カバー3回目

経営もキャリア形成も、内臓感覚から湧き出る直感 を大切に ~ノープランから生まれる価値を体感する③~

2019年3月14日に行われたイベント(「感じる知性」を取り戻そう!~ノープランから生まれる価値を体感する~)の内容、ほぼ原文そのままです。
*イベントの概要
https://kanjiruchise2.peatix.com/
*写真の一部は下記のページからお借りしています
https://www.facebook.com/yamabushido/

○頭で考えたことではなく、身体で感じたことこそが答え

渡辺清乃(以下渡辺):今日はこんなにたくさんの方々が集まってくださっていて、しかも本づくり会議ということなので、ぜひ皆さんにもご意見を出していただけたらと思うんですけれども。1回目にも参加していただいた方には、もう1回その話を聞くことになってしまうんですけれども、なんでこういう場になっているかということだけお話をしたいなと思います。
 「感じる知性」というキーワードで今回やっているんですけれども、先達が「感じる知性」というのが仕事をする上で大事なんじゃないかとか、経営者にとって大事なんじゃないかということをそれこそ感じていて、私は私で里の行 のキャリアコンサルタントとしてビジネスパーソンの方たちのこれからを考えたときに、感じるということが大事なんじゃないかと思っていました。二人でその話をしていたときに、「これは大事なんじゃないか」と共感が高まって、里美さん(柏原*主催者)に相談したという流れなんです。

星野文紘(以下星野):要するに今なんとなく、みんな「考えなさい考えなさい」で育ったよ。俺も小さい時は「考えなさい考えなさい」で育った。ところがね、一丁前になってから考えてやるとみんな失敗するんだよ。俺、いろいろ修行したりなんだりしていると、やっぱり修験道なんていうものは考えてやるものじゃないなと思ったんだよね。
 だから結局、修験道なんていうのは修行した人しか分からないんだよ。頭では分かったってだからどうしたんだよ。自らそこに身体を置いて感じたこと、それが答えなんだもん。
 それに気付いたときに、「なんだ、感じたことを答えにして、それを考えてやればいいだけじゃん」。そうするとうまくいったんだよ。考えるのは、やった後に整理すればいいだけ。考えるのは、やっちゃった後に整理すればいいだけなの。そうすると、それが今度、経験値で教えてくれるんだよ。

 ところが、そうしたときに、感じることを勘違いしている。頭で考えることと感じることを勘違いしている。話に出てくることが、「なんとなく私はこう感じているんです」と言うんだけど、「それ、考えているんじゃん。考えが出てきているよ」って俺からするとね。
 そうすると、「あ、待てよ」と。感じることの原点は、お母ちゃんからオギャーと生まれた時。お母ちゃんから生まれた時、何も考えていないもん。感じるままに、自分の命をつなぐ。そのことは考えもしない。ただ直感で、自分の命をつなぐために、お母ちゃんのおっぱいに食いつく。それしかない。だから、生まれた赤ちゃんというのは感じたままじゃん。生まれた時はそれでいいんだよ。
ところが今度は、いろいろな知識を覚えてきた。知識を覚えると、今度はそれで考え始めるんだよ。それでいろいろ考え始めてくると、生まれた時の「感じる」ということが、そこで封印されていくんだ。
だから今ここにいる人のほとんど、9割方の「感じる」ことは封印されています。なんだかんだいって、結局こっち(頭)で動いているから。下手すると99%封印されている人もいる。
だから生まれた赤ちゃんの時の「感じる」ということが、「感じる知性」なんだよ。生まれて初めての知性というのは、感じるしかないんだもの。だから俺はそれを「感じる知性」と呼んだんだよ。

 そしたら最近ね、「感じる知性」という言葉が結構あちこちで聞こえてきてさ。腹立たしいのが去年の夏、うちに来た子が、俺がこういう話をしたら「あれ、先達も感じる知性って使うんですね」って言われちゃった(笑)。ここまで俺が言う「感じる知性」がパクられているのかと思った。Facebookでも、結構「感じる知性」って言葉がボンボン出てるんだよ。
 これは好ましいこと、俺からすると。広まっている。感じる知性が大事なんだよ。そういう意味ではものすごくいいじゃん。


