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「感じる知性」は人間が人間らしく生きるために必要なもの  ~羽黒山伏と考える、答えが出ない「問い」への向き合い方⑥~

2018年12月12日に行われたイベント(「感じる知性」を取り戻そう! 羽黒山伏と考える、答えが出ない「問い」への向き合い方)の内容、ほぼ原文そのままです。

*写真の一部は下記からお借りしています

https://www.facebook.com/yamabushido/

○「感じたこと」に後づけをすればいい

渡辺:あ、どうぞ、ぜひ。

参加者:意見と言うか、僕の経験から……僕は子会社の社長をやったことがあって、海外なんですけど、僕は日本人1人で、僕は女性系なんです。多分、今のお話だと、直感で僕は判断して、「ここだ!」と、「右、左、右だ!」と思うんですが。ただ、男も女も含めて、会社の人達にそれを分からせる、例えば右に行くんだというのを皆で納得させるのにはやっぱり理屈が必要なんですよね。だから、後付けかもしれないけれども。理的に説明しないと会社が動かないんです。ただ「右だ」と言っただけではね。

星野:後付けも必要。

参加者:そこを思いました。

星野:物語は、後付けなんだよ。先付けじゃなくて。

渡辺:他のおばさん系の男性のご意見は・・・どう思われますか?という。感じる知性をこれからビジネス社会に持ち込むためにどうしたらいいかとか、課題に思われることとか。

参加者:僕も一応おばさん系だと思うんですけど、

渡辺:嬉しそうですね(笑)。

参加者:はい、もう先達と同じでおばさん系みたいな感じなんですけど、ただ、適材適所じゃないかなというのは思っていて。例えば日曜日にその週に着る服を決めておかないとダメなタイプという人も中にはいるわけじゃないですか。でもまあそれも別に悪いわけじゃなくて、そういうことが得意な人はそういうことをいたしていけばいいし。僕なんかはもう感性で生きてきちゃっているので、それはそれでいいと思うんですけど。
僕も会社、今、持っているのですが、さっき仰っていたみたいに、やっぱり感性だけでは成り立たないことも絶対あると思います。そこは何かバランスというのは絶対大事なのかな? 感性だけでできたらすごい、本当に良い会社にはなると思うんですけど、そこはなかなか難しいかなというふうに思っています。
個人的には、仕事がもっと楽しく感じるものになればいいなと思って、何かそういうことにすごく興味があり、今日はちょっと来させていただいたというのはあります。まとまりがなくてすみません。ありがとうございます。

渡辺:いえいえ、ありがとうございます。

星野:もう少し。シミズさん!

参加者:今ちょっと話ができたので、おばさん系の男性、「おばさん経営」のススメ? 今、おじさんが全面に出すぎちゃっているから良くないのであって、おじさんとおばさんがバランス良くできるといいのでは?と思いました。

おじさん要素って、必ず答えを見つけ出そうとする、そういうところがあると思うのですが、それではイノベーションは生まれないというか。ロジックから考えて変えるのではなくて、ただ、もうそのまま目の前で起きたことを感じて、それから考えるということでもいいのでは?と思います。

○カオスの中に留まる力――「ネガティブ・ケイパビリティ」

渡辺:ありがとうございます。「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉があるんです。

参加者:その話、何度も出てきました。

渡辺:ああ、ありがとうございます。「ネガティブ・ケイパビリティ」って、簡単に答えを出さずにカオスの中に留まっていられる力のことを言うんですね。中途半端というか、答えのないカオスの状態って気持ち悪いんですよね、人間にとって。すぐに結論を出しちゃったりとか、答えを出しちゃったり空白を埋めたりとかしたくなるのが脳の働きだったりするんですけど。でも、その混沌としたものを混沌とした状態のままにしておいて、その中に留まれる力のことを指すのが「ネガティブ・ケイパビリティ」で、これがクリエイティビティの源だと言われていて。心理学の領域の言葉なんですけど、シェイクスピアは「ネガティブ・ケイパビリティ」がすごく高かったんじゃないかと言われていたりします。

