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人事は、面接や調整業務よりも「全社採用プロジェクトのリーダー」として機能すべき

人事担当者は忙しい。特に採用面接が重なる時期になると、社内調整、イベント手配、書類選考などの日々の業務に追われながら大量の面接もこなす。地方への日帰り出張、夜遅くの面接も多く、候補者にとって会社を代表している立場なので体調を壊しても休めない。その中でこなす面接は、疲れた体を押しきってのものも多く、受ける側から「疲れてるな」と思われてしまうこともある。面接官が疲れきってるような会社に、積極的に入りたいという人がいるだろうか。

また、各部門や役員に面接担当を依頼する場合も、「面接の調整業務全般」に重きを置かれる。メールで何度も交わされる連絡、スケジュール調整、選考結果の確認や集計などの細かい業務に追われ、なかなか採用業務の「本来のリーダシップ」をとることができない場合も多い。面接の評価基準を用意しても、結局のところ合否の判断は部門の面接官の好みや気分次第ということにもなりがちで、人事としての無力感にさいなまれることも。

近年、マーケティング、セールス、ファイナンスなどの各部門の戦略は、全社の経営戦略と密接に連携させた上で立てられる傾向が強まってきた。経営情報の集約、および一貫した経営方針を持つべきという流れの中での動きだ。しかしながら、HRの部門だけは、なぜか独特のポジションや雰囲気を持っていて、他の部門との連携も薄く、ある種孤立したような状態のことも多い。人事が「バックオフィス中のバックオフィス」という位置付けで、経営の最前線とはいちばん遠いところに置かれているような状況も希ではない。

これに新風を吹き込んでいるのが、CHRO(最高人事責任者)のポジションを新たに設置し、人事を経営の中枢に据え、より経営に紐づいた戦略的な人事・採用戦略を模索し始めた企業群だ。意欲のあるCHROたちは他社の事例の研究なども行いながら、自らを経営者そのものと規定し、CEOやCOOと同じレベルで新しい人事戦略を策定し、実行し続けている。CHROのみならず、HR部門のメンバー全員が、会社の傍流ではなく、経営そのものを引っ張っていくという意識も重要だ。

こういう組織では、CHROが筆頭となり、採用業務は「全社で一丸となって取り組むべきプロジェクト」として位置付けられる。人事部は、そのプロジェクトのリーダーだ。雑務に追われるだけではなく、みずから採用戦略の策定をし、各部門とのコミュニケーションを密に、司令塔として採用業務全体を率いていく。

この人口減少の社会において、経営課題としての「人材採用」がますます重要になりつつある。売上を上げることよりも、人材を採用する方がはるかに難しい、という時代に本当になってきた。そういう時代においてこそ、人事が、高い経営的視点を持ち、積極的に会社を引っ張っていくことが求められている。


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