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ボイストレーニングメニューの考え方

独学で練習をするにしても、ボイストレーナーとして指導するにしても、トレーニングメニューの組み立て方はとても重要です。

世の中にはたくさんのメソッドがあり、そのどれもが先人たちの経験則で確立されたものなので、決して間違ったものあありません。(経験則で確立されたものであれば。机上の空論で掲げられたものも中にはあるので要注意)


ですが、そのメソッドが必ずしも万人に当てはまるかというとそうではありません。
事実、僕も国内外で有名な音声外来の先生に診ていただいたことはありますが、僕自身はその先生はしっくり来ませんでした。(もちろん、ものすごく偉大な先生でいらっしゃいますし、「なるほど」と納得させられはしますが、自分には合わない、というだけです)

なのでネットで情報だけを仕入れて鵜呑みにしてしまうことは、実は喉にとって大変危険な行為なのです。


では、どのように考えてアプローチしていけばいいのでしょうか。
それを考察していきましょう。

ボイトレで失敗したくない方はこちら

大前提に発声のメカニズムを知る必要あり

中には何も分からず、感覚的に指導したり独学でトレーニングしたりする人もいます。

確かに、感覚は大事です。最終的には自分の体感、聞き心地です。
フースラーメソッドでさえ、当時はそこまで解明されていなかった発声のメカニズムを感覚的に捉えたものです。僕自身も「やっぱなんだかんだ、行きつくところはフースラーよな」と思う場面が多々あります。

ですが、自分では気づかない感覚があることも事実です。

「上手く行っていると思っていたけど、次の日なんだか喉が重い」
「歌い続けていると喉が痛くなってきた」

このようなことは誰もが体験したことがあるのではないでしょうか?

なので発声のメカニズムを知った上で、「何を意識すればどこに効果が得られる」ということをトレーニングをするにあたって知っておく必要があるのです。

発声のメカニズムを詳しく知りたい方はコチラ

では、何を意識すれば?

では、何を意識すればいいのでしょう?

それは筋肉の部位とその動きです。

どういう行動を取った時に、どの部位がどのような動きをするのか。
それを利用したり、あるいはそれをさせないことで声をチューニングしていくのがボイストレーニングの基本的な考え方です。


しっておくべき筋肉はざっくりと…

内喉頭筋
外喉頭筋
呼吸筋

まあ、3種類(めちゃくちゃ大きく分類していますが)知っておけば十分でしょう。

内喉頭筋というのは発声に直接関わる(声を作るために必要な)筋肉のことです。
一方、外喉頭筋というのは発声を(場合によっては)邪魔する(声のチューニングに良くない影響を与える)筋肉です。


「発声を邪魔する筋肉が何故わざわざ体に存在するの?」

ナイスな質問です。

発声には悪影響を与えるんですが、生きていく上ではなくてはならない筋肉なのです。

言わば、「肩の筋肉なんてなければ肩こりなんて起きないのに」というようなものです。


喉頭(上に甲状軟骨、下に輪状軟骨)は、関節では繋がっておらず、首の中で宙ぶらりんになっています。

それを首や顎から吊っている筋肉、鎖骨や肩甲骨から支える筋肉が外喉頭筋です。
これらは当然、首を動かしたり、嚥下(ゴクンと飲み込む行為)に役立っています。

つまり、喉頭を支える筋肉がないと発声も嚥下もできないけれど、それらが発声の邪魔をしてしまう、という、とても繊細で厄介な筋肉です。

なので僕は個人的には、これらの筋肉のメンテナンス、トレーニングはプロの指導が必要不可欠であると思っています。


逆に、内喉頭筋というのは、発声に直接関わる、発声を助ける筋肉と言えるので、積極的にトレーニングする必要があると言えます。


つまり、「内喉頭筋(及び呼吸筋)を鍛え、外喉頭筋をメンテナンス(一部トレーニング)する」
これがボイストレーニングと言えます。

本格的なボイストレーニングはコチラ

個別の指導が必要不可欠な理由

僕はYouTubeにもたくさんのボイトレ動画やレッスン動画をUPしています。

ですが残念ながらそれらは、「こういった考え方を持っています」だったり「こういう方法論もあります」という、僕の理論の紹介であり、僕の動画を見たから発声が上手くなるとは思っていません。(が、「先生の動画を見てずっと独学でやってました」という方に会うとみなさん上手ですが…)


発声をよくするには間違いなく個別の指導が必要です。
僕がグループレッスンをやらないのはそのためです。

(ちなみにグループレッスンをやる理由は単価が上がるという商売的な理由だけで、受ける側には何のメリットもありません)


ではなぜ個別の指導が必要なのか。

それは体のサイズが一人ひとり全く違うからです。


例えば僕は顎が小さい割に舌が大きいのですが、そのため、下顎の中に舌を収めておくと、無意識に舌を縮めようとする力が働いてしまいます(声を出していない状態で)。

なので普段から、下の前歯の上に軽く舌をはみ出させて乗せている状態を心がけています。

トレーニングでもまず一番初めに舌根を伸ばすエクササイズから入ります。

そして板状筋にも力が入りやすいです。
これは日頃からの姿勢の悪さからくるコリが原因でもあるし、発声時に肩甲舌骨筋に力が入りやすくそれに拮抗するように力が入ってしまうためです。

これらは頭の後ろで手を組んで、後頭部で手を押すような動きをしながら発声をすることで予防しています。


というように、それぞれの骨格は筋肉の付き方によって、それらとバランスを取ろうとする外喉頭筋の動き方も変わってきます。


それらの動きを改善するために、上記のような力が入りにくいトレーニング方法を選択するのか、あるいは別の力が働きやすいように仕向けるトレーニング方法を選択するのか、そこには必ず正しい知識と経験を持ったトレーナーの指導が必要なのです。


僕は基本的には「自分でトレーニングできるのであればそれに越したことはないんじゃね?」という考えです。

ですが、僕自身が自分でできないので定期的に指導を受けています。

もっと言えばイチローさんですら、現役時代にはコーチがいました。


なので「結局、独学は限界あるくね?」と思っています。


現在独学でボイストレーニングを続けている方、あるいは感覚的なアプローチのみで指導をされている方。
発声が悪化する前に今一度トレーニングメニューを見直してみてはいかがでしょうか?

個別指導に特化したレッスンをご希望の方はコチラ

最後までお読みいただきありがとうございました。


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