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髙監督の「熱い思い」を知る~映画「ワタシタチハ ニンゲンダ!」上映会

先日、霞が関の「弁護士会館」で行われた「ワタシタチハ ニンゲンダ!」という在日外国人のドキュメンタリー映画の上映会に参加した。

映画上映の後、高賛侑(コウ・チャニュウ)監督と、指宿昭一 弁護士(人権擁護委員会特別委嘱委員)のトークセッションがあった。

この時、髙監督がこの映画に込めた「熱い思い」を、私は受け止めた。

この映画は、「娯楽映画」では無い。

正直、公式サイトの「予告編」をみて「観ててつらくなるかも~」と思うと、何となく気乗りがしなかったけれど、出かけてみたのだ。

この映画では、日本の「戦前」「戦後」における在日外国人に対する「差別の歴史」から、現代の「技能実習生制度」の現状、そして2021年、名古屋入管で亡くなったスリランカ人女性・ウイシュマさんの事件に象徴される、現在の「入国管理局」の「非人道的な実態」までを、一気に描いている。


髙監督のお話は、熱く、力強かった。


「差別は、差別を受けた者でなければ、分からない」

髙監督は、つぶやくように言った。


在日外国人の問題に対する「関心度の低さ」から、「映画を作っても、観に来る人はいないだろう~」と、髙監督自身は、最初に思ったという。

「本当に完成できるのか」疑心暗鬼の中で、映画製作は始まったらしい。
お話の中でも、「よくぞ、映画が完成した」と何回も、髙監督は口にされていた。

差別を「映像で描くこと」は、困難なことであり、「差別を受け、暴行を受けている状況を映像に取る」という事は「不可能なのだ」と髙監督はハッキリ言った。

しかし、「一家離散」あるいは「命の危険」に関わる状況を経験した人達の話を、彼は「生」で聞いてしまったのだ。

知ったからには「後には引けない!」という「覚悟」が生まれた

そして「作る意味はある!」と確信し、試行錯誤しながら、映画製作に向かっていったと、髙監督は語った。


「苦労したことは?」この質問に対して~

「取材をしている時、涙が止められなかった事」と髙監督は答えた。

映画の中で、多くの在日外国人の方たちがインタビューに答えている。

髙監督は、カメラを回しならが、実際に会って、その人たちの話を聞いた時、「涙が出て、涙が出て仕方がなかった。」と言った。

病気の父親と一緒に日本に来て、空港から、そのまま入管に収監された父親は、病院に行くこともできず、一週間後に亡くなったという女性は、インタビューの間、ずっと泣いていたという。

直接、本人から話を聞くというのは、映像で見るよりも、つらいことだ。

何故、この「映画タイトル」にしたのか~

この質問に対して、髙監督は、少し声を詰まらせる場面もありながら、このように答えた。

映画タイトルは、半年ぐらい悩んだ。
インタビューに答えてくれた人たちが言う「私たちは、人間だ」という言葉は、ペラペラっと言うのではなくて、(片言の日本語)で、言葉に詰まりながら、(訴えるように)話すのだ。
しかし、映画の題名を考えたとき、「私たちは、人間だ」は、映画のタイトルとしてなじまないと思った。
ところが、ある時「フッ」と「カタカナ」というアイディアが浮かんだ。
「これだ!」とその瞬間決まった。

※発言意図が変わらない範囲で、文章は、脚色、編集しています。


さらに、一緒にセッションをしていた指宿弁護士が、このように発言をした。

このタイトルに私自身「ドッキ」とした。
私たちは、この様な言葉を、日常的には聞かない。
しかし、自分が「入管事件」に関わるようになって、「私は、奴隷じゃない、動物じゃない、人間なんだ。」という言葉を何度も聞いた。技能実習生からも聞いた。
このような言葉が、今の日本社会で、使われる状況を許してはいけないと強く感じる。

※発言意図が変わらない範囲で、文章は編集しています。

今、公開するべき!

「法改正」の後では意味がない

「そもそも『ドキュメンタリー映画』というのは、何十年もかけて、一人の人に焦点をあて、一つのテーマを深く掘り下げるという作り方をする。長く年月をかければ、掛けたほど、作品が評価されると言われているが、この映画の場合、それは当てはまらない」

さらに「法改正がされた後に、この映画を公開しても意味はない」と、髙監督は強い口調で発言した。

何故なら、この映画が公開された2021年5月には、どう考えても「愚案」としか思えない「改正案」は、まだ廃案になってはいなかったからだ。

髙監督は、この「映画の公開」を急いだ「思い」を下記のように話した。

世界の「人権基準」に遥かに劣ることが、一般人によって行われているのではなく、「国家が自ら法制度を作り、差別を作り、人権侵害をやっている」この現状を変えるために、この映画が「武器」となり、啓発となるためにも、今、公開しなければ意味がない。

※発言意図が変わらない範囲で、文章は編集しています。


2021年に一度、廃案になった、愚案の「改正案」が、今年の通常国会で、再提出されるらしい。

「馬鹿の一つ覚え」のように同じモノではなく、もっと真っ当な「改正案」を作って欲しい。

私は、自分が「日本人」であることが好きだし、「日本の国」も好きだ。

しかし、どう考えても、日本の入国管理局で行われていることは、おかしい。

人身売買で、日本に入国した外国人が、ブローカーによって非人道的な扱いを受ける、という事とは、訳が違う。

日本の国が、公に「人権侵害」をやるって、いったい、どういう事なのだ!

日本は、先進国のはずだ。

私は、この映画を「議員」そして「政府の人たち」を教育するために使ったらイイと思う。

髙監督の中にある「希望」とは~

最後に、「この映画を、国内外の多くの人に見て欲しい」と訴え、「自主上映会」を呼び掛けた。

(海外用に、英語と韓国語の字幕入りを作ってあるそうです。)

【上映会・申込サイト】
⇓⇓⇓⇓
自主上映のお申し込み – 映画『ワタシタチハニンゲンダ』公式サイト (ningenda.jp)

具体的に、大学生の人には、大学の教授、准教授を一人つかまえて、この映画の「上映会」を投げかけて欲しいとの事だった。
上映場所の「会場費」を浮かせるためにも、またこのムーブメントを起こしていくためにも、この方法を髙監督は薦めた。

この映画を観た人が、この問題のために「何かをやってくれる」、そこに「大きな期待」を髙監督は持っている。

彼が、この映画を完成させたことは、必ず次に繋がる「希望」であると、私は信じている。

映画の内容は、確かに重たかったけれど、髙監督の力強く、そして熱い思いを知ることが出来て、寒い中、出かけて行った甲斐があった。

◆最後までお読み頂き、本当にありがとうございます。

私の文章だと、問題の背景について説明不足かと思いますが、
参考サイトに、分かりやすく解説してあります。

参考サイト
⇓⇓⇓
【最新版】入管法改正はどう変わった?わかりやすく解説 2021年改正案や特定技能との関係とは | 外国人採用サポネット | マイナビグローバル (mynavi.jp)

2023年度通常国会で提出されている法案については、koichi_kodamaさんのこの記事を参考にしてください。
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