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21.まさかの坂発見!〜皆さまお気をつけくださいませ〜

私の体は胸から下が全く動かないし、暑い、寒い、痛い、くすぐったい…などなど感覚というものは全てない。そんな中、リハビリはベッドから車椅子への乗り移りから始まった。

車椅子での移動とは言え、自由に動けるのは嬉しいもの。しかし、理学療法士さんからOKがでるまでは、夕方4時になるとベッドへ強制連行‼ ︎と決まっていた。

それが嫌で時間が近づくと、見つからないようにささやかな抵抗を試みていた。面倒くさい患者だよね。しかし、しばらくすると理学療法士さんからOKが出て、晴れて自由の身となった。

それでもまだまだ危なっかしさ満載!!頭は体が動くときのように指令を出すので、動かない足を使って乗り移ろうとする。すると、力の入らない膝がガクッと折れて、踏ん張ることができない。

きゃーぁぁぁ!!

ベッドと車椅子の間にズルズル〜っとスローモーション(頭の中では)のように落ちて行く。

「あ〜やっちまった!!」

こうなるとブザーを押して看護師さんの助けを待つのだが、このときにメンタルをガツンとやられる。床にしゃがみ込みながら、人の助けがないと生きられないのだなぁ〜と現実を突き付けられることになるのだ。

それがトイレのときはもっと辛い。便座への乗り移りを失敗すれば、もちろんトイレの床へ落ちる。便座を目の前にしながら、誰かの〇〇が飛び散った床にしゃがみ込むのを想像して欲しい。辛いでしょ〜。体験したくないよね。

細かいことを言い出せば、キリがないほどいろいろなことができなくなっている。まさかこんなことができなくなるとは思いもしなかったが、茶碗を持ってご飯が食べられないのだ。

胸から下が麻痺しているので体幹が効かない。腹筋に力を入れることができないので、両手を宙に浮かせたら体が前に倒れてしまう。もちろん背もたれが無ければ後ろにも倒れてしまう。

入院してはじめの頃、周りの人が肘をついてご飯を食べているのを見て、何て行儀が悪いのかと思った。しかし、肘をつかなければ体が前に倒れてしまうからなんですよね。

入院当初は、健常者の頃に貯金していた筋肉が頑張ってくれていて気づかなかったが、自分も同じことになっていたとは…。こういうことだったのかと後々身をもって知ることになった。

もし、みなさんの周りでそんな人を見かけたら、こんな事情があるかもしれないと温かい目で見て頂けたら嬉しいです。

そんなこんなで私のメンタルは打ちのめされ、すっかり凹みきっていった。

22話目へ続く…


1話目から続けてお読み頂けたら嬉しいです😊↓


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