「夜がくる前に」

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立ち止まり  振り返れば

人ごみの中  茜色

なだらかに傾いて

薄明かりの下に注がれる


太陽はやがて消えていき

ぽつぽつと 世界の底に夜が灯り始める

夕焼けはビルの隙間をすり抜けて

あなたのもとへ 誰かのもとへ

届けられた


私はここで目を瞑る

ひそひそ話す 小さな声が

夜に連れられて大きくなると

誰の記憶にも残らず

空まで届いて星になった


私はもう  誰にも見えない

私はもう  この世界にはいないのだ

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