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アウェイ観戦でバスに乗る

 毎年どこかしらアウェイ観戦に出かけている。Jリーグご自慢のアウェイツーリズムとやらに、そこそこハマっているのである。
 
 そこでお世話になることが多いシャトルバス。プロ野球より後発であることの弱さか、駅から遠いJリーグのスタジアムが多い。いきおい仕方なくシャトルバスなる臨時便に乗ることになるのである。
 
 仕方なく、と書いた。
 
 ワタシは車酔いしやすいので、あまりバスには乗りたくないのである。特に観光バスが苦手だ。さすがに子供のころのようにリバースすることはなくなったが、元気がなくなってだいたい寝てる。
 天気や地形、スケジュール、荷物の量にもよるが、googleマップで検索して徒歩1時間以内であれば、歩いてスタジアムへ向かう。
 
 ただ、模型工作の対象としてのバスは好きだ。

モノコックバスの最後の生き残り、群馬中央バスの三菱MP118K。ザスパ草津(現・ザスパクサツ群馬)戦で乗車の機会を得た。 2005.11.26

 バスという交通機関は都道府県ごと、その街ごとの自治体やバス会社が運営していて、ホームタウンの顔ともいえる。その意味でもJリーグとの相性はすこぶるよろしい。
 
 その事業者は必ずしも規模の大きいところではない。J2ぐらいの来場者数であっても、営業所に所属するバスや近隣の営業所からの助っ人バスを総動員することは珍しくない。
 
 普段は路線バスに使わない観光型のバス、いつもは車庫で昼寝している古いバスなどのマニアックなバスとの出会いも、アウェイツーリズムの楽しみのひとつなのだ。 

松本山雅戦で乗車した松本電鉄バス(現・アルピコ交通)の日野HIMR。当時の時点で15年以上のベテランだった、はず。 2014.5.11 信州スカイパーク駐車場

 おかげさまで我らが横浜FCはいまJ1にいるのだが、そういう視点からのアウェイツーリズムはやや物足りなくもある。
 行く先々が大都市だから、スタジアムが不便といっても歩いて行ける程度の距離だったり、バス事業者に余裕があってシャトルバスにレア車が駆り出されなかったりするからだ。

 じゃあJ2・J3に多い地方都市がいいかというと、ちょっと雲行きが怪しくなってきた。

 今年は天皇杯3回戦・高知ユナイテッド(JFL)戦へ足を運んだ。春野総合運動公園へのアクセスがなんと、スタジアム付近まで乗り入れるバス路線がなく、乗り合いタクシーの利用が前提になっているのである。

 歩けないほどの距離ではなかったが、何とかなったのも一人旅だからこそ。子供同伴だったりすると結構キビシイと思う。

 最近では過疎化・人口減少による運転士不足で、バス路線の維持さえ難しいという地域がある。赤字ローカル線の廃止の議論でも代替バスの目処がつけられず、袋小路に陥るなんてニュースを目にする。
 もはや「バスが古い」なんていうのは愚痴にもならない。「バスがあるだけで天国」という現実が広がりつつあるのだ。

 さすがにJクラブのある規模の市町村でバスが、来年にも消滅するなんてことはないだろう。ただ、地方のバス網は確実にシュリンクしていく。目の前にシャトルバスがあるなら、迷わず乗った方がいいのかもしれない。

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