オールドカメラでフィルムのモチーフを憶える - デジタル化編
オールドカメラでフィルムのモチーフを憶えるの第3回目は実際にフィルムの現像とスキャンで写真のデジタル化の作業をしてみます。
フィルムを現像する
フィルムの現像は現像キット等があるので自宅でも出来なくはないのですが化学薬品の扱い方や温度管理を適正に行う必要がありかなり難易度が高い作業になります。
近くのカメラ屋さんがあれば1000円程度で現像してくれますので今回はカメラ屋さんに現像に出すことにしました。
カメラのキタムラは即日現像出来る店舗であれば最短1時間で現像できます。
カメラのキタムラの公式サイトで店舗検索があり地域を選択して「ネガ現像当日仕上げ」の絞り込み検索で即日現像の店舗を見つけることが出来ます。
近くにあるカメラのキタムラ・高松南店がネガ現像当日仕上げの店舗でしたのでこの店舗に現像に出しました。(写真1)
受付カウンターでネガの現像の注文をします。
記入用紙に名前と連絡先を書いて渡します。現像以外の注文も聞かれますので今回はネガなのでインデックスプリントを追加注文しました。(写真2)
この受付時に仕上がり時間を伝えてくれます。今回は約1時間後に仕上がる予定でした。
注文から2時間後に受け取りに行くと現像とインデックスプリントが出来上がっていました。
ネガだけでは仕上がり具合が確認しづらいですがインデックスプリントを見ればネガポジ変換してあり仕上がり具合がその場で確認できます。(写真3)
スキャナーで写真のデジタル化をする
現像したフィルムをデジタル化してPCやスマホで扱える形にします。
このデジタル化はカメラ屋さんでもしてくれますが標準的なカラーで露出補正もオートなので自分好みのデータに仕上がりません。またデータサイズも小さいのでプリントデータとしては足りないこともあるので僕はスキャナーで取り込むことにしています。
エプソンのスキャナーGT-X830はエントリー機でありながらフィルムスキャンが出来ます。一度に12枚写真をスキャン出来るのでスキャン作業に掛りっきりにならないのが良い点です。(写真4)
まずフィルムを取り扱う時に指紋や油脂が付かないように作業用の手袋をします。
フィルムフォルダーのカバーを外しフィルムフォルダーにフィルムをセットします。この時フィルムの天地裏表を確認し正しくセットします。フィルムの天がフォルダー左側に来るようにしフィルム裏面がフォルダー上側になるようにセットします。(写真5)
フィルムフォルダーのカバーを取り付けます。この時フィルムのカールがあると取り付け難いので奥側から順番に丁寧に取り付けます。(写真6)
取り付けが出来たらフィルムの両面に付いてる埃をブロワーで吹き飛ばします。(写真7)
スキャナーをパソコンに接続しEPSON Scanのアプリを起動します。
モードはホームモードを選択し以下のように詳細設定をします。
原稿・・・カラーネガフィルム
イメージタイプ・・・カラー
出力設定・・・その他
解像度・・・4800dpi
画質調整・・・DEGITAL ICE Technologyにチェックを入れる
プレビューボタンを押すと右側にプレビューが表示されます。(写真8)
プレビューを確認しながらポートレートモード(縦長)の写真はフレームの回転ボタンをクリックして正しい方向に調整します。
「全選択」ボタンをクリックし番号横のチェックを入れてすべてを選択し「スキャン」ボタンをクリックします。
保存ファイルの設定の画面がポップアップ表示されますので保存先フォルダー等を設定して「OK」ボタンをクリックします。(写真9)
スキャンがスタートし保存先に順次JPEG画像で保存されます。
4800dpiでDEGITAL ICE Technologyにチェックを入れた場合1枚当たり4分弱スキャン時間がかかります。12枚すべてをスキャンすると45~50分程かかりますが順次オートでスキャンし保存しますのでその間他の作業をしたり休憩できます。
余談ですがプロフェッショナルモードでは調整に「ホコリ除去」がありますのでその機能を試してみました。
「ホコリ除去」は弱・中・強の3段階あってその段階に応じてホコリを除去をしてくれます。
写真10はホコリ除去とDEGITAL ICE Technologyの比較です。ピンク丸印部分がホコリまたはノイズです。
ホコリ除去のレベルでホコリがどんどんなくなっていますが強でも1つ残っていました。
DEGITAL ICE Technologyは完全にホコリを除去しましたが別のノイズが極小ですが出ていました。
完全にホコリ除去はできませんがDEGITAL ICE Technologyを選択していればほとんどのホコリはなくなります。この理由でモードはホームモードで十分と判断しました。
残ったホコリやノイズはPhotoshopで簡単に消せます。
「削除ツール」でホコリやノイズをなぞるだけです。(写真11)
なぞった周辺を解析して綺麗にホコリやノイズだけを消してくれました。フィルムの粒状は周辺と同じ感じになって消したのがどこだったか分からないくらいです。(写真12)
後は好みでスマートフィルターに変換しCamera Rawフィルターでカラー調整をすれば完成です。お疲れ様です。
オールドカメラのデジタル化でフィルムのモーチフを知る
デジタル機は撮影時にデジタル化されているので記録メディアからPC等にコピーするだけで完了しますがオールドカメラはフィルムの現像とスキャンの過程を経てようやくデジタル化がされるので時間と労力が必要となります。
オールドカメラは面倒な作業が増えますがその分1枚の写真に集中して取り組むのでその写真に対する思い入れが強くなり愛着が湧いてきます。
それだけでなくフィルムにある情報量のポテンシャルが相当あるのでスキャンの設定を変えてみたり別のスキャンアプリを使うだけでも結果がかなり向上します。
このようなポテンシャルはアナログレコードに似てますね。プレーヤーやレコード針でも音が変化するので後で色々試してみる楽しみが出来ます。
今回のスキャナーは4800dpiの解像度でスキャンしましたが画像サイズは約6700×4400pxで2900万画素になるのでこの時点で普通のデジタル機より画素数が多くあります。さらにこのスキャナーは最大12800dpiまでスキャン可能なのでスキャン次第でいくらでも高画質出来るのがフィルムの利点だと思います。
実は今回使用したスキャナーのGT-X830はSilverFastスキャナーソフトが無料でダウンロードできます。ダウンロードできるのはSilverFast SE 8ですが最新のSE 9まで無料でバージョンアップ可能です。
SilverFastにはNegaFixがありネガフィルム固有のプロファイルで適切なポジ変換をしてくれます。さらにiSRDでスキャナの赤外線機能を使ってホコリや傷を自動で除去してくれます。
SilverFastはEPSON Scanにはない高品質のデジタル化も可能なので一度ダウンロードして試す価値があるかと思います。
このようにオールドカメラのデジタル化の過程から最高の1枚になるまで時間と労力をじっくりかけてあげる必然性を知り写真1枚1枚を大切に扱う気持ち入れを学べるのではないでしょうか。