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Day22「プライベートクラウドの高度化最新トレンド」 @ ガバメントクラウドについて考えるAdvent Calendar 2022

この記事は、ガバメントクラウドについて考える Advent Calendar 2022のDay22「プライベートクラウドの高度化最新トレンド」となります。

※こちらの記事は基本的には公開情報を元にしていますが、個人的な妄想・意見も含まれておりますので、ご承知おきください。

このAdvent Calendarは、日々活動している中で課題として感じることなどをどこかで整理しなくてはいけないと思っていて、ちょうど良いタイミングだったので、全日自分が思うところを書くというスタイルにチャレンジして、どこまで続けられるかやってみたいと思います。
https://adventar.org/calendars/8293

以前、以下のツイートに多くのことをまとめてみたのですが、改めて整理していきます。

プライベートクラウドの高度化最新トレンド

今まで整理してきたネットワークや運用面での課題をクリアするためには、ガバメントクラウド以外の選択肢としてプライベートクラウドを検討される方もいらっしゃると思います。また、ガバメントクラウド利用コストの自治体負担が濃厚な状態においても、真のコスト比較が重要になり、その中でもガバメントクラウド以外の選択肢として、補助金対象になるかも大きな検討ポイントになります。

その際の記事は以下になり、そもそもオンプレミスとプライベートクラウドの定義はどうなっているのかについて課題感を整理しました。

この記事では、オンプレミスとプライベートクラウドの違いを以下のように想定しました。

  1. 単一顧客用の専用区画でネットワーク経由でアクセスする

  2. セルフサービスポータルでデプロイ・設定が可能

  3. 従来の方法で構築されないもので、拡張などが可能

こちらを元に、プライベートクラウドと呼ばれるものがどのように現在は進化しているのかについて整理していきたいと思います。

まず、1についてはほぼほぼオンプレミスと呼ばれるものも、国内のクラウド事業者が提供されるものは満たされていると思いますので、こちらは特に今回は触れません。ここでは、2と3について、整理していきたいと思います。

現在のオンプレミスの課題とプライベートクラウド化

現在のオンプレミスは、システムという単位で見ればサイロ(個別最適化)された状態になっています。さらにユーザーに近いシステムはクラウドネイティブ化され、パブリッククラウドが利用されることにより、サイロ化が促進されます。また、パブリッククラウド以外の選択肢については、(必要かどうかはさておき)ハードウェアでの運用になっているため、短時間での柔軟なリソース追加が難しい状態です。加えて、それぞれのシステムでバージョンアップなどのライフサイクル管理に本来は追われることになりますが、それを避けるために塩漬け・長期化などの選択肢を取らざるを得ない状況も散見されるかと思います。

このあたりがまさにパブリッククラウドとの違いで、パブリッククラウドはクラウド事業者側への委託範囲が広くなるため、リソース追加やライフサイクル管理をユーザー側が気にすることが少なくなります。これをデータセンターなどで実現できないかというのがプライベートクラウドの目指すべきところかと思います。

これらをGartnerではNewオンプレミスと呼んでいるケースもあります。ハイパースケーラが提供するオンプレミスソリューション(AWS Outposts、Azure Stack等)もその1つと言えると定義されています。

Newオンプレミスとは、従来型のシンプルなスタックから構成されるオンプレミスではなく、クラウド・ネイティブの要素を取り入れた新しいオンプレミスのことです。ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ (HCI) ベンダーはもとより、ハイパースケーラーが提示しているハイブリッド・ソリューションにおけるオンプレミスも本カテゴリに含まれます。既にオンプレミス対クラウドの議論は過去のものとなりつつあります。オンプレミスかクラウドかに関係なく、従来型 (Old) から新しい (New) やり方/スタイルへの大きな転換が起こっていることにすべての人は気付くべきです。従来型のやり方/スタイルは、2030年には相当減少し、場合によっては無くなっている可能性があることを前提に戦略を再定義する必要があります。

では、従来のオンプレミスをこのように高度化したプライベートクラウドとするには、標準化自動化がキーになってきます。これらの最新トレンドを見ていきましょう。

今やデータセンターの中身は全てソフトウェアで定義できるようになっており、それをVMwareではSoftware-Defined Data Center(今はあまり使っていませんが…)と呼んでいます。これらは以下のことを可能にするコンセプトです。

  • ハードウェアを購入して電源ONすれば適切な設定・設計が施されたプライベートクラウド環境が自動的に構築される

  • 仮想マシン・コンテナ環境をポータルから作成でき、それに紐づくネットワーク(スイッチング・ロードバランサ)やセキュリティ(ファイアウォール・WAF・IDS/IPS)が設定可能

  • 構築されたコンピューティング・ストレージリソースといった領域のライフサイクル管理を自動化し、リソース増減も容易

リソースの増減にはハードウェアが絡むのでなかなか難しいと思われがちですが、今やハードウェアベンダーがハードウェア利用に応じた従量課金のサービスを提供しており、以下がそのモデルになるのですが、クラウドの従量課金の説明時に見たようなモデルを利用可能になっています。

具体的にはDELLのAPEXHPのGreenLakeなどがそれに当たります。どちらもクラウドの良さをプライベートクラウドとして実現するためという信条において提供されているようです。

さらに言えば、次回お話しさせていただくVMware Cloudは、プライベートクラウド上で実現されたこのような高度な環境を、どのパブリッククラウド上でも実現できるサービスとなっています。つまり、プライベートクラウドの拡張先をパブリッククラウドに拡大することができ、全体を一元的に運用管理することができるようになります。

プライベートクラウド・Newオンプレミス

このように現在のプライベートクラウドというものを実現することができるような技術は、既に整備され成熟化されています。結果として、クラウドに求められるような以下の内容がプライベートクラウドにおいても実現できるようになっています。

  • 環境自動構築・設計工数の省略

  • リソース増設と縮小の容易さと従量課金化

  • アップデートの自動化・ベンダーに依るリモート管理

  • クラウドネイティブな環境のホスト

こういったものを通じて、補助金対象とできるプライベートクラウドの実現が可能になるのではないかと考えています。オンプレミスとプライベートクラウドの明確な定義がされるのを待つ必要がありますが、ネットワークや運用面を勘案した結果、どうするのが最適化の選択肢の1つとして、コスト合理性の観点などにおいて説明できるだけの下地を整備することはできるということになります。

この機会に改めて、プライベートクラウドに対するイメージを上書きしていただき、今後の検討に役立てていただければと思います。

執筆後記

このようにガバメントクラウドを考えるAdvent Calendar 2022では、以下の流れで進んでいくことになると思いますので、Day20以降もお待ちいただければと思います。

  • ガバメントクラウドの在り方

  • ガバメントクラウドの整備における課題感

  • ガバメントクラウドの利用における課題感

  • ガバメントクラウドの今後について考えてみる

Twitterなどで情報発信していますので、もしよろしければ覗いてみてください。