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【連載企画】日光を浴びないと健康に悪い話【第一課】

こんにちは、芹沢です。

第一課「日光足ラザレバ血色青シ」を現代語訳していきます。と言っても、以前のnoteをご存じの方なら大体の内容は記憶されていることでしょう。同じような内容になりますが、ご容赦ください。

この企画は何かについては、以下のnoteを軽くお読みいただければ幸いです。

【現代語訳】

人が元気そうに見えるのは血色がいいからである。だから暗い部屋に閉じこもったまま、あるいは燈火の光だけしか当たらない場所にいれば血色が悪くなり、しまいには痩せ細って病気になる。

金持ちの家が恵まれているとはいえ、日光を浴びる量は不足している。都市部に住む人と田舎の農家とを比べる、あるいは、箱入り娘で育てられた娘と、薪を背負って野山を歩き回る娘とを比べれば、前者は顔色が悪いうえに虚弱体質。後者は血色がよくすこぶる健康である。とはいえ、金持ちのほうが衣食住においては農家に勝っている。金持ちが農家に勝てないのは、満たされたきれいな空気と日光を浴びる量だ。だから金持ちは、毎日ほんのわずかな時間でも意識して外に出て引きこもりにならないようにすべきなのだ。

人が日光に当たることはごく自然なことであって、一日中太陽を見ない日を作ってはいけない。もし毎日外に出ることが難しければ、窓を開けたり戸を開けたりして日光を取り入れたらいい。夏日にはすだれを懸けておこう。

人間は昔から日の出とともに活動を開始し、日の入りとともに仕事を終えた。これは人間にかかわらず動物すべてに言えることだ。だから、現代人は自然の摂理に逆らっている。日の出近くになっても「まだ寝たい」と思い、日没を迎えても活動を続けている。言いかえれば、自然の摂理通りの生活をすれば、夜に使う燭台の油の節約になるだけではなく、日の光も浴びることができるのだ。結果心身ともに健康になり、怠ける心も薄らいで病気にもならなくなるのである。

しかし最近の人々はなぜこの道理に背くのだろうか。知ってはいるはずなのになぜ改めようとしないのか。ことわざでも「早起早眠 福壽綿々」ということを深く考えるべきだ。

【原本の写真】

何しろ130年以上も前の教科書ですので、若干古典の知識がいります。状態もよくないのですが、まだ虫食いも読める範疇です。

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【解説】

「引きこもっていてもいいことはない」と、在宅ワーカーには耳が痛いお話。この教科書が書かれた当時の日本は「富国強兵」「殖産興業」をスローガンに、国力増強の真っただ中でした。そして、大河ドラマ「晴天を突け」の主人公・渋沢栄一が日本で会社をガンガン設立していた時代でもあります。

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渋沢栄一(出典:Wikipedia)

日本は一気に近代化の波に乗るわけですが、同時に戦争の足音も聞こえだします。…が、大河ドラマではネタバレになる可能性もあるので、ここまでにしましょう。

とにかく、「今後仕事の仕方が変わったことで生活リズムが変わる。結果として健康を害しやすくなるから、意識して外に出ろよ」と作者は言いたいのでしょう。この教科書を見つけた一帯は田舎なのでそこまで危惧する必要はなかったかなとも思いますが…。

全国統一の教科書だと思うのですが、もしかしたら別のものもあるかもしれませんね。余談ですが、一応メルカリでチェックしたら結構出てきました。予算に都合がつけば…やるかも(笑)

ということで第一課でした。

次回の更新は7月15日(木)を予定していますので、みなさまどうぞお付き合いください!

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