○見えないものが分かる経営者には、裏表がない

渡辺:先達は、経営者とか、ビジネスパーソンの方々を修行にお連れする中で、「感じる知性」の大切さを痛感されたんですよね。

星野:結局会社の社長というのは、やっぱり決断する人だよ。決断する人が頭で考えていたら失敗するよ。頭で考えると迷っちゃうから。
 頭で考えるというのは、迷わせるんだよね。頭ではピッと「よし、これ行く」といかないだろ。いろいろデータを見たり、どうのこうの上がってきたものを参考にする。そんなものに頼っている社長だったら失敗する。データが上がってくる。論理も上がってくる。だけれども、「これ」と決めるときはやっぱり直感なんだよ。はっきり言って。
 俺もこんなことをして遊んでいるとね、気の利いた社長がいっぱいいるから「先達、社長たち集めるから話して」って言われるんだよ。俺はそういう場に行くと最初に「社長さんたちはみんな、魂が強いです」と言うわけ。魂が強いと言われるから「俺、そうなのかな?」とそう思っているわけ。でも「社長さんというのは常に決断でしょ」と。「その決断をする時、部下から上がってきた企画書をそのまま鵜呑みにして判断しますか?しないでしょ」と。「30億の仕事やるとき、みんな直感でしょ」って言うと、みんなうなずいている。それを見て、やっぱりそうなんだなと。
 最近ものすごく分かりやすい話として、今度うちのほうの山で大鳥居を建て替えるんだよ。もう建て替えちゃった。3億かかるんだよ

渡辺:ニュースに出ていましたね。

星野:去年の12月にできちゃったの。 3億以上集まって。またいろいろな所いっぱいかかるからね。だから神社関係に……どこの神社へ行ってもそうだよ。寄付しているのはほとんど会社だろ。神社に寄付ができる会社は、見えないものを感じ取れる会社なんだよ。神様がおられると思うから。そういう会社はうまくいっているだろ。だから1億も出せるんだよ。分かりやすいだろ、これ。
 見えないものが見える経営者は裏表がない。だからうまくいくんだよ。見えないものが分からない経営者は裏表がある。だから、その人がいない時に悪口を言ってしまう。
だから企業を選別するときは、見えないものを分かる会社かどうか、それが判断材料です。

渡辺:突き詰めていくと、幸福学にいく人がいますよね。前野先生とかもそうですよね。

星野:だから、そういうのに気付いて見えない世界もやっていかなきゃいけないなという人たちが増えてきているんだけれども。
 一番分かりやすいのは、見えない世界にお金まで出す人たちというのは、これは見えない世界が分かるからだろ。「神様のおかげだ」と、見えないものというのを身近なものとしている会社じゃないかな。そういう生臭い世界のことで話をすれば、俺はそういう見方もできるんじゃないかと。

○幸せな人は、直感で人生を決めている

渡辺:私は、キャリアコンサルタントとして研修をしたり多くの方々の相談にのらせていただく中で、「頭だけで考えていては、その人にとって良いキャリアは築けないのではないか?」と感じることがたくさんあったんです。というのも、ご自身が感じていることを問いかけてもなかなか出てこなかったり、「これで合っていますか?」という正解探しのような反応があったりして。そうした経緯があって「個人特有の『感じる』が封印されているのではないか?」という仮説がたったんです。
 もうちょっと前の話でいくと、私15年ぐらい前に「とらばーゆ」という女性向けの転職情報誌の編集者をしていた時代があって。当時も今もですけれども、「転職はよく考えて、就職はよく考えて」という話があります。私は転職して幸せになっている人にいっぱいいっぱい取材させていただいて、たくさんフィールドワークをしたようなものなんです。
 そこで一つ分かったのは、人生を変えて幸せになっている人は、あまり良く考えていないということ(笑)。じゃあ何だったかと言ったら、「直感」なんですね。直感でピンときて、理由はよく分からないけれども、「いい」と思ったから応募したみたいな、そういう人たちばっかりに会ったんですよ。
 じゃあ、「よく考えて、よく考えて」の人はどうなったかというと、「よく考えて動けません」という読者ハガキが毎回来るみたいな感じなんですよね。「どういう所がいいんでしょうかね」というコメントつきで。

 私はその時に「直感型転職のススメ」という記事を作ったんですね。2004年です。直感で転職しようなんて、当時私はフィールドワークをして「直感で転職すればいいんだ、直感で人生を決めればいいんだ」と思ったとしても、イチ編集者が言っても誰も聞いてくれないなと思ったので、「直感には意味があるよ」と言ってくれる学者の方を探したんです。
 そしたら、これは後に私の師匠になる先生なんですけど、南山大学という名古屋の大学のグラバー先生という方がいらっしゃったんです。ボディワークという、身体を通して自分のことを理解していくというか、体からのメッセージをキャッチして自分の神話を編み出していくという領域があるんですけれども、その領域の専門の先生です。この方が「直感って意味があるよ」という話をしてくださったですね。
 その時に「直感というのは頭で得た知識ではなくて、実際に見たり聞いたり、匂いを嗅いだり、五感を使って積み重ねた経験というのが自分の知恵になっていて、そこから生まれて、その人にとっての正解を教えてくれるものだよ」という話をしてくれたんです。だから直感を磨くためには五感を磨きなさいと。要は体を使えということなんです。だから「こっち(頭)じゃないんですよね」という話をしてくれて、私はその時から、ボディワークを探求する道に入っていくわけです。

