日本語文章を正す
最近ハマった、日本語文章術に関するnote記事。執筆されたのは、私のC言語学習の大先輩のAyumiさん。コンピューター言語だけでなく、自然言語についての考察もお見事。こういうふうに、言葉を大事にする人だから、コンピューター言語でも洗練されたコードが書けるのだろうと改めて感心した次第。
早速、ご紹介いただいた本「ミスがなくなるすごい文章術/岩佐義樹著」を入手した。
、、、なるほど。
ここに出てくる日本語の誤用例をみてみると、
①明らかに間違いだとすぐに気づいたもの
②どこが間違っているのかわからないもの
が、私の場合は4:6の割合。これはまずいね。
さらに、間違いがわからなかったものの、回答をみてもいまいち納得感がなくて、これからも誤用してしまいそうなものも少なくない。たとえばこれ。
誤り → 正しい表現
魅せる → 魅する
能うる限り → 能う限り
行方不明の家族を探す → 行方不明の家族を捜す
緊張で固くなる → 緊張で硬くなる
ブレーキが効く → ブレーキが利く
拍手が沸く → 拍手が湧く
足元がおぼつかず → 足元がおぼつかない
自信なさげ → 自信なげ
亡き人にささぐ絵 → 亡き人にささぐる絵
願わくば → 願わくは
これだけ誤用していて、さらに解答を見ても納得感がないということは、私の日本語は相当に乱れていると言わざるを得ない。
これは非常にまずい。
今後、これらを含めて怪しい表現を正すにはどうしたらいいかと考えて、ふとずっと以前に買った電子辞書に広辞苑が入っていたことを思い出す。
電子辞書で調べてみた
(※常用国語辞典第5版は、電子辞書ではなく書籍版)
魅せる
「魅する」としないと検索にヒットしない。これしかないということかと納得するしかなさそう。
能うる限り
こちらも「能う限り」としないと検索にヒットしない。「能う」にさらに「得る」を重ねたようになっているのはおかしいということか。これしかないということかと納得するしかなさそう。
行方不明の家族を探す
「さがす(探す・捜す)」として、ひとまとめで検索にヒットしたが、
と解説されている
行方不明の家族だと、単に見えなくなったものをさがす以上の、見つけたい!という強烈な欲求があるはず。「探す」でもいいような気がするが、
こちらの辞書を見ると、失くした家族をもとめるなら「捜す」が一番しっくりくると理解できた。
緊張で固くなる
「かたくなる」で検索すると、
と解説されていて、「堅」しか使われていない。これしかないということかもしれないが、毎日新聞さんは「硬」というご意見でしたね。
しかしながら、和英辞典の例文では
と言う例文がヒット。こうなってくるとまさにカオスです。
改めて「かたい」で検索すると、「かたい(堅い・固い・硬い・難い)として、ひとまとめでヒットしたが、
うーん、この解説だと、緊張で「かたく」なるのは人の性質(堅物とか、おちゃらけとか)かというと違うような気もするので、「軟らかい」の反語として「硬い」の方が合っているような気がするし、「ゆるい」の対語といった趣で広く一般に使う「固い」でもいいんじゃないかとも思ってしまう。
こちらの辞書を見ると、「緊張で硬くなる」が一番しっくりくる。いろんな辞書の解説を見比べるべきだと実感。
ブレーキが効く
「きく(利く・効く)」として、ひとまとめで検索にヒットしたが、
うーん、この解説だとブレーキで止まろうとしていること自体に主眼をおくなら「利く」、ブレーキの性能について話をしたいなら「効く」でも良いような気がする。
拍手が沸く
まずは「わく(沸く)」の解説。一番近いと思われる5番目の解説は次のとおり。
つぎに「わく(涌く・湧く)の解説。一番近いと思われる4番目の解説は次のとおり。
拍手がおこるのは、興奮した感情が生ずる、、、からなのでしょうが、どちらかと言うと興奮して騒ぎ立てるという方が近いような気がする。拍手の度合いかなぁ。まあ、国語分科会の2014年の報告で「拍手や歓声が湧く」が例示されたとのことですが、私の辞書は2008年版。時代とともに定義が変わったのかもしれない。
この用例を見ると、「沸く」は状態変化したもの、「湧く」は生み出されたものという印象を受ける。やっぱり、「拍手が湧く」かな。
足元がおぼつかず/自信なさげ/亡き人にささぐ絵/願わくば
これらについては、文法的な問題なので辞書を引いても正解を引き出せなかった。覚えるしかなさそう。
まとめ
本書に紹介されているように、様々な事象をどう表現すべきなのかの基本ルール、即ち、本来ならこう言うべきというのをきちんとおさえた上で、私的な文章の場合は既に述べたように意図を持って表現を工夫しても良いのではないかと個人的に思った。
教訓、、、表現が気になったら、とにかく辞書をひこう!
、、、ちなみに私が持っているのは、2008年に出版された広辞苑第6版。
世間にはすでに第7版なるものが存在しているらしい。
上記の言葉の解釈もまた、変わっているかも。
蛇足編
そろそろ、私の持っている国語辞典を最新版(広辞苑第7版/新明解国語辞典第8版)に更新しようかと思って調べたら、私の持っている電子辞書に対応していないのに気付いた。本体ごと買い換えるしかないということか。紙の辞書を買った方がはるかに安いんだけど、電子辞書の便利さは捨てがたい。うーん、困った。搭載しているコンテンツは何百とあるが、その大半は使うことは滅多にない。それよりも、搭載した辞書を永続的に更新できるようにしてくれたら嬉しいなと思う。
というわけで、新明解国語辞典第8版を買おうと本屋にいったものの、手に取って見てみたら、私には活字が小さすぎて読み辛いことが判明。結局、モネ「睡蓮」が表紙の常用国語辞典を購入。こちらならルーペなしで見ることができる。同訓異字の比較とか、漢字の書き順なども含まれていてなかなかユニーク。用例が広辞苑よりも豊富なのも気に入った。
ここまで読んでいただき、有難うございました。
これまでの収益は全て、それを必要としておられる方々へ、支援機関を通して寄付させていただきました。この活動は今後も継続したいと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。