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愛しあう


初秋の うつくしいあさ
空は あおく すみわたり
空気はすこし ひんやりとして
ひと息ごとに からだじゅうが
洗われていくよう
きよめられていくよう


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森へ はいると
もっと ちかくに この森を かんじたくて
くつを ぬぎすて
裸足に なる

ひと足ごとに ひろがる よろこび
足は勝手に 水辺に 向かい
目の前に ひろがる
すみきった 透明な水面

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あぁもう ぜんぶ ぬぎすてて
このなかに 
わたしのすべてを ひたしたい

ぱっと またたく イナヅマのように
こころの いちばん 奥の奥から
はしりぬける つよい閃光

つもった 枯葉も
よこたわる 倒木も
苔むした 岩も
熊の あしあとも
お猿の においも
そのままで そのままで
なにひとつ かえることなく
そのままで そのままで

そのままの このなかに
わたしのすべてを ひたしたい
そのままの すべてを
ぜんぶ ぜんぶ かんじたい

なにかを 
だれかを 
愛するということは
たぶん きっと そういうこと

すべてを ぬぎすて
全身全霊 そのなかに
じぶんの すべてを 
ひたしたくなる

ことばは いらない
森の 息づかいと
わたしの 息づかいだけ

そのひとの 鼓動と
わたしの 鼓動だけ

それが たぶん 愛しあうということ

そんなことを 
つよく感じた 朝の森

この森を 愛しています、こころから。


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だいすきな木