参加者:シェイクスピアの話って、納得できない展開がすごく多いなという。

渡辺:理不尽だったりだとか。

参加者:なんでこんなことするの?みたいなことが起こったり。

渡辺:さっきも、突然、電気が消えましたしね。

星野:ねえ。見えないから、先は。見えない世界。だから、皆、本当に見えない先のことを頭で考えて、「当たりっこねえよ」と自信もって言えるからね、ハッキリ言って。
先のことは「感じ取る力」しかないんじゃない? 感じ取ったことをやって、そして頭は後で整理するものなんだと思うんだよ。頭というのは後から整理して、そしてそれが経験値ということでフォローしていくと、またいい感じ方に繋がるんじゃないのかな。まあ、いわゆる言葉で整理するとね。そういうふうに今のところ捉えているんだけどね。
先のことが分かったら予言者だよ。予言者なんて言うのは、あれは結構知識でやっているからさ、あてにならないんだよ。ハッキリ言って。だから、誰でも、偶然とか偶々ということはいっぱいあるじゃない。普段会いたい人、いつもこの道を通るんだけれども、こっちの道に回っていったら、普段会いたいと思っていた人に会えたとかさ、なんか1時間遅れて行ったら事故に遭わなかったとか、そういうことというのは。

○「たまたま」「偶然」はなぜ起きる?

星野:俺は自分自身の魂の先に行っているんじゃないか、という捉え方をしているんだよ。そこはだから、自分、認識できていないんだもん。ところが、無意識の中で、それをしているわけだよ、自分が。そしたらたまたま偶然なっちゃった。だから、たまたまとか偶然というのは、それは自分の無意識という魂がさせてくれているんじゃないの?
自分自身の魂が、俺の表現で言うと「強く」なっていくと、たまたまとか偶然がものすごく多くなるの。今、俺もたまたまとか偶然というのはものすごく多いわけ。何も考えていなくても1人で道が開かれていくんだよ。ハッキリ言って。
だから、いろんなことをやったことがドキュメンタリー映画にもなっちゃうわけよ。映画を作るためじゃないよ。ただ、感じたままにいろんな人が委ね合ってやっていったら1時間のドキュメンタリー映画になっちゃう。

渡辺:ブラジルでの山伏修行もね。

星野:そうそう。

柏原:宣伝しますか。

星野:ああ、「ドキュメンタリー映画じねん(JINEN)」という映画があるんだけれども、今あちこちで上映会をやっているんだけど、これなんかもう完全に委ね合って行ったら映画になっちゃった。ドキュメンタリー映画になっちゃった。作る気もなかったんだよ?それが独り歩きしちゃうんだよ。何も考えていないのに。

*「ドキュメンタリー映画じねん(JINEN)」について詳しくはこちらへ

https://www.facebook.com/pg/documentaryfilmjinen/

渡辺:カフェで出会った人と話していたらそうなっちゃったんでしたっけ?

星野:そう。俺が庄内空港から羽田へ飛んでさ、一昨年の10月、最終便で。それで、羽田に7時に着いたの。それで、「羽田で飯食っていこうかな、いや、待てよ、西荻で俺の知っているところで飯食おうか」と、そこに行ったら会った姉妹がきっかけで、物語になっちゃった。だから、俺が羽田で飯食っていたらそれができなくなっちゃう。

渡辺:大分、プロセスを多分端折っていると思うんですけど(笑)。

星野:端折ってる。これを話すと多分長くなっちゃう。

渡辺:そうですよね。

星野:それでこないだもさ、NHKで俺の山伏修行が放映になったんだけれども。

渡辺:ああ、東北だけで。

星野:うん、あのNHK仙台局で来られて、「ぜひ修行させたやつを上映したいから」と言われて、最初断ったの。そんなことしたって俺にとっては何のあれもないから。そうしたら、そのディレクターが「先達の本を読んで、どうしても先達だからやりたいんです」と来た。「それじゃしょうがない、ただし、俺の流儀でやるからね、一切口出すなよ」と。NHKは俺のやることに対して口を出すなよ、修業に対して。それを全部通してやった。俺が感じるままに修行したのがちゃんと後付けで物語になっちゃった。それの方が感動的なんだよ。こうしてこうしてこういうことをやって、こういうふうに撮っていったらこうする、というよりも、もうこっちのままに、感じるままに、やっちゃったのを撮っていて映像にまとめたら、綺麗なものが撮れた。自然も人間の一部、と。
だからね、全て最初からストーリーなんかなくて、やりたいようにやって、それを整理したら、そのストーリーが後付けになっている。これの方が絶対いいものができちゃう。

○「今したいこと」をやっちゃえ!!!

