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正月休業と働き方改革

明けましておめでとうございます。

さて、一部の大手コンビニエンスストア、外食チェーン、百貨店等が元日営業を行わない方針を打ち出した。日経新聞によるとパルコは「従業員の働き方に配慮して」という。

 このように今回の元日休業を「働き方改革」で括る報道に僕は大変違和感を感じている。

たしかに今年は正月休みが長期にわたり運営スタッフの手配が困難であったり、ネット通販各社の正月セールがあり、リアル店舗の正月営業は費用対効果を考えれば見直しが必要だった。

正月の休みを取る取らないは、日本人固有の文化の問題でもある。正月ぐらいは休みたいと思うスタッフは多いはずだ。渋滞を覚悟の上で帰省する人が多いことからも、日本人は盆暮れは仕事を休んで家族で過ごす習慣が、いまだに根強く残っている事がわかる。

しかし、正月に働きたい人も少なからずいる。
正月特別手当を当てにしているアルバイトスタッフもいるだろう。今回のように長期に休みがあると、時給で働いている人にはむしろ「生活のゆとり」が別の意味で蝕まれてしまう。

特別手当が特にない正規雇用の人の中にも、正月に店頭に立ちたがるスタッフがかなりの数いる。お客が正月に自分の店を選んでくれた事に感謝をし、常連客に新年の挨拶をするのが「気持ちがいい」と考える接客業の鏡のような人達もいるのだ。正月早々短縮営業に文句をいう面倒な客も来るが、そんな人達との奇妙にも思える連帯感がそこにあるのだ。

インフラに携わる人達にも正月はない。正月に働く人がゼロになる日は未来永劫やって来ない。コンビニエンスストアも、もはや生活の中のインフラに位置していると言っても過言ではない。企業本部が安直に考える事ではなく社会全体で考えていかなければならない問題だ。

全ての労働者が正月を休みたいわけではない。
全ての労働者が正月を休めるわけでもない。

働き方改革とは労働者環境を労働者各々のために見直すことが大事なのであり、企業側の都合で正月に休ませることではない。
日本人的正月信奉とワークライフバランスを同じ秤にかける事は間違っている。

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