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25.立っている者は親でも…

リハビリも終盤を迎えていた。
その頃、自宅を車椅子での生活に合わせて、バリアフリーに改修をしていた。改修が終われば退院になる。

車椅子の移乗から始まり、トイレ、お風呂、着替え、食事の支度などなど、生活の一通りを教わった。まだまだ荒削りだが、これから先は自宅に戻って実践を繰り返していく。

それから忘れてはならないのが車椅子。自分の足代わりになるので、こだわって作る人もいる。最近の車椅子はカラフルになっていて、車椅子選びにもワクワクする。

車椅子は何色でも良いとは思うが、年齢や冠婚葬祭のことも考えた。お葬式に真っ赤な車椅子っていうのも何だか気が引ける。真っ赤なポルシェで葬儀に参列するような感じかな。

もともと白や黒が好きだったので、どちらにしようか悩んだが、何色の服を着てもバランスの良いようにと、ちょっとメタリックの入った黒に近い抑えめの色を選んだ。

退院に向けて着々と準備も進んでいった。最後に残された難関が車への移乗。車に乗れないことには自宅に帰れない。車椅子と車の座席にボードを渡して、乗り移る練習をしたのだが

これが全然できない!

高低差がありなかなか登って行けないのだ。私の重〜いお尻が全然浮いてくれない。何度やってもできる気がしなかった。介助なしでは時間が掛かって仕方がない。

じゃあ今どうしているの?と聞かれそうだが、今はいいものを使っている。

座席の横に上下移動するサイドシートを設置した。ここに平行移動で乗り移り、電動スイッチをピッとするだけで、高さを変えてくれる。ワァーオ!あとは座席に移乗して完了!頑張ってエベレスト登頂しなくても、サイドシートのお陰で楽勝♪

こんな便利な物があるのならさっさと教えてよー!と愚痴がポロリ。あんなに頑張った意味って何⁉︎ 世の中はAIだ、チャットGPTだ、と進歩が目まぐるしい中、全部自力で的なリハビリって何だったの…とブツブツ。

お年頃のおばちゃんに力技は無理無理

文明の力最高‼︎

使える物は何でも使いたいと思うのは私だけ?…。

こうして7ヶ月に渡る入院生活も終わり、自宅へと向かった。

26話目へ続く…


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