渡辺:計画は要らない?

星野:先のことは分からないんだから。だから、その時にならなきゃ分からない、でいい。先のことはその時にならなきゃ分かんないんだもん。どうなるってハッキリ分かる?
だからその時に、その場にあった時に直感でやることなんだよ。そういう場になった時に直感で、その良い直感を生み出す自分の感じる知性だろう?そこしかないんだよ。
あと、それをやった後に、後で頭で整理して、経験値で置き換えていくんだよ。それだけだと思う。

参加者:そうすると、今はどういうふうに生きていればいいんですか?

星野:だから、要は「今したいことをやる」。

参加者:今したいこと、ただ思うことを。

星野:そういうこと、そう。一番大事なのは「今したいことをやる」。そうしてやっていくことだよ。今したいこと。
そうしていくと、どんどんどんどん転換していく。今、あの人と会いたい、行きゃあいい。そこに行かないと。その時に時間がないとかお金がないとか、そんなの後から何とかなるんだよ。
ところが、それが頭でそう考えちゃうだろう?それは後から何とかなるもんだよ。それをやっちゃえば。だからね、今、俺から言うところは「やっちゃえ!!」。やっちゃえよ!と。これしかない。今やりたいことを「やっちゃえ!!」、「やれ」じゃない「やっちゃえ!!」だよ。そうしていくと、

渡辺:「やれ」じゃなくて「やっちゃえ」。

星野:うん、「やれ」では弱いの。「やっちゃえ!!」というくらいしてやらないとダメ。そうしていくとどんどん転換していくから。留まってないもん。だから日本人というのはいろんなもので転換していくわけでしょう?悪いものも良いものに転換していく、そういう文化、民族性だよ。鬼なんていうのは悪いものだよ。ところがその鬼が転換していって鬼瓦として家を守ってくれるんだろう?

渡辺:そうなんですか?知らなかった。

星野:そうだろう?鬼瓦、あれは家を守ってくれているんだよ。鬼はダーティーで悪いものが今度は神様に転換していくわけだよ。そういうものを非常に大事にしてきた民族なんだよ。
だから、答えなんかいらないじゃん。そういうことじゃない?さっきの話。答えは要らない。
悪いものが良いものに転換していくんだもん。

渡辺:なんとなく全部曖昧にしておこうという。

○「曖昧性」と日本人

星野:だからね、その曖昧性というのもね、俺、最近非常に大事にしているんだけれども。
なんで日本人はこんなに曖昧性の民族なのか。それは俺からするとやっぱり自然に全て委ねてきた人の言い分としてはね、春夏秋冬はハッキリしているのよ。ところが、春夏秋冬、明日から春、じゃあないだろう?春から夏になる時、春でもない夏でもない。秋から冬なんていうのは秋でもない冬でもない。常に「でもない、でもない」が繋いでいるわけよ。だから1年間の季節感の365日この国に暮らしていると、体が必然的にその「でもない、でもない」という曖昧性に無意識の中でなっちゃってるんだよ。そんなの意識してなっているんじゃない。
だから日本人はそういう曖昧性がものすごく合ってる、曖昧性になるような日本の季節感なんだよ。

だから、修験道みたいなこんな曖昧なものないじゃん。
神様も仏様も中国の道教も、アニミズムもシャーマンも、何でも1つにできるような、そんな曖昧なものないだろう?ところが、日本人にはそれが一番合ってたろう?
それを明治維新の時に「答えを1つにしよう!欧米に倣え!」で、答えを1つにして欧米に追いつけ追い越せとやってきたらこんな国になっちゃったんだろう?常に答えを出そう答えを出そうとして、しまいには答えを出してロボットを作っちゃった。
ところが、考えて考えてロボットを作ったら、もう人間はロボットには敵わないとなっちゃった。考えた社会はここへ来ちゃったんだよ。ロボットが人以上になんでもやっちゃうんだもん。