 キャリアコンサルタントとして今みなさんにお伝えしているのが、「頭の思考の知性とか知識というのも素晴らしいんですけれども、体の叡智を磨いていくことも大事なんじゃないか」ということ。
 全身を使おうよという考え方で、ボディとマインドとスピリット、命、全部ひっくるめたものが自分で、そういう私が環境と関わりながら歩んでいくということが大事なんだねということだったりとか。

○直観は脳からではなく、内臓感覚で湧き出るもの

渡辺:もちろん、「ちょっかん」の話もしています。「ちょっかん」 には2種類あって、五感を使って感じたものから「その場でわいてくる」=「直感」と、経験値がビッグデータとなって「閃く」=「直観」があります。この「ちょっかん」たちは、理屈では説明できない、というのが特徴です。 「なんとなくいい」と思うときって、言葉にできないですよね?言葉というより、たとえば身体感覚だったり、内臓感覚で、ウワーッとわいてくるようなものだと言われています。

星野:それ、俺もしゃべる。
 内臓なんだよ。俺も最近覚えたんだけど、うちにもいろいろな子が修行したりしていてね、大学を出て、千葉で農業やっている子がいるんだよ。その子と1月に小グループで対談みたいに話したんだよ。
 そしたら、ハルカというまだ30歳前の子なんだけど、面白かった。自分は土作りをやっている。そして作物は土から栄養摂っているだろ。その話から、それを人間に置き換えたんだよ。そいつは大学時代に解剖学をやっていたんだって。解剖学をやっていたときに、人間の内臓、いわゆる臓腑は、自然上の土に当たるというわけ。結局、食べたものが内臓の繊毛を通して栄養を摂っているわけ。それは分かるよね。
 そしてその後、その内臓は脳とつながっていないというわけ。これが俺にとっては大きかった。内臓が、体に全て栄養を渡していくところが、脳とつながっていない。解剖学をやっているからハルカはそう言えるんだろうな。
 脳と内臓がつながっていなくてよかった。本当だよ。
 そうすると、俺の言う事が俄然生きてくるんだから。つながっていないんだよ。だから「ちょっかん」は内臓感覚からくる。だから結構昔から「腑に落ちる」だとか、「腹をくくる」だとか。

渡辺:「脳をくくる」とは言わないですもんね。

星野:だからそっちの感じるという世界は、脳じゃないということ。脳から指令していないということ。それが分かったときに、俺は万歳をした。
 ハルカは「残念ながら臓器が脳とつながっていない」と言ったんだけれども、俺は「いやお前、つながっていなくてよかったんだよ!」と言った。
 清乃が持ってきた内臓感覚、それって昔からここ(内臓)なんだよ。肝心なことは。だからここ(脳)じゃないということ。

渡辺:生き物って、脳は最後のほうにできましたからね。最初は管みたいなものから生き物はスタートしているといいますけれども、ここ(内臓)が最初ですよね。

星野:だから人もやっぱり結局動物なんだよ。四つ足なんだよ。だからマインドフルネスというのはそこなんだよ。マインドフルネスというのは四つ足なんだよ。
 だってトレイルランはマインドフルネスだって言うんだよ。山を駆けずり回るなんていうのは……山を駆けずり回って考えたら、谷に落っこちちゃうんだもん。だろう?考えたら邪魔なんだよ。だからトレイルランがマインドフルネスだとすれば、四つ足に戻るはずだろ。
 山伏って漢字は、山で、人が犬になるんだよ。山で伏すは、人が犬だろ。山で人が犬になるんだよ。四つ足になるじゃん。だから基本的にはやっぱり内臓。ここ(内臓)から来たことを答えにすればいいんだよ。ここ(内臓)に答えというのはある。後から整理したときに答えを確かめればいい。ここでもつながっちゃった。

(第4回へ続く)

*編集協力 松本沙織


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「感じる知性」を取り戻そう!
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  • 11本

色々な方と語り合う中で生まれた感覚を紡ぐことで1冊の本をつくる――こんな趣旨ではじめた「本の企画、一緒に考えませんか?」会議vol.1の記録。 テーマは、「答えが出ない問い」への向き合い方。出羽三山の宿坊「大聖坊」の13代目・星野文紘先達の言葉を中心に、山の思想とビジネスの交差点を探求していきます。

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