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まっすぐでなくてもいいんだね


ある朝の ヨガ教室
あつまったみんなは あまりからだがうごかない
そんなひとが ほとんどだった
いすに すわって 参加したひと
ほとんど ずっと ねたままのひと
おなかが いたくて うつぶせになれないひと
左がこわばり 右に少し かたむいているひと

やわらかな陽光が 窓の向こうから さしこんで
目を閉じた みんなの輪郭が 金色にふちどられる
その瞬間 鮮やかに立ち現れる 森の景色
わたしはまるで 朝の森を あるいているような
そんな ふしぎな 心地になって
「まっすぐでなくても いいんだよ」
森の木たちが ささやいた
あの朝の森が 目のまえに よみがえる

まっすぐな木なんか 1本もない
かたむいて くねって まがって
からまって よりかかって
それでも のびて! ほがらかに たからかに
葉っぱを しげらせ 風と舞う

幹に きざまれる クマの つめあと
虫たちが えがく ちいさな あなぼこ
りすが 憩い 鳥の巣が つくられる
はがれおちた その皮膚は 大地にかえり 土となり
苔むした その一部は あまつぶを だきしめる

嵐や大雪に 幾度となく
たおれそうに なりながらも
その すべての営みのなか
ゆっくりと かたちづくられた
唯一無二の それぞれの からだ
いとおしい うつくしい
みんな みんな
いきをしている うたっている

まっすぐでなくてもいいんだね

金色にふちどられた ひとびとの森を
その朝 わたしは あるきながら
ひとつひとつの そのからだが 
きざんできた それぞれの歴史に 想いをはせ
しばらくその うつくしい森に たたずんだ

まっすぐでなくてもいいんだね

まがっていても うごかなくても
そのすべてを いつくしんで。

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(※ このnoteアカウント名「じゆうな木」の由来になった詩です。)

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