星野:それじゃあ人間って、人って何なんだよ。
今ここのことをやっていかないと地球は滅びるんじゃない?極端に言えば。ロボットが皆やってくれるんだもん。
だからあえて感じたことを答えにして、そして考えて、後で整理して、経験値として活かしていく。そしてまた感じたことをやっていく。こうしていかないと、もう皆ロボットから食われちゃうよ、ハッキリ言って。

○人間が人間らしく生きるために必要なもの

星野:そして、ましてや、ロボットの世界ではロボットに魂を入れる話になっている。だから俺、言ったよ、その時に。
人の場合、体の中の水は魂と関係している。人がなぜ魂、霊的なものがあるかと言えば、俺は「水」だと思っている、と。体の中の水がものすごく魂との関係性を俺は持っているんじゃないか、と見ているの。だから、俺、そのロボットの話をした時に、魂を入れるって話で、「それじゃあロボットに水を入れるんですか?」と、まともに聞いたよ。
今、そういう状況になっているんだもん。本当に人間は何、人は何、ここのところを、本質的なところをさ、しっかりと感じ取っていかないと、考えてなったらロボットと同じになっちゃうよ。そうじゃないもん、人はあるんだもん、ちゃんと。


だから、そういうことをしっかりと、なんか世の中に殴り込みをかける本なんだよ、今回ハッキリ言って。今回の本は。そういう社会に殴り込みをかけていかないと大変なことになるよ、と。
だから俺も1冊2冊、これはまあこういうことを分かる人達が読んで楽しんでいればいいね、という本で終わっているから。なんか、キヨノ、「先達、本出さない?」と言うから、そうだよ、俺もこの感じる知性と経営論も必要だと思っているんだよ。そして柏原さんに話があって、そうしたらやっぱり皆でこの本は作ったらいいんじゃない?という3人の一致したところ。
だから今、先、どういう本になっていくか、これはね、分からない、ハッキリ言って。だけども、こうして何か皆が感じ合った形で進めていったら何か先、面白そうじゃない?

渡辺:ありがとうございます。ちょうど今、時間になりましたね。

星野:ね、大体そうなっちゃうんだよ。もう見事にそうなの。
どこで、ねえ、いろんなところで講演していても、もう「はい、終わります」と言ったら「先達、ちょうど時間でした」と言う。時計も見ないのに。魂だと思う。先に魂がちゃんと。

渡辺:感じているわけですね。

星野:それじゃああとはお2人で。

渡辺:はい。

柏原:足りないことだらけというか、、、

渡辺:そうですね、質問もいただいていたものもちょっとお答えきれなかったので、

柏原:もうすごくたくさんあると思うんですけれども、多分、この会は続くと思います。続けます。本が出るまで続きます。

星野:おお、楽しいね。

柏原:まだ社内で企画の承認はとれていないんですけど。まあ、きっと文句はないでしょうと思うので、皆さんにこれからもご協力いただきたいなと思います。

渡辺:ありがとうございました。

星野:ありがとうございました。ほら貝で締める?

渡辺:ほら貝ですか。

柏原:ぜひ、動画、写真。

星野:それじゃあほら貝で。な、キヨノ、一緒に吹くとお前、良い音出るからな。

渡辺:うん、先達のおかげです。

星野:そう、混ざる縁です。

(ほら貝)

*動画はこちらから

https://share.icloud.com/photos/02KoVkvy09xKODtMnX1nD_ajA

星野:ありがとうございました。

渡辺:ありがとうございました。ありがとうございます。良かったら仲間になってください。

星野:それではどうぞ皆さん、お気をつけてお帰りください。こういうところがおばさん系なのかな。ついついやっちゃってるんだよね、後。(笑)

第1回MTG(2018年12月12日実施)レポートおしまい
*第2回MTG(2019年3月14日実施)レポートも近日公開予定


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