ちなみに、母親は名探偵コナンのコミックスを購入しているわけではないうえに、アニメの方も追えているのかは私の知るところではないが、それなりに作品の知識はある方だというのが私の認識である。少なくとも私よりはコナンに詳しい。

話は変わって、私は現在「今年中に広島県にある映画館14か所を全て回る」というプロジェクトを一人で勝手に行っており、実家から離れている東広島市や福山市の映画館は訪れたものの、距離的に一番近い「109シネマズ広島」には行けていなかった。

そんなわけで、どうにかして109シネマズで映画を観たかった私は、毎週のように、ホームページの「公開予定作品」の項目を開いていた。すると「マッドマックス 怒りのデスロード」の前日譚「マッドマックス フュリオサ」が5月31日に上映されることを知った。「怒りのデスロード」は観ていたので、「フュリオサ」は観る作品としてはちょうどいいと思った。上映スケジュールが決まった段階で、母親にこう持ち掛けた。

「6月1日の土曜日に、僕は先に映画館に行って、11時25分からのマッドマックスを観るから、母さんは13時45分からのコナンを観て、コナンが終わったら合流するのはどう？」

実際は、マッドマックス上映終了後からコナン上映終了まで、かなりの時間が空くため、あまり賢いスケジューリングでは無かったのだが、母親は賛成してくれた。

当日を迎えて、無事にチケットを購入し、「フュリオサ」を鑑賞した。砂漠地帯で繰り広げられるあり得ない光景の数々に圧倒されながら、上映時間の2時間半が過ぎた。

上映終了後は昼食を食べて、ボーっとしながら時間をつぶした。その間に、ちょっと自分の中で迷いが生じていた。

「ポストの通り、一緒にコナンを観た方が良かったのでは？」

「終わってから、感想を共有出来た方が良かったのでは？」

そんなことを考えながら、ショッピングモールの中をぶらついていた。

そろそろコナンが終わる時間。再び映画館のロビーに戻り、母親と合流。感想を聞くと、面白かったと嬉しそうに語ってくれた。私が今後も観るつもりはないと伝えると、まだここには書けないようなネタバレも教えてくれた。一つ気になったので、コナン初心者の私が観ても楽しめる内容だったのか尋ねてみた。

「う～ん…内容は分かると思う」

やっぱりそうか。何年も続いているシリーズ。完全に一見さんお断りなわけではなさそうだ。帰り道、やはりコナンを観るべきだったと少し後悔した。マッドマックスも面白かったけど。

その日の夜、カフェインレスコーヒーを淹れていると、母親からこんな言葉をもらった。

「今日はありがとね。言われんかったら多分観ないままだったわ」

ああ、一緒には観れなかったけど、背中を押すことで、少しは親孝行になったかな。